僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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三強と邂逅する黒龍

仮免を無事に取得し夏休みも終わり、遂に新学期が始まった。とはいえ龍牙的には楽しい楽しい学校生活の続きでしかない上に休みであっても友達と一緒に居られるだけで嬉しいのか笑顔が絶えない。毎日毎日が楽しい事の連続でしかない。そんな日の中、自分が根津とギャングオルカと楽しい夕食を楽しんでいた日の夜に緑谷と爆豪が大喧嘩をして謹慎処分になったという話を聞いて、少しだけ驚きつつも少しだけ羨ましく思ったりもしていた。

 

「喧嘩するほど仲が良いって奴か……」

「いやあの二人の場合は絶対に適応されねぇだろ」

 

その間に職場体験の更なる向こう側の段階、ヒーローインターンについての話が出てきた。その話については龍牙は根津とオルカから聞いたりもしていた。インターンは職場体験で得たコネクションを使用してヒーロー事務所の一員として活動をする事になるという物なのだが……自分は既にそれをやっていたのでは?と素直に疑問をぶつけてみたら根津には苦笑い、オルカには顔を反らされたりした。そんなこんなで三日が過ぎて緑谷が爆豪より一足先に謹慎から戻ってきた日のHR。

 

「それじゃあ緑谷も戻ってきた事だし、インターンについての詳しい話をしようと思う。まあ俺が説明するよりも実際にインターンを行っている方から言われた方が説得力とかあるだろう」

 

その言葉の直後に教室の扉が開け放たれる、そこから三つの影が見えると直ぐに入室してきた。酷く大柄で筋肉質な金髪の男にロングヘアに笑顔が絶えない表情が非常に映えている美人、猫背だが何処か瞳に鋭さと凄みを感じさせる男の三人。

 

「多忙の中を態々時間を合わせてくれたんだ、感謝しておけ。現雄英生の中でもトップに君臨する3年の3人、通称ビッグ3だ」

 

ビック3。雄英生徒の中で断トツの実力を誇る三強の生徒達、そんな人たちが時間を作って自分達に会いに来てくれたという事に少しだけ緊張が皆に走った。一体どんな個性を持っていてどんなふうに戦うのだろうと皆が思う中、相澤が黒髪の男、天喰に自己紹介をするように促す。天喰は少しだけ目を瞑って深呼吸をすると、再び瞳を開けて一瞥するのだがその時の迫力が異様の一言に尽きていた。

 

「―――師匠に、似てる……」

 

龍牙も思わず師の姿を思い浮かべる程に瞳は鋭く迫力に満ち満ちていた。正しく三強と言われるに相応しい風格と迫力を併せ持っている。一体どんな人なのかと思う中で天喰の身体が震え始めた、まさか今のやり取りで幻滅されたのだろうかと思う中でか細い声で天喰が言った。

 

「……ミリオ、波動さん駄目だ……!!ジャガイモだと思って臨んでも、頭部以外が人間のままで依然人間に、最早化け物にしか見えない。余計に緊張する……どうしたらいい、言葉が……出てこない…頭が真っ白だ辛い……帰りたい……!!」

 

本当に酷くか細く震えた声で放った言葉は完全な弱音、こちらを見つめる多くの後輩たちでメンタルがガリガリと削れていくのかこの場にいるのも辛そう。もう耐えきれないのか振り向いて壁に額を押し当てながら帰りたい……と切実な願いを漏らした。本当にこれが相澤がいう雄英トップの三人なんだろうかと疑いたくなってくる。

 

「あ、聞いて天喰くん、そういうのノミの心臓って言うんだってね!!人間なのにね不思議!!彼は天喰 環君。凄い上がり屋さんなの、小心者でもいいのね~こういうのをノミの心臓っていうのって不思議だよね~!!」

 

と代わりに隣の女子生徒が紹介をしてくれた。まあノミの心臓云々は見ていれば分かる。

 

「私が波動 ねじれ。今日はインターンについて皆にお話ししてほしいと頼まれて来ました。けどしかしねぇ……ところで、君は何でマスクを?風邪?オシャレ?あらあとあなた轟くんだよね!?ね!?何でそんなところを火傷したの!?」

 

と続いて女子の波動 ねじれが挨拶をするのだが……即座に脱線するかの如く各人が持つ個性的な部分に触れていく。矢継ぎ早に質問を行い答える間も与えずに次の標的へと向かっていく、好奇心旺盛でそれに赴くままと言った所だろうか。数多くのアクの強いプロヒーローと出会った来た龍牙も初めてのタイプに思わず呆然としていると今度は自分に飛んできた。

 

「ねぇねぇ!!君でしょ君でしょ龍みたいな見た目の個性の子って!!不思議~なんであれでヴィランって言われるんだろうね~カッコいいのにね~!!ヴィランっぽくなんて全然ないのにね!!世の中の方がよっぽど変なのにね!!気にしちゃだめだよ~?」

「あっはい解りました」

「うんうんうんいい子いい子~!!こんなにいい子がヴィランな訳ないのね~!」

 

と軽く頭を撫でられる龍牙。なんとも不思議な雰囲気のタイプの女性だがその本質は優しくて暖かい物だと分かる。一見Mt.レディのような一方的と思えたが、違う感じがしたのか龍牙的な印象は悪くはなかった。そして撫でている所を見て頬をパンパンに膨らませてむくれる葉隠であった(見えないが)。

 

「―――合理性に欠くね」

「安心してくださいイレイザーヘッド!!大トリは俺なんだよね!!」

 

とビック3最後の一人が教壇に立った。もう既に二人の時点でキャラが凄い濃い、これでもうお腹いっぱいな感じも漂っている。そんな雰囲気を見事に治め切る程のアメイジングな感じの挨拶をするというのだろうか。教壇に立ち、一つ咳払いをし軽く息を吸い込みながら腕を大きく振り上げ―――耳に手を当てた。

 

「前途~!!?」

 

あれほどの勢いからまさかである、問であった。Q.である。いきなりの事に皆が硬直しどういうことなのかと思う中で未だに撫でられている龍牙は首を傾げながら言う。

 

「多難~……で良いんですかね」

「おおっ有難う!!うん掴みは大失敗から失敗に格下げだ~!!あははははっ有難うね返してくれて、後もう撫でるのやめてあげたらどうかな?」

「え~でもこの子凄い撫で心地いいんだよ~?」

『……何だ、これ』

 

「(俺って撫で心地いいんだ……知らなかった)」

 

この日、龍牙が新たな勘違いを身に着けた瞬間であった。




「(龍牙君って撫で心地最高なんだ……!?それにあんなに黙ってされるがままって事は……もしかして好きなのかな!?これはアプローチに加えるべきなのでは……!?)」

実は初期プロットでガッチガチのヒロイン枠だった波動さんのエントリーだ!!
尚、この後の扱い的には未定。

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