僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「貴様ぁ俺の息子から離れろぉ!!!」
「息子、おや奇妙だね。この子の親はそこに転がっている二人だと思っていたけどね」
男はギャングオルカの方を向きながらわざとらしいアクションをしながらそう聞き返した。ビーストマンとミラー・レイディは未だに伸びているのかピクリとも動くもしない、確かに親という意味ではそれが正解なのかもしれないが彼はそれと強く否定しながら地面を踏みしめながら叫んだ。
「こいつらが親だと、笑わせるなぁ!!!高々子供の見た目で、世間体だけでその子供を捨てたド畜生だ!!!龍牙の親は俺だぁ!!!」
今すぐにも飛び出していきそうな身体を無理やり抑えつけながら構えを取るオルカ、本当ならば今すぐにでも龍牙の元へと駆け寄って助け出して思いっきり抱きしめてやりたいほどなのだがあの男が邪魔過ぎる。これほどまでに周囲を支配するような威圧感を放出する男が弱い訳が無い、全身全霊を出し尽くす覚悟で戦わなければならない。
「貴様龍牙に何をしたぁ!!!俺の息子に何をした、如何してそこまで苦しんでいる!!」
「何もしていないさ、ただ彼の才能を抉じ開けただよ」
「抉じ開けた、だと……!?」
「そうだよ、ギャングオルカ。君はよくぞここまで彼を成長させてくれた、だけど君では彼の奥の底にある真実にはたどり着けない。だから僕が辿り着かせてあげるんだ、さあ龍牙君、君の生誕を祝おう」
座り込んでぐったりしている龍牙に声が掛けられた、その声に呼応するように龍牙はゆっくり瞳を開くと前を向いた。うつろな瞳、光など無い瞳で辺りを見渡していく。そして目の前のギャングオルカを視界に捉えると不気味な操り人形のように動きで立ち上がった。
「龍牙……貴様何をした!?」
「軽い催眠状態なだけだよ、余りにも苦しそうだったからねぇ……今それを解いてあげよう」
指を打ち鳴らすと龍牙の瞳に光が戻る、一瞬なにも理解出来なさそうだったが直ぐに思い出す。そしてオルカの姿を見ると思わず声を出してしまった。父さんと。
「っ―――師匠だ馬鹿もん、だが無事でよかった……龍牙今すぐこちらに来い!!」
「はいっ!!」
何が何だか龍牙には理解しきれていない、だが敬愛する父の言葉に間違いなど無いと迷うことなくそれに従った。だが直後に龍牙の動きが止まる、その背中に男から伸びていた赤黒い棘のように伸びた指が突き刺さる。
「がぁっ……!?」
「龍牙ぁぁぁぁ!!!貴様ぁああああああ!!!!」
ギャングオルカは正しく激昂した、目の前で自分の息子を攻撃された。それだけで激怒するには理由としては十分だと地面を抉るように地面を蹴って一気に接近してその男へと殴り掛かった、だが男はギャングオルカの突進を片腕で受け止めてしまった。片方の一撃も龍牙から指を引き抜いて軽々と受け止めて見せる。
「中々のパワーだね、だけどそれだけじゃあ僕には勝てないよ」
「黙れぇい!!!俺と龍牙の事を何も知らん貴様がほざくなぁ!!それに貴様は何も知らんようだなぁ……!!」
「ほう」
直後、ギャングオルカのパワーが急激に上昇していく。筋肉が脈動しえげつないレベルにまで高まっていく、それを抑え込むのは困難、先程まで完全にパワーで圧倒していた筈の男を上回る程の怪力を発揮しながら男を捻じ伏せるかのように押し込んでいく。
「これは驚いたね、この膂力を抑え込むなんて」
「子供を守る親はなぁ……世界最強なんだよ……だから、今の俺は!!」
更に力が増す。目の前で龍牙を守り切れなかった自分への不甲斐なさ、もっと冷静に判断すれば龍牙を確実に助けられたのではという苛立ち、だから今だけでいい。全てを覆す、善を覆う悪を圧倒する、今だけでいい。限界を超える、更に向こうへ行く!!
「オールマイトさえ、俺の足元にも届かんわぁぁ!!!!」
悪を捻じ伏せる、そのまま連続で拳や蹴りを炸裂させていく。殴りつけるたびに空気が爆発しているかのような音を立てていく。目の前のそれに不甲斐ない自分を重ねながら今それを乗り越えていく。一撃を炸裂させた後に頭部から全力で超音波を放出する。
「むぅっこれ程の威力をっ……!!」
初めて男の声に焦りが見えた、周囲の瓦礫を粉砕しながら吹き飛ばす程の威力の超音波。それに耐えようとするが、下手に耐えていては身体に深刻なダメージを追う事になると判断した男は、その激流のような勢いのそれに身体を委ね、敢えて吹き飛ばされる。瓦礫をなぎ倒すように吹き飛ばされていくそれを見つめるとギャングオルカはすぐさま龍牙の元へと駆け寄る。
「無事か龍牙!!」
「だ、大丈夫です……動けます……!!それより父さん、あそこにレディさんが……!!」
「ああっお前を助けに来た救出チームだ、全員連れて此処から撤退する!!」
「分かり、ました……!!ドラグブラッカー……!!」
動けると言っても身体は酷く思い、故にドラグブラッカーを呼び出し自分はその上に飛び乗った。そしてギャングオルカと共にヒーロー達を担ぎ上げて大急ぎでその場から撤退する。
「参ったなぁ……ギャングオルカがあそこまでやれるとは計算外だ。う~ん如何しようか、彼には弔の右腕になって貰おうと思ったんだけど……いや、今は放置しておくべきか。君が真実に到達した時、周囲はそれを受け入れられるかな。その時こそ改めて君を誘う時だ。それまでは―――仮初の正義に酔いしれておくといいよ龍牙君」
不穏な言葉を残しながら男は立ち上がりながら、放置されていた脳無達を自らの力で遠くへと転送する。そして自らは少しだけ笑いながら自らを殺した相手に思いをはせる。
「さあオールマイト、君は本当に平和の象徴として彼を導けるかな……光で闇を導けるか楽しみにさせてもらうよ」