僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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2人の英雄編―――天才と龍牙

「龍牙君、本当に招待してくれてありがとうね!!」

「礼なら校長に言っといてよ、そもそも話を持ってきてくれたのはそっちなんだからね」

 

龍牙と葉隠の姿は長い飛行機での時間を経てI・アイランドへとあった。元々が根津への招待だったからか専用機のチャーター便での空の旅、最高級クラスでの超快適な空での旅を経て到着したI・アイランドで今は入島の為のチェックを受けている最中だった。所持している招待状や身分が投影式のモニターで確認されると無事に入島が許可されていよいよI・アイランドへの内部へと足を踏み入れる事が出来る事になった。

 

「ううっもう私楽しみ過ぎてワクワクだよぉ!!だってあのI・アイランドだよ!?私感激だよぉっ!!」

 

I・アイランドでは日夜世界中から集まった科学者たちが個性やサポートアイテムなどの研究が行われている。この都市は日本国外なので、公共の場で堂々と個性を使用するのも違法ではなく、個性を活用した娯楽も充実している。そして様々な施設も大量にある為、衣食住で不便することは全くない。此処で出来ないのは研究での守秘義務などがあるので旅行位しか出来ない事が存在しない程である。

 

「I・エキスポも近いだけあって凄い人だなぁ……後でパビリオンにも行ってみようか、日本じゃ見られない個性を最大限に使った娯楽施設もあるみたいだし」

「行こう行こう!!」

「さてとそれじゃあまずはホテルに寄ってから荷物を置いてから、連絡をしないとな……」

「あっそっか、龍牙君は此処でコスチュームを作りに来たんだもんね」

 

と葉隠も超ハイテンションでとても乗り気だった。遊園地顔負けの施設が山ほどあるという事もあるが、それ以上に龍牙と共にそれらを巡れるという事が堪らなく嬉しい模様。と言っても龍牙の本来の目的は此処で自らのコスチューム制作なので遊びに来た訳ではないのだが……その位の時間はあるだろう。そんな風に思っていると此方に一つの影が迫って来ていた。

 

「おっ君が黒鏡 龍牙、かな。待たせるのも申し訳ないから迎えに来させて貰ったよ」

 

不意に自分の名前を呼ばれた事に反応するように振り向いてみると、そこには日本人と思わしき男性がフレミングの法則らしきハンドサインを作りながら此方を見つめていた。そんな男性に龍牙は見覚えがあった。ヒーロー界隈で一世を風靡、数々のヒーローの個性に合わせたサポートアイテムを作り出し、オールマイトに負けない程に平和に貢献し続ける自称天才物理学者に恥じない超が付くほどの大天才の博士がそこにいた。

 

「君の事は根津先生から聞いてるよ、ようこそI・アイランドへ」

「き、きき、桐生 戦兎博士だぁぁぁっっ!!!?」

 

葉隠は思わず大声を出しながら驚愕してしまった。龍牙が現地で合流予定になっている校長の教え子、と言っていた人物がまさかのあの超大天才の物理学者、桐生 戦兎だと思いもしなかった。が、これには流石の龍牙も予想外だったのか緊張しながら挨拶をしながら差し出された手を握り返した。

 

「わぁぁっ凄い凄い!!サポートアイテムとかコスチューム業界だと知らない人がいない位の超有名人と会えるなんて!!」

「俺としては先生からのお願いを聞いたに過ぎないんだけどね、まあそんなに硬くならなくても良いさ。さっ俺の研究室に案内しよう、そこで早速実験を始めようか」

 

そんな大天才に連れられて到着したのは桐生 戦兎専用の研究スペースとして用意された大型のビル。地上15階、地下3階まで完備した超大型施設、それら全てが彼一人の物だというのだから驚きである。そんな一室に通された二人、そこで目にしたは大型の機器がこれでもかというほどに設備されたこれぞ研究室という風な部屋であった。

 

「んじゃ龍牙君にはまずそっちで個性を発動させてくれ、簡単に君の個性数値を測定させてもらうからさ」

「分かりました」

 

指示されるがまま複数の器具の矛先が向けられているガラス張りの部屋へと入っていく龍牙を見送りながら戦兎は共に来た葉隠へと視線を向け直す。

 

「んでそっちの葉隠さんは龍牙の彼女さんか何かなの?」

「か、かかっ彼女なんてそんな!!?」

「フムフム、その反応からすると彼女ではないが好きではあるらしいね」

「あうあうっ……」

 

完全に胸の内に秘めているものを見破られた葉隠、見えないが顔を手で隠しながら思わず声が出てしまっている。そんな姿を見つつ若い子の青春だな、と思いつつそんな事を思う自分の年齢云々で自虐的になりながらも装置のスイッチなどを入れていく。

 

「こっちの準備は済んだ、それじゃあ個性を」

『はい』

 

全身の力を抜き、意識を集中させる……自らの内面に直接訴えかけるかのような感覚で体内にあるそれらを引きずり出す……そしてそれは龍牙の意思に呼応するように眠りから目覚めて黒い炎となって身体中を包み込んでいく。

 

リュウガ……!!

 

「これはっ……!!」

 

初めて目の当たりにする黒き炎から出でた黒龍の姿に思わず息を飲む。その身を覆う黒き鎧、その姿、圧倒的な存在感、そして計測されていく個性数値の値に驚愕を覚える。異常なまでに高い数値、唯才能があるだけではこのような数値には絶対にならない。厳しい訓練を数年、いや最低でも10年は続けないと出せないような数値になっている。根津から龍牙はギャングオルカの弟子でずっと厳しい訓練をし続けてきたという話は聞いた、その努力の結晶とも言える数値がそこにはあった。

 

「素晴らしい……なんて素晴らしいんだ……!!」

 

戦兎の胸に溢れたのは溢れんばかりの称賛と畏敬の念だった。話で個性の見た目について苦労している事も聞いているがそれについてはもう気にしなくなり始めているという事は知っている、だが実力についてはノータッチだった。実際に会って知るのを楽しみにしていた。そして今、こうして改めて凄さを知って感動の嵐。

 

「龍牙君、俺は全力で君の為に動かせてもらうよ。君に相応しい最強のアイテムを作ってみせる!!」

『心強い限りです』

「それにこの数値なら、俺の傑作のあのアイテムのパワーにも耐えられるはずだ!!ああ、なんて良い日なんだ!!先生からのお願いだから引き受けたけど、ああっ最っ高だ!!!」

 

歓喜に震える戦兎は同時に思う、此処まで練り上げるのにどれだけ苦労と努力を重ねてきた龍牙、彼の凄まじさが。そして同時に―――その凄さを知りたいという欲求が生まれる。それらを満たす為、龍牙の為にも自らの成すべきことを行い始める。




っという訳で我らが天っ才物理学者さんのご登場です。
はい、名前ネタです。だってまあ……万丈ではないけど名前は同じだし。

皆、大体万丈って呼ばれてるけど龍我でもあるんだよ万丈って!!まあ呼んでるのかずみんと香澄さん位だったような気がするけど。

万丈が、万丈だ、って呼ばれるのが主流なのも全部エボルトのせいだな。

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