僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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仕込みを頑張った黒龍

龍牙を狙った殺害計画という予想も付かなかった事も起こりながらも死穢八斎會を追い込んでいく作戦は加速度的に進んでいく。既に候補地が半数を切っているが、本命と成り得る場所は確認できていない。虱潰しにしか進められない状況に何処か歯痒い物を感じるが致し方ないと割り切って操作を続行をしていく。

 

「ヴェノム……なんか変な気分だぞこれ」

『それは我慢しろ、お前を守る為の策だ』

 

龍牙も自らが狙われたということを自覚しながらもヴェノムとの連携を強める事でそれらに対する守りも固める。それによって龍牙のミラーワールドでの情報収集も問題なく行える事となり、調査は進んでいく事になる。そして遂に―――大本命である壊理ちゃんが確保されている拠点の場所などが明確に浮かび上がってきた。同時にはそれは作戦の決行日の日取りを示す事にもなる。

 

「壊理って子は死穢八斎會の本拠地にいるだぁ!?」

 

そう、壊理ちゃんが確保されているのは死穢八斎會の本拠地である組長の屋敷。そこで確保されている。ある意味当然とも言えるかもしれないが、それを知るにあたってナイトアイは新たな情報も仕入れていた。それは構成員の一人が壊理ちゃんの為と思われる女児向け玩具に購入した場面に居合わせ、予知によってその構成員が壊理ちゃんの元へと歩んでいく道筋を知る事が出来た。隠された地下迷宮のような場所の一部に隠されている。

 

「この情報を基に、リュウガにはミラーワールドからその道を辿って貰いました。その結果、私の予知と一致する内装の部屋がありました。そして可能な限り地下を探索して貰い地下施設全体のマップの作成にも成功しました」

「おおっ!!こりゃお手柄やな!!」

 

ミラーワールドは生き物こそ存在しない鏡写しの世界、それでも現実の世界と何ら変わらない世界。そこで出来る限りの情報などを収集し内部のマップを作成する事にも成功した。これでかなり迅速な行動が可能になる。ミラーワールドへ入れるという能力があればこその活躍だ。

 

「その鏡の世界って奴から直接壊理ちゃんって子を助ける事は出来ないのか、前から気になってたんだが」

「残念ながら無理です」

 

ロックロックの質問に龍牙は即答で応えた。それは絶対に無理だと。

 

「俺の個性が判明した時、俺の師匠や保護者が検証などに協力してくれましたが俺以外に入る事は出来ませんでした。内部から俺が干渉する事が出来ても、その子をミラーワールド経由で連れてくるというのは無理です」

「そっか……悪い事を聞いたな」

 

龍牙の個性は逸脱こそしているが万能という訳ではない、そもそもミラーワールドと言う世界での活動自体が龍牙でも酷く困難。10分も満たない時間内でしか満足に動けない、それ以上留まろうとすれば大幅に体力を持っていかれる。龍牙の個性をもってしても、その程度の事しか出来ないのが現状である。そんな風に語る龍牙から黒い影が飛び出し、口を挟んだ。

 

「十分な仕事はやった、これ以上望むのは欲張りってもんだ。欲は身を滅ぼすってオルカが言ってたぞ」

「うおっお前ンな事まで出来んのか!?」

 

それはまだ融合を解いていないヴェノムだった、先程まで活動中だったので念には念を入れて融合をしたままだった。それを見た事が無い人間からすると得体のしれない寄生生物が龍牙に取り付いているように見えるだろう。まあ寄生生物云々は間違いと言い切れないのだが……。

 

「因みに俺も融合すればミラーワールドに入る事は出来た、出来る事には出来たが……薄気味悪い世界だ。あんな所に普通の奴が入るべきじゃねぇ」

「お前自分を普通って言うか、明らかにお前普通じゃねえぞ。主に融合できるところとか」

「黙れ色黒正論マン」

「ンだとテメェもういっぺん言ってみろぉ!!」

 

とロックロックが詰め寄ろうとするとヴェノムはそれを嘲笑いながら龍牙の内部へと引っ込んでいく。こうなってしまうと弱点で無理矢理出させるしか方法はない、龍牙が本気で締め出そうとすれば出せない事もないのだが……守って貰っている立場上、それは忍びないので絶対にしない。

 

「ねぇ龍牙君、ヴェノムと融合して身体に変な事とかないの?」

「全然、寧ろ好調で怖い位だ。後身長がでっかくなったと思えて割と楽しい」

「へぇっなんかすげぇんだなヴェノムって!!」

「赤髪、お前分かってるな。そうだ俺は凄いんだ」

 

と褒められて何処かご機嫌そうなヴェノム。基本的にオルカやエンデヴァーは抑えつけて慢心するな云々が基本でほめられると言う事は無い。なので純粋にそれでご機嫌なのかもしれない。そして―――死穢八斎會の本拠地へ攻め込むのは翌日という事になり、各自は万全の備えをするようにと言明される。龍牙とヴェノムの活躍で想像以上のデータが予定よりも早く取る事が出来た。故に更なる万全を敷く為に一日準備時間に置く事にする。

 

「さて―――皆、明日はきっと大変な現場になると思うわ。今の内に気持ちを作っておいて」

 

リューキュウは皆を集めて明日への注意を促していく。相手は個性破壊を行う薬をばらまく極道、途轍もなく危険な現場である事に細心の注意を行う必要が出てくる。

 

「ヴェノム、貴方はそのままリュウガと一緒に居てね。必要となれば融合を解除して行動を行って」

「おうよ。最初から暴れられないのは不満だが、そこは我慢してやるよ。チョコを忘れるなよ」

「最高級のベルギーチョコを奢ってあげるわよ」

「楽しみだ」

 

それぞれが自分なりの時間の使い方をする。明日に備えて自分に出来る事を確認する者、静かに集中力を高める者、決意をたぎらせる者、目的を再認識する事で確実に遂行すると決意する者、様々であった。そんな中で龍牙は如何するかと言えば……普段通りに過ごして日常を楽しむ事だった。そう、約束を果たす為に……。

 

「あっ龍牙君、約束通りだねっ!」

「ごめん待たせたかな?」




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