僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「あいつ、今頃師匠に扱かれてんかねぇ……その後はエンデヴァーか」
色んな意味で熾烈なインターンを乗り越えた龍牙の姿は雄英にあった。そんな言葉に思わず麗日や蛙吹もそうかもねっと言ったような表情を浮かべる、事情を知らない面々は一体誰の事を指しているのかと首を傾げる。
「龍牙、親父がどうかしたのか」
「いやな、この前のインターンでとある新人ヒーローが生まれる事になったんだよ」
「その人はなんて言ったらいいんだろう……ヴィランに近い立場だったりしたんだよね」
「そうなの。でも更生の一環としてヒーローになる事になって、今はギャングオルカの事務所でその為の研修に明け暮れてるのよ、それで次はエンデヴァーなの」
一部をぼやかしているがその研修生というのがヴェノムの事である。下手な更生施設などに預けて目を外してしまうと妙な影響を受ける可能性があり、下手を打てば敵連合の手に堕ちる事になる。なのでエンデヴァー、ギャングオルカ、リューキュウの三事務所が共同でヴェノムの教育と育成に当たる事になった。今はオルカの事務所でそれを行っている所。
「親父の事務所にそんな奴が……どんな奴なんだ」
「多分皆は何とも思わないかもしれないけど、見た目だけなら龍牙ちゃん位にインパクトがあるわね」
『把握した』
これだけでその人物が一体どんな人物なのかという事が一瞬で把握出来てしまった。見た目だけなら完全なヴィランでとんでもなく恐ろしいという事なのだろう。A組の全員ならば会ったとしてもそれ程慌てはしないだろうが、普通なら大パニック必死というのが伝わってきてしまった。
「そ、そんなに凄い人なの龍牙君!?」
「いやあいつは凄いとかそういう次元じゃない……」
葉隠の言葉に素でそう返してしまう。ヴェノムの場合はそう言ったリップサービスが一切通じないレベルでやばい存在。三事務所で共同教育をしていく事が分かった時、オルカとエンデヴァーが軽くて合わせをしたのだが―――
『こいつは……凄まじいな』
『……あいつを思い出させるパワーだな』
とオルカとエンデヴァーさえ驚愕させる力を見せ付けたのだ。それにヴェノムは鼻高々にしながらもリューキュウがまだまだ成長の余地がある事を伝えると更に目を見開いて驚いた。
『つまり―――まだまだ扱く価値があるという事か、確かにまだまだ粗削りいや、無駄が多すぎるな』
『力でのゴリ押しが過ぎるな、そこを教育してやるとしよう』
が驚いていたのは僅かな間でしかなかった。直後の二回目ではオルカとエンデヴァーはヴェノムの身体的な特性や力を完璧に理解し、それらを経験に裏付けされた強さで逆に捻じ伏せてしまったのだ。エンデヴァーは持ち前の炎を纏いながらの格闘戦で、オルカは己が放つ超音波がヴェノムの弱点である高周波と酷似しているのか、それだけあっさり動けなくなってしまった。
『……頼む、まずリューキュウ事務所だと言ってくれ』
『ごめん、お前先ずは師匠の所だって』
『―――っ……』
自らが酷く恐れている弱点を完全に突く事が出来る相手が上司、それらに教育されるという恐ろしさに耐えながら今日もきっとヴェノムは研修に明け暮れているのだろう。まあその分、昼食やら休憩中にはヴェノムの好物を出してあげるように交渉はしたのできっと大丈夫だろう……うんきっと大丈夫だ。後で電話で様子でも聞いてみる事にしよう、改めてヴェノムが心配になってきた。
「でも会ってみたいなぁ、龍牙君のお墨付きだし」
「いやでも時間が取れるかどうか……師匠も相当気合を入れて扱くって言ってたし……」
「なんだその糸の使い方は!?俺を舐めるのも大概にしろ!!!狙いは一瞬で、だが正確さを犠牲にはせずに連射精度を高めろ!!」
「無茶言いやがる……まだ開発してから全然日が経ってないんだぞ……」
「だから今こうして訓練をしている、だらだら長い舌を回すのではなく腕を動かせ!!」
「ったくなんでリュウガはこんな師匠の下にいるんだよ……」
「何か言ったか……?」
「い、いや何も……頼むから少しずつ音を出しながら迫るのやめてくれ……!!」
指導者としての血が騒いだのか、それとも龍牙以外に自分の扱きを行う対象が酷く頑強且つやりがいがあるからだろうか……兎に角ヴェノムはこれからトップヒーローの下で経験などを積んで何時の日か、プロヒーローとしてデビューする事だろう。既にリューキュウはヴェノムを龍牙とのタッグで動かす事を考えていたりする。龍牙のドラグブラッカーとヴェノムが連携して相手を追い込んでいくのは非常にいい案なのではないかと、リューキュウは確信している、色んな意味で話題性抜群だろう。
「凄いねぇっ……」
「いやぁこれに関しては俺は全然凄くないからなぁ……」
「ううん本当に凄いよ……」
そんな風に龍牙へ憧れの視線を向ける中で葉隠は胸が締め付けられるような思いを抱えてしまった。自分が学校でいつも通りに事しか出来ない中、龍牙はどんどん先のステップを駆け登っている。ゆっくり階段を一歩一歩、上がって行くのに比べて、愛しの彼はエレベーターではなく、空を飛ぶ黒龍に乗って高みへと昇っていく。一緒に居たいと願ってもペースも立場も違って一緒に居られない。
「如何した葉隠さん?」
「う、ううん何でもないの!!あっそうだ、この前龍牙君にお昼ご飯代借りちゃったから今日は私が出してあげる!」
「いやいやそりゃ悪いぜ」
「良いの良いの遠慮なんてしないで!」
自分に出来るのは本当にこの位でしかない、この位しか出来ないのだ。自分だって麗日や蛙吹のように隣に立って彼を支えたい。だがそれは出来ない。自分の力が足りない、個性も透明なだけでぱっとしない、目に留まりにくい、そんな個性でしかない。そんな自分が龍牙の隣に立とう事自体が間違っているかのような……そんな風に思えてしょうがないのだ。
「あっもうすぐ授業だ!それじゃあ席に戻るね!!」
そう言いながらその場を離れて席に着いた。横で見つめた彼の横顔は何時もと同じ―――そう、これが日常でしかない。何も変わらない、何も変われない……自分は如何するべきなのかと握りしめる、返ってくるのは臨んだ答えなどではなく―――当たり前な拳の痛みでしかなかった。
不意にYOUTUBEのおすすめに懐かしい曲が出てきて、聞きながら書いてたらあっという間だったわ。
もう古いゲームだけどガウストダイバーのED、「Diver」って皆さん知ってる?神ゲーだよこれ。そしてゲーム内で続編匂わせてるのに出てないんだよ……!!ああっ当時の記憶が、記憶がぁぁぁ!!!