僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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気に入られた黒龍

「ギリギリ見えないように努めたから大丈夫だとは思うけど、女性陣には本当に申し訳ない事をしちゃったよね!とまあこんな感じだったけど分かってくれたかな」

「ミリオ先輩、取り合えず俺達全員簡単にあしらわれた感じなんですが」

「まあそうだよね!それにしても龍牙君、君本当に回復が早いね!!」

 

ミリオの視線の先では腹部を抑え未だに痛みに耐えているA組のメンバーの他にガッチリと捕獲されるかのように確保され頭を撫でられている龍牙の姿がある。ミリオとしては龍牙の回復力に驚いている。龍牙の話題は三年生でも良く上がっており将来の有望株としてインターンを行っている事務所からも話を付ける事が可能かどうか、という話が良く持ち上がったりする。それほどまでに龍牙が注目されている。話題になっているのはミリオのインターン先の事務所も例外ではない。

 

『……ミリオ、彼を如何思う』

『凄いですよね~個性も凄い鍛えられてますし今すぐにでもプロで通用しそうと思いますよ』

『ああっ出来る事ならば私も確保したいと思える人材だ』

『おおっサーのお墨付きを貰った!!』

 

龍牙の個性は非常に強い、戦闘力として非常に魅力的な部分が強い。だがお墨付きを貰ったというのはそれだけがきっかけではない。

 

『……あの瞳は優しさと正義に満ちている、一度話してみたいものだ』

 

そんな事を想いながら撫でられている龍牙に笑顔を一つ送る、傍から見れば弟が大好きで構いたくてしょうがない姉と好いて貰っているのは理解出来るが少し自重してほしいと思っている弟だろうか。まああそこまでご機嫌な彼女は見た事ないので申し訳ないがあのままでいて貰おう。

 

「さてまあみんな気になってるだろうから俺の個性の話に移ろうか。俺の個性は透過、たったそれだけしか出来ない個性なんだよね」

「えっでも先輩ワープしてたぜ!!?」

「うんまあみんながワープと呼んでるあれも一つの個性を応用して行ってたんだよね」

 

透過、即ちすり抜ける事を可能にする個性。一体それでどのようにワープのような素早い移動を可能にするのか皆が気になっていた。勿論龍牙も同じく、そんな彼を見て波動は嬉しそうに笑いながら手を上げた。

 

「は~い私知ってるよ!ねえねえ言っていい?言っていい?透過の個性は発動するとどんなものでもすり抜けちゃうの!どんなものでもね!!」

「波動さん、今のミリオの時間だよ……」

 

と天喰から注意が行くがその時に皆がある事を思った。あらゆるものをすり抜ける、透過するならば地面も同じく。それをミリオは肯定した、消えているように見えるのは全身で個性を発動させると地面をすり抜け落ちていっていく事になる。そして透過中に個性を解除するとそこから身体が弾かれる。質量があるもの同士が重なり合う事が出来ないのか身体が弾かれる、これを応用して身体の向きなどを調整して移動を行っているとの事。

 

「へっ~……凄い個性の使い方だな……」

 

感覚的には落ちていく、いや地面の中に潜っていきながら相手の動きなどを予測して適切な場へと飛び出せるように調節したうえで個性を解除する。簡単そうだがこれは様々な経験が裏付けとなっているからこそ出来る事だ龍牙は確信する。自分もギャングオルカとの訓練で培ったものが色々とあるので何処か共感出来る物がある、だがそこである事を思った。

 

「あの先輩。それって個性発動してる時、地面の中にいる時って息とかできてるんですか?」

「おっいい所を質問してくれたね龍牙君!!うん出来ないよ、だって透過(・・)しちゃうからね!」

 

それを聞いて全員の顔色が変わった。そう皆はミリオの個性が無敵に近い凄まじい個性だと思っていた、攻撃の無力化に高速移動、これが一つの個性で出来るのだから相当すごいと思っていたがそれはミリオの努力と経験が成せる技術の結晶なのである。

 

あらゆる物を透過してしまう個性、それは個性を発動中は鼓膜は振動を透過し、肺は酸素を透過し網膜は光を透過する。何も見えず聞こえず息も出来ないような状態であってもミリオは戦えるように経験を積み重ねていった、本来弱い個性であったそれを強靭な個性へと生まれ変わらせた。

 

「ビリだった俺がビック3とまで呼ばれるまでになったのは経験からなる予測があるからこそなんだよね。そしてインターンではその経験を培える!!インターンでは一人のプロヒーローとして扱われ、危険な場にも立ち会うし人の死にも接する事もある。でも得られるそれらは学校にいるだけでは絶対に手に入らない一線級の物だって事は保証するよ!!だから危険でもやる価値はあるよ、1年生!!」

 

それを聞いて龍牙は改めて職場体験の事を思い出した。あの時自分は明確にギャングオルカのサイドキックの一人として扱われていた。ヴィランが起こした事件に単独で潜り込んで情報を収集し、現場の空気なども感じていた。あれらは普段の訓練では味わえない経験だった、そしてあれらが今の自分の糧となって今がある。それを改めて思うとインターンには是非とも行きたい。

 

「わぁっ~不思議!龍牙君の目凄いキラキラしてるよ!!不思議だよね~なんで人の目ってこんなに綺麗なんだろうね~!!」

「そんなにキラキラしてます?」

「うんしてるよ」

 

それだけインターンへの期待が大きいという事なのだろうか、それともその経験があればなりたいと思っているヒーローへ一歩前進できるからなのだろうか。

 

「それと波動先輩、俺は何時まで先輩に撫でられたらいいんですか?」

「何時までだろうね~♪」

 

上機嫌に笑いながら頭を撫で続ける波動、彼女はなんだかんだで先輩と呼ばれている今に充実感と満足感を覚えながら龍牙の撫で心地の良さに軽く酔っていた。こんな風に過ごせる今が彼女的にも心地良いのだろう。そんな彼女に嫉妬するかのように顔を真っ赤にしながら頬を膨らませている葉隠がいた(見えないけど)。

 

「むぅぅぅぅぅっっ!!!は、波動先輩なんであんなに自然に龍牙君にぃぃぃっ……!!」

 

「っ―――!!はっ龍牙君に危険が迫ってる!!?」

「戯言を言わんで仕事をしてくれピクシー、我ばかり仕事を片付けているんだが」

 

近くと何処かで龍牙の事でヤキモキする女性がいる中、龍牙は一人の先輩に気に入られてしまい何とも言えない気分になりつつもインターンの事に思いをはせるのであった。




皆さんねじれちゃん好きですな。かくいう私も大好きでね。

なんか、ヒロインレースに凄い方が参戦してしまった感じ……。
いやまだ未定なのでなるかどうかも考えてませんから。

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