僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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リューキュウ事務所の黒龍

「だあああぁぁぁっっっ!!!」

 

夕暮れの街中、夕焼けが美しく街を染め上げ一つの芸術とも言える時間帯。その光景に心を奪われ自分の物にしたいと思ってしまうほどの美しさの中で黒い炎がうなりを上げながら、夕闇を切り裂くように疾駆しながら建築現場にあった資材などを纏い、巨大な一人の鉄の巨人となったヴィランへと突っ込んでいく。ヴィランは磁力を操るのか纏う資材を自在に操りながら巨大な鉄の腕を自らの物のように扱い、黒い炎を握り潰す。

 

「リュウガ君!!」

「大丈夫よウラビティ、私たちはやるべきことをしましょう!!」

「うっうんそうだね!!」

 

その光景に一瞬だけ息を飲むが直ぐに自分のやるべきことを思い出し、避難の誘導とその場での待機を行い続ける二人の少女。彼女らに心配する様子など欠片もない、いやあるのかもしれないがそれよりも遥かに信頼が勝り不安を飲み込んでいる。それを肯定するかのように腕が熔解しその中から黒い炎の龍が飛び出し、ヴィランの喉元へと肉薄した。

 

ド ラ ゴ ン フ ァ ン グ イ ン パ ク ト

 

DRAGON FANG IMPACT(ドラゴンファングインパクト)!!!

 

龍頭を激突させる、同時に龍の刻印が超高温の黒炎によって押し付けられる。黒炎によって弾ける資材の山、それらはそこら中に四散するよりも早くに的確に放たれた湾曲する波動によって寸分違わず地面へと叩き落とされる。

 

「わぁっ力強いね!!そして今だよ二人とも!!」

「大トリは任せる!!」

「うん!!」

「了解!!」

 

その声に応えるかのように先程まで待機していた二人の少女の姿は空に、空を舞う黒龍の上にあった。黒龍の周辺には瓦礫などが重力を完全に無視するように浮遊している。そして少女らはアイコンタクトを取りながらそれらを一気に弾き、弾丸のように打ちだして空中に投げ出されているヴィランへと放った。

 

「必殺―――メテオ!!」

「ファフロッキーズ!!」

 

少女が伸ばした舌、それらによって弾かれた弾丸は弾いたのと同時に再び重力に囚われ加速しながら向かっていく。資材の中から放り出されたヴィランは二人、人間3人分ぐらいの大男と身体に鉄を纏っている男。どうやら磁力を操るヴィランが大男に資材の鎧を着せ、大男の動きに合わせるように操っていたらしい。それらに弾丸が命中していき瓦礫に埋もれさせるかのように地面へと叩き落としていく。

 

「やったっ!!」

「大成功ねっケロケロ♪」

 

嬉しそうにはしゃぐ少女らの声、二人は再度黒龍の背に飛び乗る。それを確認するとゆっくりと龍は地上へと近づいて二人を下ろす。お礼を言われると先程まで黒炎を纏っていたリュウガの影へと飛び込んでいきその姿を消した。

 

「ねぇねぇ二人とも良かったぉ~!!ねぇっ緊張した?」

「フィ~……打ち合わせ通りの連携が取れてよかったぁ……」

「でも思ったよりはスッキリ行けたわね、リュウガちゃんとねじれちゃんのお陰ねこれも」

「ラストを決めたのは御二人で俺はあくまでサポートしかしてないけどね」

「私もね~」

 

そう言いながらリュウガの頭を撫でる波動先輩ことねじれちゃん、もう完全にそれを受け入れたのか諦めたのかは知らないがほぼスルーして真顔で対応する姿は何処か堂に入っている。そんな姿を見つめながら一人の女性がそちらへと歩み寄った。ドラゴンの爪と翼をイメージしているようなマスクに何処かクールでありながら温かみと優しさを持った瞳で此方を見つめる女性、ドラグーンヒーロー・リューキュウ。麗日、蛙吹のインターンを受け入れ、龍牙には直接の誘いを出したヒーロー。

 

「ねじれが連れてくるだけあって二人とも筋がとってもいいわ、正しく将来の有望株ね」

「そう言われると照れちゃいますよ、えへへへっ」

「私もよお茶子ちゃん、ちょっと顔が赤くなってるかも」

 

二人は話題沸騰中の大人気女性ヒーローに此処まで言われて酷く気分が良さそうだった、インターンを受け入れてくれただけでも有難いのに率先して現場へと連れてきて経験まで積ませてくれている。本当に喜ばしい事ばかりが起っている、今自分達はその厚意に甘えながらもそれに報いる為に結果を出し成長する事がリューキュウへのお返しになると思いながら現場で動いている。が、現場で矢張り痛感するのは―――遥か先に立ちながらも走り続けるクラスメイトの姿だった。

