僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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合宿開始な黒龍

「ドラグブラッカー、良い夜空だな」

『―――』

 

夜、疲れ切った身体を満たす食事や癒す湯舟での一時を終えて各自はもう寝る支度などに入っている頃。龍牙は一人で外に出て施設の壁に寄り掛かりながら夜空を見上げていた。身体に募る疲労感はあるが動きを鈍らせるものではない為に平気で起きている彼は、近くのガラスの中に潜むように蜷局を巻くドラグブラッカーに声を掛ける。山奥故か周囲に明かりなどが少ないからか夜空がハッキリと見える、何時しか見た無人島の夜空に似ている。

 

「俺の個性にはまだまだ先があったなんてな……ずっとお前俺と一緒にいてくれたのか?」

『―――』

 

問いかける龍牙に対してドラグブラッカーはただただ静かにそれを聞き続けている、唸る事もなく静かにそれに耳を傾け続けるかのように静止し続けている。

 

「だったらごめんな。友達がいなかったと思ってたのにお前がいてくれたって事に気付けなかった、でもこれからは違うな。宜しくなこれから」

 

そう笑いかけると龍はまるで照れているかのようにガラスの中から姿を消してしまった。彼の意図は分からないが龍牙は決してドラグブラッカーが悪いようには思ってはいないと感じ取れた、それだけ解れば満足だと言わんばかりにそろそろ寝る事にする。

 

 

いよいよ始まる林間合宿の本番は朝早く開始されていく。A組の全員は早朝に集合を掛けられた。そこで学校の入学時にやらされた身体能力把握テストにて行われたハンドボール投げを試しに爆豪が行う事になった。USJやら体育祭やら職場体験などで自分達も成長している、さぞかしとんでもない記録が出るんだろうと皆が期待する中で爆豪が叩き出したのは709.6m、ハッキリ言って期待外れに近い結果。

 

「確かに君達は成長したことだろう、3ヶ月間様々な事を経験して成長しているのは確かだ。だがそれは主に精神面や技術面、後は体力面と言った所だろう。個性そのものは今通りで成長の幅は狭い。今日から君達の個性を伸ばす、死ぬほどキツいが……くれぐれも死なないように―――……」

 

其処までにきつい事がこれから先に待っている、という事に全員が思わず喉を鳴らした。死なないように気を付けなければいけない訓練がこれから待っている……唯一顔色が変わっていないのは龍牙ぐらいだろう。普段からギャングオルカに扱かれている彼にとっては余り脅しにならない。

 

「それじゃあ早速始めるぞ」

 

と相澤が言葉を切った途端にその隣に4つの影が降り立ってきた、一糸乱れる動きで降り立った影に思わず全員が身構えた。現れたのは……。

 

煌めく眼でロックオン!!

猫の手、手助けやって来る!!

何処からともなくやってくる……!!!

キュートにキャットにスティンガー!!

ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!!

 

と先日マンダレイとピクシーボブが行ったポーズに二人を加えた本来のフルバージョン、ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツの本来の状態とも言える。一人だけ、女性たちの中に屈強な男性である虎が混ざっている事については恐らく突っ込んではいけないのだろう、多分きっと恐らく……。

 

「それでは詳しく説明する。筋肉は負荷をかけて壊し、超再生させる事で大きくなるように個性も同じように強くなる。故に林間合宿ではそれぞれが個性の限界を突破する事で更なる個性の強化を図る。限界を超えて鍛えるんだ。それでは皆さん、宜しくお願いします」

 

そんなこんなで始まる事になった合宿だが、龍牙はここで思う。自分の個性の限界突破とは一体何なのかと。自分の個性は言うなれば発動と異形の複合型の個性。異形型や複合は個性に由来する器官・部位の更なる鍛錬が基本と説明されたのだが……その場合の鍛錬とはどうすればいいのだろうか。そんな時にラグドールが肩を優しく叩いた。

 

「大丈夫だよ、あちきがちゃんと説明してあげるから!」

「よろしくお願いします、えっと……ラグドール先生」

「あはははっ先生っていい響き~!んじゃピクシーちょっと来て~」

「はいは~い」

 

そんな風に笑っているラグドールだが、彼女の瞳はまるで母親が子供を見守るかのように酷く温かく優しい物だった。それは彼女の個性が龍牙を捉えたのが理由だった。ラグドールの個性は『サーチ』。目で見た人間の居場所、弱点などの情報を100人まで知ることが出来るという情報系個性。本人が把握しきれない個性情報すら把握する事が出来る、しかし個性以外の事は把握しきれない……が、彼女が目にした情報には何故龍牙についての情報があった。

 

過去に個性因子誘発物質を投与したからか、何故投与したかという情報に加えて―――彼が個性のせいで家族に捨てられたという情報まで得てしまった。確かに個性に関する事だ、だがこれは知ってはいけない事だった。その情報を見た時に初めて自分の個性が少し嫌になった。その後に相澤から事前に渡されていた生徒個人情報を確認して今は幸せに暮らしている事も分かったが……ラグドールの龍牙に対する印象は変わらなかった。

 

「さあさあレッツプルス・ウルトラ~!!」

 

願っていた個性のせいで両親に捨てられた悲劇の少年。だがそんな少年は真っすぐに生きようとしている、ならば自分はその手伝いをしようと思って全力で力を貸す事を誓う。

 

「ではでは君の訓練方法を伝えるよ!!まず、君は個性を完全に発動させたうえで黒い龍を出した状態を維持したままでピクシーの出す土魔獣と戦い続けて貰うよ!」

「そして私が不定期に戦う地形を作り替えていくから、それに上手く適応しながら戦う事!!」

 

ピクシーボブの個性『土流』。土を自由に操作できる個性で土を操作する事で獣の姿を模った土魔獣を作り出し、遠隔操作する事も可能。施設に行くまでの魔獣の森にはこの土魔獣が無数に配置されており、A組はその魔獣を突破しながら施設を目指さなければいけなかった。

 

「因みに最初にサービスで言うけど、足場は基本悪い状態だからね!」

「あと龍にずっと乗って戦い続けるのはダメね!」

「分かりました、じゃあ……お願いします!!」

 

 

リュウガ……!!

 

後ろに引きながら個性を発動させて姿を変じさせる龍牙、体育祭を見ていた二人はその姿を見ても特に怖がったりはしないが生で見る迫力もあり少しだけ驚く。そして龍牙が意識を集中すると右腕にあった龍頭から炎が溢れていき、龍頭が分離するように飛び出してドラグブラッカーとなって龍牙の周囲を飛ぶ。そして直後に龍牙の足元が大きく隆起して戦闘の足場の悪いバトルフィールドを形成しながら、周囲を十数体の土魔獣が取り囲んだ。

 

「この受難に感謝を……!!行くぞぉ!!!」

『グオオオォォォッッ!!』

 

龍牙の咆哮と共に叫びをあげるドラグブラッカー、迫りくる土魔獣へとその拳を向けながら立ち向かっていく。




ドラグブラッカーを出現させる際には、右腕の龍頭が分離、それを基点としてドラグブラッカーとなる。故に今まで龍頭を使用しての技が使えなくなるので状況によって危機に陥る。
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