僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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黒龍の親たちは話し合う。

「そうか、有難う……」

「何だい何だい如何したんだい、景気が悪そうなため息ついちゃって」

 

時間が取れたからか、共に茶を啜る根津とギャングオルカ。龍牙の保護者であり彼にとっては唯一無二の存在である二人は湯吞を持ちながら静かにほうじ茶を飲む。オルカも携帯を仕舞いながら改めてお茶を口にするが如何にもその顔色は良くない上に溜息すらついている。

 

「校長はご存じでしょう、俺が龍牙の指導方針を変えた事を」

「まあね。龍牙からも相談されたから」

 

『あの校長、師匠如何しちゃったんでしょうか。急に訓練の濃度を下げたというか……なんか俺悪いことしちゃいましたかね……』

 

「って不安がる程度には。君さ、理由を話さずに変更したのかい?」

「……ええまあ」

 

龍牙が攫われて以降オルカは大きく変わっていた。自分は親として胸を張れるような存在だったのか、と深く考えるようになった。師としてはともかく親としては失格なのではないか、これではあの夫婦と同じではないかと深刻に考えてしまったオルカはメニューを大きく見直して、修行メニューの内容を普段の7割程度のものに落とし自分なりの飴を作ろうと努力している。が、龍牙的には如何してそうなったのか分からず何か悪い事をしたのかと不安になってしまっていたようでオルカは更に凹むのであった。

 

「僕も親としてのレベルは高くないから何とも言えないけどさ、親子って奴の対話をした方が良いと思うよ。君も龍牙の事を思うなら一緒にご飯を食べながら話を聞いてあげるだけでも喜ぶよ」

「……生憎、俺はそういうのは苦手です。それに……良く分かりません」

「不器用だね」

 

酷く不器用なオルカ、不器用なりに愛情を注いでいるのは根津も龍牙も深く理解している。あれほどの厳しく苦しい修行の内容も彼なりに立派になってほしいという愛情、そして龍牙もそれを理解しているからこそ泣き言一つ言わずにこなしていくのである。それをいきなり変更したら不安がるのも無理もない。それはまあこれからゆっくり修正していくのが一番。

 

「それでさっきの電話は何方から?」

「リューキュウからです。龍牙の訓練を付けてくれているようで、態々進捗を連絡してくれたんですよ」

「律儀だねぇ。今は彼女の事務所のサイドキック的な立場だから態々言わなくてもいいのにね」

「そう言う所はかなり確りしているのが彼女ですから」

 

今現在の龍牙の指導を請け負っているのはインターン先のヒーローのリューキュウ。それでも筋は通すべきだと彼女は龍牙の指導の進捗を逐一報告している。

 

「……龍牙の奴、前に進み始めているらしいです」

「流石だね、やっぱり彼女に預けて正解だったみたいだね」

 

同じ龍の個性という共通点を持っている二人、矢張り通ずるものがあるのか指導もかなり捗っており新しいステージに立つ事が出来ているらしい。加えてリューキュウの個性は巨大化する特性もあるので対巨大ヴィランの訓練も出来る事も考えると相当大きい事になる。

 

「まだまだ立っただけで練度は話にならないらしいですがね。戦闘が終わると介助がないと動けないレベルらしいです」

「それは深刻だね。そういうのを軽減させてあげるコスチュームを検討すべきかな」

「上から鎧を着こむような物ですからね、内部に緩衝材になるコスチュームなら負担の軽減にもなるでしょうな」

 

時間も合ったので一緒にお茶でも飲んでゆっくりしようと思っていたのだが、気付けば二人の話は内容は龍牙の事で染まっている。それだけ二人にとって龍牙は大切の子供であることに変わりがないという事である。

 

「しかしリューキュウも相当気を遣ってくれているらしい、このままあいつの事務所のサイドキックになるのも悪くないかもな」

「おやっそこは自分の事務所で育てるって言うのかと思ってたよ」

「前々から思ってたんですが、校長の中での俺ってどんなイメージなんですか」

「親馬鹿全開のスパルタ師匠なのさ!!」

 

面と向かって言われるとハッキリ言って否定できる要素が0なので黙り込む、根津に対しては隠す意味も無いとある種の開き直りを持って再起動したオルカは語る。

 

「確かに俺は龍牙の事を大切に思っていますし師としてあいつの事を育てるべきだと思ってます。が、何時までも弟子の成長が師が関わり続けるのは如何なんでしょう。それは本当に成長でしょうか、いやそれは堕落であり進化ではない。時が来たら子供は親元から飛び立っていくのが摂理」

「確かに一理あるね」

「俺の所に来るのは当然ではない、必要ならば俺は送り出す。弟子の為を思うならばそれが正しい」

 

そう言いながら茶を啜るオルカだがそう思いながらも、そうなったら寂しく思う事だろう。彼にとって龍牙は本当に大切な存在、同じように個性によるコンプレックスを抱えているだけではなく純粋な憧れを向け、自分のように立派なヒーローになると言う息子が可愛くて致し方ない。だからこそ彼の事を思うと彼の為に行動をする。自分もそうしようと根津は湯呑を置くと話を切り出した。

 

「それでオルカ、ちょっと話があるんだけどさ」

「何でしょう改まって、まさか敵連合の―――」

「いや龍牙の恋愛事情についてだよ」

 

改まるから余程の内容だと思って背筋を伸ばしたのだが、それを聞いて僅かに脱力する。それはそれで重要なのは理解出来なくもないのだが……。

 

「葉隠さんから相談メールが来ちゃってねぇ……恋の応援をすると言った手前、何もしないわけにもいかないからねぇ……」

「ああ……それなら俺も来てます、ピクシーボブから」

 

葉隠の物は如何したら素直になれるのか、自分の気持ちを伝える為にはどんな準備をしたり場所を選択したらいいのかという読んでいて微笑ましくなるような内容で根津はほんわかした。一方でピクシーボブの物は……婚後の家はこちらで用意する許可、式場のリクエスト、子供の事などなど……肉食系且つ何処か見ていて頭が痛くなるような気分になるような物が羅列されている。あの時、如何して許可を出してしまったのかと僅かながらに後悔が過ってしまう。

 

「だがまあ、龍牙を好いてくれているのも事実ですから無下にするのも……」

「でも龍牙の現状を考えると結婚は疎か交際に辿り着けるかも怪しいのもある、だから僕たちが上手く誘導してやる必要がある」

「しかしどうやります、あいつ初恋どころか区別すらできない」

「……男手だけで育てたツケが回ってきたって感じだよねぇ……」

「リカバリーガールやミッドナイト達もずっと居てくれた訳じゃありませんでしたからね……」

 

本当に如何するべきかと二人で思案する、取り敢えず恋を応援しつつもこちらも様々な事をして龍牙の心の成長を促進してそっち方面の事も理解するようにするしかないだろうという結論に落ち着く。

 

「でもさ、極論龍牙が相手を選ぶならこの二人じゃない可能性も無きにしも非ずだよね?」

「そりゃまあ……他に可能性があるとしたら誰になるんでしょう」

「う~ん……龍牙にとって今惹かれ易い相手は……リューキュウだったりして、同じ龍の個性って言う共通点もあるし」

「……ありそうなのが怖いですね、あいつミッドナイトやMt.レディの影響もあって年上に好かれやすくなってますし」

 

そんな風に親による息子の恋愛事情改善の会議は続いて行くのであった。




葉隠さんのテコ入れしたいけど、どうしたもんかなぁ……。
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