 

「やっぱり龍牙君は凄いね……リューキュウさんからも特に指示なんて出されてなかったし」

「そうね。寧ろ私達がやりやすい風に動いてくれてたって感じ……これも経験の差なのかしら」

「彼の場合は目立った指示は必要ないわね。簡単な物で良いの、戦闘の経験が特に顕著だから自然と周りに合わせてくれるのよ」

 

龍牙の場合はギャングオルカとの訓練で培った膨大な経験が存在している。訓練とはいえ殆どの場合、殺意やら敵意を混ぜたものなのでほぼ実戦と同じような物ばかり。それらを応用して他が動きやすいように自分が動く事が出来る。

 

「ねぇねぇリューキュウ、どうして龍牙君をスカウトしたの?不思議だよねリューキュウはオルカが御師匠だって聞いてたんでしょ?」

「勿論。前にギャングオルカとチームアップした事があってね、その時に自分には自慢の弟子が居るって話をしたわ。あの強面なオルカが頬を緩めて話してたからよく覚えてる」

 

視線の先では瓦礫から掘り出されたヴィランを取り押さえて警察の拘束に協力する姿がある。龍牙の力は確かに素晴らしい、高水準に纏まった能力にドラグブラッカーという独立した存在まで味方に付けて空まで飛ぶ。ヒーロー事務所の誰もが欲しがる逸材、リューキュウも欲しくないと言えばウソになるが別に戦力として欲しくて招いた訳ではない。

 

 

―――彼には味方が必要だと思った。

 

 

「リュウガ、もう直ぐ引き上げるから大丈夫よ」

「了解しました」

「後、ねじれの相手お願いね。貴方のお陰で大助かり」

「それ皮肉ですか」

 

最初こそ自分と似通っている個性だから興味を持ち、そこから龍牙の強さに驚き出来る事ならサイドキックになってくれたな程度に思っていた。体育祭の時には職場体験の指名を出した、その時は結局来て貰えなくて少しだけ残念だったが師弟関係の事を考えると妥当だと思えた。だがそれよりも体育祭へと足を運んだ友人が言っていたことが気になった。龍牙の試合の際にブーイングに近い事が起きていたという事だ、正々堂々戦っていたのに、

 

相手は鏡 白鳥、見目麗しく可憐な少女。そして個性までもが美しさに包まれている、そんな相手と真正面から戦ったというのにそれを観客は非難した。そして龍牙の個性、恐ろしい見た目であるが故に彼がヴィラン連合にさらわれた時には酷い事が新聞やニュースに羅列していたのも記憶に新しい。彼は素晴らしい才能、いや心などを持っているのに今の世界はそれらを腐らせかねない。龍牙には知ってほしいと思っている、この世界には貴方を助ける声や人々、支えてくれる力がある事を。

 

「むふ~」

「あの~波動先輩、歩けないんですけど……」

「それだったら歩かなくていいよ、私が波動で送ってあげるから!」

「どれだけ俺を撫でたいんですか……」

「不思議だよね~リュウガ君って本当に撫でてると気持ちいいんだもん、なんで?」

「俺が知る訳ないでしょ……」

 

今そうやってまるでぬいぐるみのように抱き付いて頭を撫でているねじれだって必要としているから、この事務所にいる時に自分は彼に教えるのはヒーローとしての強さを教える。それは戦いの優劣という意味ではなく繋がりという意味の強さだ。

 

「さあ事務所に帰りましょうか、今日はお祝いにお寿司を予約してあるわよ。私の奢りでね」

「奢り!?でもそんな、悪いですよインターンを受け付けて貰えただけでも十分過ぎるのに!?」

「いいのいいの。受け付けたからには貴方たちは私のサイドキックも同じなの、それならそれに相応しい事をしなくちゃ。新人さんのお祝いって事でね♪」

「お断りしちゃったら逆にご迷惑になっちゃうわね、お茶子ちゃん折角だから御馳走になりましょう」

「う、うんっ……!!お寿司なんて何時ぶりやろ……?」

「私卵がいいな~♪」

「龍牙君は何が好きなの?」

「かっぱ巻きですね」

「意外なチョイスね……」

 

ヒーロー同士が繋いでいく関係の絆は星座のように美しいだけではなく暖かくて自分を支えてくれる。それを知って欲しいというのがリューキュウの素直な気持ちだった。目の前ではしゃぐ少年少女らを見て彼女は聖母のような笑みを浮かべながら足取り軽く事務所へと向かうのであった。




クールだけど何処か母性溢れる頼りになる優しいお姉さんなリューキュウ。

この小説、お姉さんキャラ多くないかと友人に言われましたが気にしない。
だって年上のお姉さんっていいと思うの、えっめっさよくね?
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