僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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先を決める龍牙

「うんうんやっぱり龍牙君って撫で心地最高だね~不思議だね!」

「やっぱりこうなるのか……」

 

相澤から話があるというので応じた龍牙、師匠から別の事務所でインターンを受けた方が良いという言葉で若干ローテンションになっているのだがそれでも訪ねて来てくれた相手を無下に出来ないので素直に応じる事にした。この学生寮にも応接室があるので、そこに波動先輩がいるというので訪れるとそこでは麗日と蛙吹と話している波動が居たのだが、自分の姿を捉えると即座に捕獲されてしまった。背後から抱きしめられるのに近い形で頭を撫でられる龍牙を見て二人は何処か苦笑いを浮かべている。

 

「波動先輩に随分気に入られちゃったのね龍牙ちゃん」

「みたいやね」

 

満足げな波動と何処か呆れているような諦めているような龍牙、何処か気の毒に見えるがこの場合は致し方ないのだろう。

 

「それで俺は何で呼ばれたんですか」

「聞いて聞いて聞いて!!実は麗日ちゃんと蛙吹ちゃんをうちの事務所でインターンしないかって誘いに来たんだよね!!」

 

麗日と蛙吹と話していたのは二人を自分のインターン先へと誘いに来たという事だった。二人を誘ったのは直感的なものに従った結果という事らしいが……麗日と蛙吹はとても乗り気だった。元々彼女らは職場体験でお世話になったヒーロー事務所でインターンをお願いするつもりだったのだが、受け入れが行われていなかったらしい。そんな時に波動からインターンの誘いが来たので二人からしたら願ったり叶ったりなのでその話を喜んで受ける事にしたという。

 

「へぇっ良かったじゃないか二人とも」

「うん本当に嬉しい!!」

「ケロケロッ♪龍牙ちゃんに一歩近づいた気分だわ」

「そうかな、それで波動先輩は俺に一体何の用なんですか?」

 

結局彼女は自分に何の用事できたのだろうか、どちらかというと彼女の用事は二人をインターン先へと勧誘する事だろう。ならば自分への用事は何なのだろうか。そう思っていると波動は笑いながら龍牙の頭の上に優しく頭を乗せながら囁くように言う。

 

「龍牙君、君も私のインターン先に来ない?」

「えっそれって龍牙君も!?」

「リューキュウ事務所にって事なの……!?」

「うん。お茶子ちゃんと梅雨ちゃんへの誘いが私からだとすると、龍牙君へのお誘いはリューキュウからのお誘いだよ」

 

麗日と蛙吹も流石に驚きの内容だった。自分達と違って龍牙は彼女からではなく、彼女のインターン先でありヒーロー事務所の若き主であるドラグーンヒーロー・リューキュウから直接のスカウトを受けているような物。自分達とはレベルの違う話になってくる。しかもリューキュウはヒーローランキングで言うならばギャングオルカよりも上である9位に位置するヒーローである。

 

「リューキュウから是非話をしてほしいって言われたんだよね~。不思議だよねリューキュウはこういう誘いってあんまりしないのにね~!!」

「それって龍牙君凄い注目されてるって事なんじゃないの!?あのリューキュウさんから直接スカウト来てるんだから!!」

「ええっ本当に凄い事よ、将来のサイドキックとしてのスカウトって事にも成り得るんじゃないかしら?」

「それもあるかもね~」

 

ドラグーンヒーロー・リューキュウ。僅か26歳で独立し事務所を立ち上げながら実績を積み重ねている大人気ヒーローの一角。本人のクールな性格と美しい外見、そしてドラゴンへと変身するという力強さとカッコよさも兼ね備えているのも大人気の要因だろう。

 

「でもさ龍牙君ってギャングオルカの事務所に行くんじゃなかったん?」

「そうよね、私もそう思ってたもの。御師匠さんの所に行くと思ってたわ」

「あっそう言えばリューキュウが言ってたね、ギャングオルカが御師匠さんだって凄いね!」

 

麗日と蛙吹が驚いたのもそこに理由があった。龍牙は間違いなく師匠であるギャングオルカの事務所に行くとばかり思っていた。

 

「まあ俺もそうだと思ってたんだけどさ、師匠からなんか他にも誘いが来ているからそっちに行ってもいいとは言われたんだ。それでも自分の所に来たいなら来いって話はしてた」

「もしかして来るのに時間がかかったのはそれを話してたからかしら?」

「まあ、そんなもん」

 

そこで改めて携帯を確認してみるとリューキュウ事務所の資料があるのが確認出来た、龍牙はここで少しだけ考えこんだ。出来る事ならばギャングオルカの事務所に行きたいと思っていた、だが折角誘いを掛けて貰っているのだからと少しだけ考え込む。自分の思い込みかもしれないが他の事務所で経験を積め、と言われたような……。

 

それにリューキュウ事務所で経験を積むのも自分にとっては大きな糧になるのは間違いないだろう。リューキュウはドラゴンになる事が出来る、自分とは違う部分こそあるがかなり似通っている部分がある。自分の為になるのではという部分が非常に多い。

 

「……そうですね、ちょっと前向きに検討してみますね。結構真剣に」

「うんお願いね~!」

「でも龍牙君と行けるとそれはそれで楽しみかもね!!」

「そうね、龍牙ちゃんはとっても強いし頼りになる物ね」

 

この後龍牙はかなり真剣に検討し、根津にも相談を持ち掛けたりもした。そして結果として龍牙は―――リューキュウ事務所からの誘いを受けてインターンをそこで受ける事に決めたのであった。


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