僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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助けを求める黒龍

「お願いだから、龍牙君の事を流して……!!」

 

頻りにテレビではオールマイトを讃えるニュースが放送され続けている、林間合宿の一件で自宅に戻された葉隠は部屋にこもり続けていた。目の前で憧れであり初恋の人ともいえる龍牙が闇に飲まれ連れ去らわれるところを目撃してしまいすさまじいショックを受けてしまっていた。家に戻ってからもずっと部屋に籠ってただただ只管龍牙の無事を祈り続けていた。だがそんな彼女に齎されていたのは偶然ついてしまったテレビだった。

 

そこにあったのは壊滅的な被害を受けていた神野区にてオールマイトが巨悪を打ち砕いたというニュースだった。その巨悪は敵連合のブレインとされる凶悪なヴィラン、凄まじい激戦の末に変わらぬ平和の象徴だったオールマイトは衰えた姿を世間に見せてしまったが、それでも尚変わらぬ光をもって闇を打ち破った。悪を滅ぼされた。だがそれから流れるニュースはオールマイトの事に関する事ばかりで龍牙の事を全く報じなかった。彼女はテレビを付けたままネットニュースなどでも情報を必死に集め、龍牙の事を探すが全く見つからない。

 

―――彼はどうなったのか、世間だって龍牙の事で雄英をあんなに攻めていたのに、オールマイトが活躍したからそっちは如何でも良くなってしまったのか、なんで。

 

と様々な思いが交錯していく中で不安な気持ちでいっぱいになってしまい、涙が零れ落ちてしまう。涙は必死にマウスを動かす手の上に落ちて弾ける。

 

「龍牙君……」

 

オールマイトの事も重要だが彼女にとっては龍牙の方が何倍も大切だった。少しで良いから情報が欲しい、保護されたという文字だけでもいいから自分に見せて欲しい、そんな思いが募っている中で携帯が鳴っている事に気付いた。履歴を見てみるとこれで5回目の着信でどれも同じ番号だった。取り合えず出てみる事にする、酷い声になりながらも通話を繋げてみると電話の主はピクシーボブだった。

 

『葉隠ちゃん今大丈夫!?』

「大丈夫じゃ、ないです……」

『えっ大丈夫なの!?』

 

と心配するような声で聞こえてくるが葉隠は涙ながらに話した。龍牙が心配で堪らない、世間はオールマイトの勝利でいっぱいだけど自分はそれよりも龍牙の事について知りたいんだと、そう告げた。その直後にピクシーボブから力強い返事がやってきた。

 

『それなら大丈夫よ!!さっき虎から連絡があったの、龍牙君は無事だって!!!』

「えっ……?」

 

待ち望んでいた筈の言葉、龍牙の安否。それが知れた筈なのに葉隠はそれをハッキリと認識できずに間抜けな声を出してしまった。直ぐに理解出来ずに数秒の時が立ってから我に返ったように携帯を押し当てるようにしながら大声を出した。

 

「ほ、本当なんですか!!?龍牙君が無事だって!!!?」

『マジもマジの大マジよ!!虎が龍牙君の救出メンバーに入ってて、それでさっき連絡をくれたのよ!!龍牙君は無事よ!!今は病院で検査を受けてるんだけど軽傷で済んでるって話よ!!葉隠ちゃん今から出れる!?一緒に病院に行きましょう!!』

「す、直ぐに行きます!!」

 

直ぐに待ち合わせ場所を決めると葉隠は身支度を整えると弾丸のように部屋から飛び出していった。

 

「透!?ずっと部屋に籠ってたと思ったら如何したの急に!?」

「出掛けてくる!!」

「えっええっ!?ちょ、ちょっと待って!!?今オールマイトさんのニュースが……」

「そんなのずっとやってたでしょ!!?そんなの如何でもいいから行ってきます!!」

 

と家を飛びしていく愛娘を呆然を見送っていくしかなかった母を尻目に葉隠は全速力でピクシーボブとの待ち合わせ場所へと急いだのであった。

 

