僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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寮へ入る黒龍

林間合宿のゴタゴタもあってから初めて1-A組が全員集合する事になった。集まっているのは築三日の新築学生寮、途轍もなく完成までが短いがそこは雄英が持てる力を使って建築したからである。集まった皆がまず思ったのが龍牙の身の安全であった。助けられたという事はオールマイトの一件に比べるとかなり遅く報道されたので皆知っているが、改めてこうして顔を合わせる事で実感として現れる物があった。

 

「さて諸君、無事にまた集まれて何よりだ。取り合えず俺から一言だ、本来あの場では俺達大人がお前たちを守るべきはずだった。そのせいで皆には迷惑を掛けた、特に黒鏡お前にはな」

「気にしてませんよ相澤先生、あの状況なら致し方ないですしヴィランの用意も周到でした」

「ああっそれは事実と言わざるを得ない。だからこそ、今回の寮制の導入は一方的だが皆を守る為に必要な物だった。皆、ご家族を説得するのは苦労したと思うが此処にいる事を感謝しておこう」

 

相澤本人も林間合宿の一件ではかなり責任を感じていた、あの場に居れば龍牙を捕縛した脳無や連れ去ったワープの個性持ちを完全に無力化出来ていた。あの時自分は赤点を取ったものの補修を行っていて何も出来なかった、結果として龍牙は連れて行かれてしまった。

 

「だが今度は大人が君たちを守る、それを信じて欲しい。そして君たちは俺達の保護下の元で仮免習得の為に精を出して欲しい。さて……長々と話したがこの位にしておこう、では中に入ろう、元気に行こう」

『はい先生!!』

 

皆が相澤に続いて中へと入っていく中、龍牙を相澤を引き留めて一言を伝えた。

 

「B組の担任のブラドがお前に感謝をしていた。経緯はどうあれ、お前がいたからB組の生徒は事実上無傷で済んだ。その事に感謝していた」

「……喜んでいいんですかねそれ」

 

B組のブラドキング先生的にはB組の生徒に一切の被害が出なかったのは龍牙が物間を除いた全員を気絶させたうえで施設まで送り届けてくれたからこそ。理由はどうあれ大切な教え子を救ってくれたことに関しては感謝しかないと相澤は口にするのだが……龍牙的には複雑なものがあるのも事実である。

 

肝心の寮は地上5階地下1階建、2階から左右に分かれており向かって右が女子用、左が男子用となっている。1階は共同エリアになっていて食堂も完備されていて此処で調理して食事を用意する事も出来る。朝と夜はランチラッシュが食事を届けてくれる事になっているので、使うとしたら昼食時だろう。そんなこんなで各自の部屋も割り当てられ、それぞれの荷物が運び込まれているのでこの日は部屋づくりになる事になった。

 

「みんなお疲れ様、部屋出来た?」

「おう漸くな」

「やっぱ時間かかるなぁ~」

 

共同スペースの一角に男子は集まってそれぞれの部屋について話している。既に日は落ちているので後は寝る程度の事しかない、そんな所へ女子も漸く終わったのがやって来た。ワイワイと話をする中で何処かソワソワしている龍牙に目が留まる。

 

「おい龍牙お前如何したんだ?なんかソワソワしてるけど」

「あ、ああ……基本的に家には人いなかったから。休みの時は一緒に居て買い物とかしてたけどそれ以外は大抵一人か師匠と訓練だったからその、なんていうのかこういう感じが、なんかその落ち着かなくて……」

 

龍牙の親は根津とギャンクオルカ、どちらも基本的に多忙。そんな龍牙の休日の過ごし方は家で家事をしながらの留守番か自主トレか自習ぐらいしかなく一人で何か出来る事ばかりでこんなに誰かと一緒に居た事など無い。今日から此処に住む、A組の皆と一緒に居るのは嬉しい事だろうが矢張りどこか慣れない所があるのだろう。

 

