僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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鯱、動く。

「があああああああぁぁぁぁぁっっっ!!!!」

 

地獄の業火が身を焼き焦がす、だがそれらを何かが直し再び壊していく。破壊と創造の無限ループ、それが齎すのは無限の苦しみ、激痛と苦痛のデュアルショック。声すら出せなかった龍牙は増していく痛みに耐えきれずに絶叫を上げ続けていた。身動きも出来ない闇の中で黒い炎が身を焦がし続けていく。

 

 

―――ふむっ……悪くない傾向だ、その調子だよ。その調子で自らを焼き続けるんだ龍牙君。

 

 

それを見つめながら笑みを浮かべる影がある、苦痛に悶える龍牙を見ながら何か興味深い研究成果を見つめる科学者のような振る舞いで見つめ続けている。

 

「あああああぁぁぁぁっっっ!!!!」

 

次第に龍牙の身体に変化が起き始めていく、完全にリュウガとしての鎧が砕け散り黒煙が龍牙自身の身体を焦がす中で少しずつではあるが龍牙に新しい鎧が生まれ始めていた。今までの物と似ているが明らかに違う何かが生まれ始めている。より刺々しくもありながらも美しいそれを見た男は大きく笑いながら言った。

 

 

―――素晴らしいよ龍牙君、そうで無くは困る。君の才能はそんなものではないんだよ、さあもっと見せてくれ。君の奥底に眠っている本当の才能を。その為に僕は君を地獄に落とそう、さあ地獄の奥底の炎の中から這い上がって生き残って見せてくれ。その時、君の本当の才能が開花するんだからね……そう、生きるという才能がね。

 

 

「―――っ……!!!!」

 

無限の牢獄のような苦しみと地獄のような炎の中で龍牙は叫び続けた、空間に木霊し続ける叫びは次第に弱くなり始めている。一体何時間叫び続けているのだろうか、そんな龍牙にも限界が近づいているのか、それを暗示しているのか次第に声が、か細くなっていく。それでも地獄は弱まる事は無く、余計にそこを漬け込むかのように強く身体を焦がしながら心さえも灰にしていくように、火を灯す。

 

 

「龍牙、待っていろ。もうすぐお前を助けてやる、本当は俺が救いたい所だがな……!!」

 

ギャングオルカはチームを率いて脳無がいるとされる地点へとやってきていた。ベストジーニスト、虎、Mt.レディ、そしてビーストマンとミラー・レイディのチーム。ギャングオルカは最後の二人の参加に対して舌打ちこそしたが戦力として考えれば確かなのも事実だからか、苛立ち混じりに了承した。彼の目的は敵連合なんてどうでもいい、大切な息子が助かる為に少しででオールマイト達が行う作戦の成功率を引き上げる。ただそれだけの為に此処にいる。ヒーローとして立っているのにもかかわらず、彼は一人の子供を持つ親としてそこにいた。

 

「周囲への避難勧告と配置終了しました」

「うむっMt.レディ準備は」

「何時でもいいですよ、愛する龍牙の為に私だって張り切りますから!!」

「おい貴様、親である俺がいるのにも拘らずその発言とは舐めてるのか」

「いやいやいや分かってるでしょ!?私が言ってるの姉としてですぅ!!?」

「自称だろうが」

 

そんな事を言いつつも内心ではギャングオルカはMt.レディには感謝している。自分の知り合いを紹介する中で龍牙に対して恐怖を覚える者も少なくなかった中で彼女は龍牙に対して恐怖を一切抱かなかった稀な人物だった。それ所か姉のように振舞って龍牙に感じる事が無くなっただろう姉弟愛という物を与えて寂しさを消した。そういう意味では感謝している、自称姉ではあるが。

 

そんな中で最もバツの悪そうな顔をしているのはビーストマンとミラー・レイディの二人だった。実の親である二人は龍牙に関わる事を根津から禁止されている上に自分達はそれを飲んでいる、加えて自分達は龍牙を捨てた上に龍牙が攫われたと言われても大きく取り乱す事もなかったのに、義理の親であるギャングオルカはあそこまで龍牙の事で激情を浮かべていた。これではどちらが本当の親なのか分からない。

 

「いいかビーストマンとミラー・レイディ、そろそろ時間だ」

「―――分かってるさ、役目を果たそう」

「ええっ……未来ある子供を助けましょう」

 