「あ、貴方……透がなんかすごい勢いで出掛けて行ったんだけど……」

「彼氏でも出来たのかな、お赤飯の材料買っといた方が良いかもね」

「まぁっ!!それは素晴らしいわね♪」

 

そんな一幕が葉隠家であったり。

 

 

「すまん龍牙、俺がもっと確りしていればお前に怪我なんぞさせなかったのに……」

「気にしすぎですよ師匠、怪我って言っても普段の訓練よりずっと軽症ですよ」

「……今は父さんと呼んでくれ」

「えっ……あっはい父さん」

 

龍牙が入院している病院の病室、そこでは検査などを終えたが体力の回復の為に一時的な入院をしている龍牙がベットにいる隣でギャングオルカが酷く落ち込んでいるかのように項垂れながら、普段ならば師匠と呼べと言う筈なのに態々父さんと呼んで欲しいという始末。今回の事件において、あの男、巨悪 オール・フォー・ワンに最後、龍牙を攻撃させてしまった事を酷く悔いているらしい。

 

「俺は……父親失格だ……」

「え"っなんですいきなり」

「俺はお前が連れて行かれたと聞いた時、血の気が引いた。お前を取り戻さなければならないと焦って作戦会議の邪魔をしてお前が苦しむ時間を伸ばしてしまった……お前は苦しみ続けたのだろう……」

「いやまあ、その……そんな所です……」

 

此処で否定しても意味はなく寧ろ落ち込むのではと思ったので此処は素直に答えておく。それを聞いて矢張りなと肩を落とす姿を見てこんな弱気な所は見た事が無いと動揺する。

 

「それだけじゃない。お前を守る守ると言っておいて最後の無様はなんだ……奴の攻撃を受け止めるどころか何も出来ずに……」

「あれは完全な不意打ちと言うか、俺が避けられなかったせい……」

「お前は催眠状態を解かれた直後だった、そんなお前がまともな回避などできる訳が無い。お前は悪くない」

「(……えっ誰この人、本当に師匠……いや、父さんなの?)」

 

龍牙は困惑していた。普段から厳しいギャングオルカが此処まで弱気且つ自分の責任を一切追求せず、寧ろ己を責めるような事を繰り返すなんてことは今まで数える程度……その位しかなかった。龍牙が一番覚えているのは無人島訓練後、少し態度をキツくした後、根津から落ち込んでるからその位にしてあげなといわれるまでの間位の事だろう。

 

「それに俺は改めて思い直した……俺は、俺は……親としてお前に飴をやった事があったか!?」

「……飴?」

「そうだ!!俺は今までお前に何回飴をやった!!?やっていたのは殆ど校長の方だろう!?」

 

飴と言われて何のことか分からなかったのだが、龍牙はもしかして飴と鞭の事を指せているのではと察する。この場合は厳しく接するギャングオルカが鞭で飴は優しく接する根津の事を指しているのではないだろうか。まあ確かにギャングオルカに優しくされた事はあまりない、厳しさこそが優しさだと龍牙は理解している。だから何も思わなかった。

 

「そうだろう!!?俺はお前に厳しくばかりでお前を遊びに連れて行ってやった事も家で遊んだやった事も全然無いだろう!!?これは親か、ただの師匠で俺は親じゃないだろ!!?」

「え~っと……」

「対して校長は校長で忙しい筈なのに、確り休みにはお前と一緒に居て遊んでやったという話もあるし誕生日のケーキを一緒に選びに行ったらしいじゃないか!!あの人の方がよっぽどいい親じゃないか!?じゃあ俺はなんだ、これじゃああの夫婦以下ではないかぁぁ!!!!」

「(誰か助けて)」

 

慟哭するギャンクオルカを尻目に龍牙は素直に助けを求めた。そんな所に向かうピクシーボブと葉隠、ある意味の修羅場は近い。




悩むギャンクオルカ。
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