「あ~でもなんか解るわそれ、これからは部屋出たらすぐに顔合わせるもんな。寮なんて全然経験ないから俺もワクワクしてるわ」

「僕もだよ切島君。ちょっとそわそわしちゃうのも分かる」

「それに俺、雄英に来るまで友達いなかったから……」

『さらっと重いのが来たぁっ―――!?』

 

緑谷と葉隠は知っているが皆にとっては全く知らぬ事、根津に引き取られてから全く友達がいなかったゆえに如何したら良いのか分からないというのもある。そんな彼に芦戸と葉隠がある提案をした、これから寮生活を行う上で大切な事、皆の部屋の場所を知っておく事と行く事に慣れる事。

 

「という訳で……お部屋披露大会をしませんか!?」

『えっ』

 

という訳で龍牙を励ます&皆の部屋が気になると言う女子によって決まったお部屋披露大会が始まってしまった。トップバッターは緑谷から。当人は必死になって止めようとしたのだが抵抗も空しく部屋の扉が開け放たれてしまった。

 

「オールマイト部屋だぁ!」

「オタク部屋やね!!」

 

予想のど真ん中を突き抜けるかのような部屋全体がオールマイト一色。ポスターにタペストリー、人形何でもござれと言った雰囲気の部屋。どれだけ彼がオールマイトに憧れているのかが良く分かる、そんな部屋を見ながら龍牙は男子の部屋というのはこういう物なのかと間違った認識を持ちそうになるが、切島や上鳴が違うからと言われて持たずに済んだ。

 

「そういえば俺もオールマイトのポスターあったな……緑谷いる?」

「えっ良いの!?」

「ああっ俺も貰ったはいいけど、飾っていいのか良く分からなくて、それだったら緑谷が持っていてくれた方が多分いいと思う」

 

という訳で緑谷にポスターを渡すのであったが……それはオールマイトのヒーロー活動10周年を記念したタペストリー、非売品で手に入れるのは非常に困難でオークションに出せば凄まじい値が付くとさえ言われている品。根津から貰ったものなのだがまさかそこまでの物とは本人は全く知らなかった。

 

「そして男子最後は龍牙君の部屋!!」

 

龍牙の部屋は5階、部屋披露大会、男子は残るは龍牙を残すのみとなっていた。皆、龍牙がどんな部屋なのかドキドキしている中で最も緊張しているのは葉隠だった。

 

「(ど、どんな部屋何だろう!?やっぱり凄い知的な感じの部屋、それとも器具とかいっぱいあったり……ううっ緊張してくるよぉ……)」

 

思い人の部屋に合法的に入れる、こんな機会が来るなんてと思いながらも龍牙の部屋へとやって来た。

 

「正直言って多分、皆が期待するような物はないと思うけど……まあどうぞ」

 

そう言って扉を開けて中を見せる、ワクワクとした装いで皆が中へと視線を伸ばしてみるとそこにあったのは……酷く大きなソファチェア、赤やオレンジなどで何処か派手な印象のある家具や大きなぬいぐるみ、ロングコートが掛けられたハンガーに何処か女性っぽさを感じさせる小物などが置かれてあった。男の部屋と言うよりは、恋人と同棲している部屋と言った方が良いのだろうか。

 

「へぇっ~こんな風になってるのか、お前の部屋」

「これなんか女の人っぽいけどどうしたの?」

「それはレディさんからの贈り物、そっちはミッドナイト先生でそっちはリカバリーガール」

 

そう、龍牙の部屋は交友のあるMt.レディやミッドナイト、ばっちゃんであるリカバリーガールに根津やギャンクオルカなどがプレゼントした物ばかり。これらが無ければ龍牙の部屋は雄英が支給した品だけで構成されていただろう。因みに酷く大きなソファチェアはギャングオルカ、普段の感覚で自分の身体に合ったサイズの物を注文してしまったのだが当人は気に入っている模様。

 

「ねえねえ龍牙君あのぬいぐるみは!?」

「あれもレディさんから、なんだっけな……確かMt.レディベアって言ってたような……」

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