間もなくと迫った時間、それは作戦の決行時間。Mt.レディは個性を発動、巨大化しながら瞳を鋭くしながら足にはめ込むようにしておいた軽トラごと足を持ち上げた。そして全力で踏み抜くかのように目の前の建物に対して踵落としを繰り出した。

 

「ッシャァ!!!」

 

建物はあっけなく崩落しでかでかと巨大な穴を作った、そこからは建物の内部が見える。そこにあったのは無数の水槽のような培養槽、そこに繋げられた無数のケーブルやらが内部にも伸びている。

 

「皆さんそこの箱の中にいっぱい脳無が!!」

「捕らえるっ!!」

 

前へと出たベストジーニスト、その途端にまるでセンサーが感知したかのように動き出した脳無は一斉に進撃を開始する。我先にとヒーローを殺す為に迫ってくる脳無の一体の頭部をトラのような爪が切り裂いたうえで蛇のような身体をしたビーストマンが拘束する。

 

「舐めるな脳無し共!!」

「簡単にやらせるとお思いで!?」

 

迫る脳無の攻撃を完璧にいなしながらも後ろへと投げ飛ばしつつも、その背後に鏡を形成するミラー・レイディ。その鏡からは脳無の一撃が出現し、鏡の位置から放たれたそれは脳無の後頭部を的確に捉えた。地面で転げるそれを目を凝らしてようやく見える程の細い細い繊維の嵐が縛り上げていく。ジーンズのようなコスチュームを纏っていたベストジーニスト、そのコスチュームから伸びた繊維が脳無たちを縛り上げていく。的確に動きを封じていく中でジーニストが呟いた。

 

「脳無格納庫、制圧完了」

 

これでオールマイトの方に脳無が行く事は無い、自分達の任務は成功になる。少々あっさりだったが難易度と重要性は=ではないとそんな考えを捨てて待機していた機動隊にすぐさま確保用の檻を用意するように頼む。後は脳無を全て檻へと放り込み、状況を見てオールマイトの方へ応援に行くかだが……そんな時だ、突然周囲が一気に崩壊し始めた。

 

「な、なんだ!!?」

「全員退避だ!!」

 

ギャングオルカの素早い指示で全員がその場を離れるが同時に大爆発が巻き起こった。建物だけではない、その辺り一帯を吹き飛ばすかのような物が引き起こされた。粉塵で周囲の視界が死ぬ中、痛みと共にギャングオルカは目を覚まし周囲に声を掛けた。

 

「全員、無事か……?」

 

それに帰ってくる声はない、呻き声こそあるが無事だと返す者は居ない。今の衝撃で気を失っているのか、そう思い身体を起こすと周囲は完全に瓦礫の山と化していた。そんな中央に一つの影があった、それは正しく闇その物だった。黒い身体に頭全体を覆うかのような不気味且つ髑髏のようなマスクは異様な存在感を発しながらそこに鎮座していた。そしてそんな闇が隣に置いている影があった。

 

「っ―――!!!」

 

それを見た瞬間に全身に力が漲ってきた、そうだ自分はその為に此処に来たんだ。ある意味で最悪だがある意味ではよかった、この手で助けてやれる、絶対に助けると誓ったものがそこにいるからだ。

 

「龍牙ァァァァッッッッ!!!!」

 

「―――ぅぁっ……」

 

瞳には光はなく、闇だけを映していた龍牙はギャングオルカの叫びを聞いたからか少しだけ、動いた。そして―――それを見た男、いや龍牙を狂わせた元凶は大きく笑い声を上げた。

 

「祝福しようじゃないか龍牙君、今日こそが君の本当の誕生日だ!!」




ビーストマン、個性:干支
自身の身体を干支の動物の特徴を身体に反映させて使用する事が出来ぞ、但し龍だけはコントロール出来ないのか使用出来ない!!それでも11の動物の特徴を使いこなす事が出来るから十分凄い個性だ!!

ミラー・レイディ、個性:反射
受けた攻撃を反射する鏡を作り出す。但し反射するには攻撃を受けなければならず、常にダメージのリスクを抱えている!!本人はそれを流しの技術で危険を避けているぞ!!

マイク風な紹介、ここでやらなきゃ多分絶対紹介なんてしないと思うので。

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