僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「にしても本当に先輩凄かったよなぁ!!」
「いやぁ全く憧れちまうぜ通形先輩!!」
その日の放課後は皆酷く興奮しておりそれが抜けきるにはまだまだ時間がかかるだろうと容易に想像が聞く。インターンで得られる物、経験が齎す力を用いて一番下から一番上まで昇りつめた通形 ミリオ。ロマンとしても魅惑的で自分たちもインターンへと参加したいという思いが次々と募っていく。ある意味当然の必然といえるだろう。
「インターンが行われると仮定するとして真っ先に許可が下りるのは分かり易いな」
「誰だよ常闇?」
「言わずも分かるだろう」
クールな態度を崩さずに確信をもってそう表現できる、それを聞いて一瞬分からなそうにするのだが直ぐにとある人物のほうへと視線をやる。
「おい龍牙、お前マジで知り合いじゃねぇんだな!?」
「本当に初対面だ」
「じゃあなんでお前波動先輩にあそこまで好かれてんだよ!!?」
「そんなの俺が知りたいんだけど……」
峰田や上鳴と共にモンハンに勤しむ龍牙の姿だった。ギャングオルカの弟子である彼は師匠のことを考慮するとインターンは確実にそこに行くことが決定しているようなものだろう、そこで更なる経験を積んで将来的には自らのサイドキックへと誘われる事は明白。龍牙的にもそれが一番好ましいことだろう、彼がギャングオルカを心から敬愛し師匠として尊敬しているのは共に過ごしているとよく分かる、同時にオルカの鬼畜っぷりも分かる。
「あっやっべ空の王者がブチぎれた!!?」
「回避ミスったぁっ!!?」
「その怒りごとそぎ落とす!!」
「「おおっバックジャンプブレスに対するしっぽ切断キャンセルナイス~!!」」
龍牙の戦闘スタイルから技術に必殺技、持久力に至るまで全てにオルカが関わっている。それほどまでに親身になって貰えるほどにオルカに目を掛けられているという事はある意味後継者として選ばれているとも取れる。
「龍牙、お前インターンってやっぱ師匠のところに行くつもりなのか?
「師匠が許してくれるならね」
「いやでも弟子なら自分の所に呼ぶもんじゃねえのか?」
「敢えて他の所に行けっていうのもあり得る話だよ」
同じ相手ばかりの模擬戦では戦い方に偏りが生まれて戦闘スタイルが癖となり、無意識のうちにその癖に頼る事になってしまう。出来る筈の戦いが出来なくなる、故に龍牙の訓練も全てがギャングオルカとして来た訳では無く大型ヴィラン戦闘訓練のMt.レディ、対特殊型ヴィラン訓練のミッドナイト、射撃型ヴィラン訓練のスナイプと言った風に様々な相手と戦ってきた。なのでオルカが受け入れを拒否して他の事務所に行かせることも十分に想像出来る話。加えて―――入院での一件以来、何処か自分に対する向き合い方が変わっているオルカ。
「(この前の訓練でも今までやってた限界突破訓練をしなかった上に、普段の7割ぐらいの濃度だった)」
飴を与えるようになったと言うべきなのか、休みに行った物は今までに比べて明らかに訓練が甘くなったところがある。それが不満という訳ではないがいきなり甘くなったので違和感を感じるというのが素直な感想である。まあその7割でも他の者が見たらドン引きする程の濃密な訓練メニューなのだが……。
「ぁぁぁぁぁっっ!!!厚鱗はいらねぇんだよ!!天鱗寄越せぇぇぇええ!!!??」
「このヘタレウスがぁぁぁっっ!!おい今度は銀行くぞ!!」
「分かった。あっ天鱗出た、剥ぎ取り合わせて3個ゲット」
「「物欲センサーこの野郎ぉぉおおお!!!」」
ちなみにこの後の銀レウスで龍牙は峰田と上鳴の代わりに天鱗を2つゲットしたのであった。
「インターンについて職員会議を行った結果だが……校長を始め多くの先生がやめとけという意見だった」
翌日のHRにて相澤がインターンについての事を話すが、その内容は教師陣的にはインターンには好意的ではないという事だった。これに対して生徒からは不満の声が出るのだが寮制を導入した経緯を考えると理解も出来る、皆がミリオの話を受けてやる気に満ちていたのにと肩を落とす中、相澤が付け加えた。
「だがまあ、現状の慎重な姿勢では強いヒーローは育たないという意見もあった。それも確かな意見、なのでインターン受け入れの実績が多い事務所に限り1年生の実施を許可するという事になった」
それを聞いて龍牙もどこか胸を撫で下ろしたかのように息を吐いてしまった。これならばギャングオルカの事務所は許可される、後は師匠がOKさえ出してくれれば自分はインターンとして前へと足を踏み出していくことができる。放課後、自室に戻った龍牙はさっそく師匠に連絡をしてインターンについて尋ねるのであった。
「師匠、インターンの受け入れをお願いしたいんですが」
『……』
「師匠……?」
龍牙の言葉にオルカの反応は酷く鈍かった、何かに困っているかのように返答が返ってくるのも遅かった。
『龍牙、お前が真っ先に俺に連絡をくれたのは非常に嬉しいと思っている。確かに俺の事務所はインターンの受け入れの実績も多く校長のお墨付きでインターンは許可されるだろう』
「良かった……」
『だがな龍牙……俺は少し迷っていてな』
オルカの手元には資料があった。それらはオルカの元に直々に来た龍牙の勧誘のアプローチ。どれもこれも龍牙を新戦力として加えたいという物ばかり、だがその中には龍牙の優しい内面を読み取り評価した上で一度話をしたいという物もいくつかあった。オルカは迷っている、自分は息子に対する厳しすぎたという事を深く引きずっており一度龍牙には自分以外のヒーローの下で指導を受けて貰った方が自分がするよりも為になるのでは考え続けていた。
『龍牙、これからお前をぜひとも迎え入れたいというヒーロー事務所の資料を送る。それらを吟味した上で本当に俺の所に来たいならそうしろ』
「あの師匠、師匠!!?」
声を荒げながら龍牙は必死に呼びかけるが既に通話は切られていた。思わず呆然とし、その場に座り込んでしまうほどに龍牙は驚いていた。暗にこう言われた気がしてしまった。
―――ほかの所に行け、俺では相応しくない。
自分は師匠に対して何か失礼なことでもしたのかと思いながらも携帯は次々とメールを受信していく。メールには一通一通に事務所の情報が掲載されていた、その中にはとある名前もあった。それは―――サー・ナイトアイ。リューキュウ。
同時に相澤が波動から話したい事があると伝えらえるのだが、それに応えるには少しだけ時間がかかってしまった。