僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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2人の英雄編―――胎動する事件に直面する黒龍

「すっかり遅くなっちゃいましたね」

「大体戦兎さんとメリッサさんが白熱したせいだと思いますが」

 

結局あの後、龍牙の個性へのアイテム制作の話やらをしつつも緑谷の手を見てメリッサお手製のアイテムであるフルガントレットが緑谷に譲渡されたりを行っている間にすっかり遅くなってしまった。結果として龍牙にも新しい武器として戦兎とメリッサの合同で開発された新しい剣型の武器、ビートクローザーを入手する事になった。それも戦兎がドリルクラッシャーを仕舞っていたボトルを貰う事で楽々持ち運べるようになった。そして、パーティに出席する為に確りと正装へと着替えた一同は飯田たちが待っている待ち合わせ場所へと足を運ぶ事になった。

 

「すまん待たせたな飯田」

「漸く来たか龍牙君達待ってたぞ!!後来ていないのは八百万君達か」

「あっそっか、葉隠さんが八百万達も来るって行ってたもんな……」

 

此処で隣でドレスを着ている葉隠の言葉を思い出した龍牙、八百万はこのI・エキスポのスポンサー企業の株を持っており、その株主優待で招待状を貰っているとの事だったという事を漸く思い出す。そして待ち合わせを行っている中には焦凍の姿もあった。

 

「あれっ焦凍、お前も来てたのか」

「親父の代理でな」

「そっか、まあ代理でも楽しめればいいって奴だ」

「そうだな」

 

「そしてメリッサさんめがっさお美しいぃ~!!!」

「女神だぁぁっ!!」

「そ、そう言われると照れちゃうわ、有難うね二人とも」

 

と、メリッサのドレス姿にハートを打ち抜けたかのように腑抜けになっている上鳴と峰田、どうやら二人はバイトの募集でこのI・アイランドへとやって来て居た模様。龍牙がもみくちゃにされている間にメリッサが切島経由で渡したパーティの招待券を受け取って参加権利を得た模様。そんな二人がメリッサに夢中になっている間にどうやら八百万達、女性陣が到着した模様。

 

「ご、ごめん遅刻してもうた!!」

「申し訳ありません、耳郎さんが……」

「ウチ、こんな格好何て言ったらいいのか……」

 

全員が可愛らしく美しいドレス姿に身を包んで登場した、これで葉隠を含めた女性陣が勢揃いした事になる。純白のドレスに身を包んだ葉隠が駆け寄って恥ずかし気にする耳郎に声を掛けて大丈夫と励ます。

 

「大丈夫だよ耳郎ちゃん、凄い似合ってるよ!!」

「そ、そうかな……そうかな……?」

 

とチラリと視線でコメントを欲しそうに男性陣に目配せをするのだが……一番近くにいた上鳴と峰田は魅惑なボディと煌びやか且つ美しいメリッサに完全に視線を奪われて何も言わない。それを見て僅かながらに苛立ちを覚えたのだが、龍牙は即座にコメントを述べる。

 

「似合ってるよ耳郎さん。ボーイッシュな感じが一転してお淑やかだけど活発的なお嬢様な感じになって最高にマッチしてるよ。イカしてるよ耳郎さん」

「そうかな、そうかなぁっ……!!」

 

龍牙の言葉は恥ずかしさとこんなドレスが似合っているのかという不安に包まれていた心の靄を吹き飛ばして、煌びやかな笑顔を浮かべさせた。改めて龍牙を見るといい笑顔でサムズアップをしていた。

 

「そうだよ耳郎ちゃん凄いキラキラしてる!」

「うんうん、時間かかっちゃったけど選んだ甲斐があったよね!!」

「はい、お手伝いした甲斐がありましたわ!」

「うん、うんっ!!ウチ、イケてる!!」

 

自信を持つ事が漸く出来たのか、誇らしげに胸を張りながら笑顔を浮かべた耳郎。そんな彼女を見て葉隠は龍牙に向けてナイスコメント!!とサムズアップをすると、それが完璧に見えてるのか龍牙もサムズアップで返す。実は葉隠がコメントしてあげて!と小声で合図をしていたので龍牙はそれを受けたのである。まあ言われなくても彼ならば答えただろうが。

 

「おいおいお前ら何時まで此処で油売ってる気だ?早く行かねぇとパーティに乗り遅れるぞ」

「って戦兎さんその格好のままなんですか!?」

 

とその場にやって来た戦兎だが、彼の服装は全く変化していない。ランダムボーダーのTシャツの上に羽織った上着にジーンズというラフな格好のままで正装を一切していない。が当人は面倒だからな、の一言で済ませてしまう。

 

「俺は学会出る時とかも基本これだから、この島じゃこれが俺の正装みたいなもんだ。さてと、行くとするか」

 

という事らしいので戦兎はこのままの格好で行く事になりそうである。まあ本人がこれで良いと言い張っているのだからそれでいいのかもしれない。そしていい加減向かわなければ時間が危なくなってくる、漸く皆で海上へと踏み出していこうというその時―――真っ赤なemergencyという表示が至る所に表示されると共に隔壁の閉鎖が実行されていく。それと同時にアナウンスが流れてくる。

 

『I・アイランド、警備システムよりお知らせいたします。警備システムにより、I・エキスポエリアに爆発物が設置されたという情報をお知らせします。I・アイランドは現時刻をもって厳重警戒モードへと移行します、主要施設は速やかに閉鎖されますのでご注意ください』

 

「な、何々何が起こってるの!?」

「エマージェンシー……って戦兎さん一体何が!?」

「俺にも分からない、警備システムが爆発物を……いや、だからってこれは異常だ。これだけで警備システムが厳戒モードにはならない筈だ……エラーが発生している可能性があるな」

「私もそう思います、こんなことは絶対に可笑しいです」

 

I・アイランドで何かが起き始めている。それはこの島全土を巻き込んだ凄まじい事件の始まりそして―――

 

「さぁっ戦争(ゲーム)を始めようじゃねぇか……」

「クックック……腕がなるぜぇ……」

 

地獄めいた惨状を生み出しかねない実験の開始時間でもあった。




い、いよいよ動き出すぞ……映画の見せ場に……。

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