僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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新しく一歩を―――黒龍

死穢八斎會での出来事の後、龍牙はナイトアイの葬式に参列した。龍牙自身はそこまで深い関りこそ持たなかったがそれでもナイトアイの事は尊敬している心があった。自らの個性を用いたミラーワールドへの突入による内部構造把握の際に言われた一言が今も忘れられない。

 

『龍牙、私は一人のヒーローいや一人の人間として君を好いている。君の瞳には確かな正義と優しさが宿っている、それは揺らぐ事は無いだろう。君は今の君でいい、自分の思うがままに進め』

『ナイトアイ……』

『フッ、君がミリオと同い年だったら君も私の事務所にスカウトしていたことは間違いないだろうな』

 

あの言葉もナイトアイなりのユーモアであり紛れもない本音だったのだろうか、今となっては分からない事だが龍牙にとってあの言葉は重要な物になっていた。あの言葉を胸に刻みながら自分は前に進んでいこう、そう思いながら手を合わせていると隣にヴェノムが立って彼も手を合わせた。喪に服し静かに手を合わせながら彼もナイトアイに対して何かを出していた。

 

「……ナイトアイ、送ってきたチョコ美味かったぞ。全部キャラチョコだったけど、美味かったぞ。テメェの言う通りオールマイトの奴が一番味が良かった」

「なんだかんだでお前もナイトアイと絡んでたもんな」

「……まあな」

 

ヴェノムはヴェノムで面倒そうにしていたが、それでも嫌っていたわけではない。寧ろ堅苦しそうに見えるのにそれなりにノリが良くユーモアを重視するナイトアイは接し易かったとの事。加えて自分がヒーローになるのをかなり本気で応援してくれていた事もあったからだろう。それからナイトアイのお墓にはちょくちょくオールマイトを模したチョコレートが置かれているようになったという。

 

インターンは雄英とヒーロー事務所での話し合いの結果、しばらく様子を見る事になり龍牙たちは雄英での学業に専念する事になった。尚

 

「あっそうだ龍牙、インターンが無くてもきっとねじれは変わらないだろうから」

「―――言われなくても存じております」

「♪」

 

ねじれによる撫では雄英でも変わらずに起き続けた。そのせいでねじれと龍牙の交際説が一時的に流れたのだが―――関係が恋仲ではなく愛玩動物を愛でるそれ、姉が弟を愛でるそれと変わらない事に気付いてその噂は早々に淘汰されていった。

 

「おい龍牙お前、何時の間にあの天真爛漫系お姉さまとあんなに仲良くなってんだゴラァぁ!!!」

「いやいやいや峰田、あれは先輩が俺の事を一方的に撫でてるだけ。俺はそれに抵抗していないだけ」

「ああん気持ちよくて抵抗する意味ねぇってか!!」

「別の意味で抵抗する気が失せた。全力で逃げても直ぐに確保されるんだ」

 

そんな噂に踊らされている珍しい人物の一人である峰田。如何やら最近になって龍牙がモテるという事に気付いたのかその噂も一部は本当なのではないか!?と思って龍牙を問い詰めている。しかし彼からすれば無駄な事をしていないだけなのでそんな事は一切ない。

 

「そういえばこの前一緒に居た時もそうだったもんな、俺一切相手にされてなかったぜ」

「先輩曰く俺は撫で心地最高らしい。良く分からないけど」

「確かあの時だよな、真正面から先輩に見つかって龍牙全力疾走してたのにどうやったのか分からないけど先回りされて確保されてたのって」

「もうあれで諦めた。先輩に何をやっても無駄とな」

 

その時の様子を見ている上鳴だからこそその噂は100%ないと分かっているし龍牙のこの諦めの表情も分かる。あの時、龍牙は脚部集中で地面を蹴って後方に引いてから方向を転換。そのまま全力の脚部集中で全力疾走していた。その時の速度は飯田のフルスロットルにも匹敵する程だった、がそれをあっさり超えた先回りで確保したねじれに最早拍手しか起こせなかった。

 

「まあそんな噂よりもよ、龍牙お前Mt.レディがチームアップするって話ってもしかして前から知ってた?」

「勿論、直接聞いたよ」

 

昨今のプロヒーローはチームアップを行って新チームを結成する事が多い。それもオールマイトの引退などによるヒーローの弱体化を防ぐための新しい試みなのかもしれない。Mt.レディもチームアップをエッジショットとシンリンカムイと行ってチーム・ラーカーズを結成した。因みにその事を知ったのは龍牙が一度家に戻って掃除などをしている時で、又もや事務所を壊してしまったからという事だった。

 

「ねぇねぇ私達もプロになったらチーム組もうよ!麗日がウチを浮かせて酸の雨を降らせるとかよくない!?」

「サラッと言ってるけど三奈ちゃん、それ凄いえぐいよ?」

 

そんな話をしていたからか、皆でチームを組んでみようという話も盛り上がっていく。葉隠は先程の話の流れもあったからか即座に龍牙の元へと駆けていく。

 

「ねえねえ龍牙君、私とチーム組もうよ!私が裏から潜入するから龍牙君は表で思いっきり注意を引くの!」

「あっそれ普通にいい考え」

「それなら私も参加したいわ。保護色で隠密も出来るようになったから透ちゃんのお手伝いができるわ」

「ふむ、では我は龍牙と共に黒炎の影でヴィラン共を釘づけにして見せよう」

 

基本表立って戦闘などを行う龍牙と常闇、潜入などで情報収集を行って二人をサポートする葉隠、その二つの間に入って双方の手助けを行う機動力と対応力を持つ蛙吹。簡単な話合いだけで思いのほかいいチームがあっという間に出来上がりつつあった。何だったら龍牙も潜入も出来るのでかなりバランスが取れている。

 

「そうだ、折角チームアップの話題が出たんだ。ちょっと3人にこの後の授業で意見を出して欲しいんだ」

「意見……お前からの頼みを断る気など毛頭ない」

「私もよ龍牙ちゃん」

「私も私も!!でもこの後の授業って確か……セメントス先生の授業で必殺技を磨き的な奴だよね」

 

龍牙もまた一つ―――

 

「俺の―――全力についての意見が欲しいんだ」

 

新しいステップを踏もうとしている。

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