僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「そう言えばよ、龍牙の趣味って何なんだ?」
いきなりの問いかけだった。芦戸が教室内で得意のダンスを見せながら彼女の戦いにもそれが生かされている、趣味が仕事にも生かす事が出来るという事は素晴らしいなという事から派生して、龍牙へと飛び火してきた。
「何だ藪からスティックに」
「いや改めて考えてみたらさ、俺達お前の事全然知らねぇ~と思ってさ」
「あ~……そう言えば師匠の事云々は話してたけど龍牙の私生活とか全然知らねぇもんな俺ら」
上鳴の言葉に瀬呂も同意した。このクラスに完全に溶け込んでおり程よくゲームなどを一緒にしていたり特訓に付き合ったりもしてくれる乗りの良い龍牙、だが改めて考えてみると彼の事を自分達は全く知らない。自室も見せて貰ったがそれもほぼ全てが貰い物で自前の物などは全くなく、彼の要素らしいものが思い当たらない。
「龍牙っつったら個性が真っ先に出るもんな」
「悪かったなインパクト全ぶりな個性で」
「趣味とか分からないから余計にそっちに傾けてるんじゃねぇのか?」
と砂藤から言われる。彼は個性の為に糖分を摂取しなければいけないが、基本的にそのイメージはなく趣味も兼ねつつ個性の鍛錬にもなるお菓子作りのイメージなどが強い。緑谷も個性よりも本人に特色であるヒーローオタクの印象が全員にある。だからこそ趣味を教えて欲しいという物だろう、そう言われてそんな物なのかと思いつつも思わず頭を抱える。
「……そもそも趣味って何を差すんだ?」
『そこからぁっ!!?』
まさか過ぎる発言に皆から驚愕の声が漏れてくるのだが、緑谷と葉隠だけは微妙な表情を浮かべ、焦凍はしょうがないだろうなというしている。このクラスでは数少ない龍牙の事情に精通しているからか、趣味が思い当たらないのも致し方ないような気もしなくもない。
「いやなんかあるだろ!?」
「……師匠との修行?」
「いやそれは確実にちげぇよ!!自分がやってて楽しい事だよ!!」
「龍牙君、専門としてでなく、楽しみとして愛好する事柄だぞ!!それで何か思い当たらないのかい!?」
と此処で飯田が趣味の定義を出して考えやすくする。それに準えて必死に頭を捻った結果として出す事が出来た言葉が……
「演奏、かな」
「っ!」
此処で飛び出したのが音楽の演奏であった。
「そうなのか、じゃあ耳郎と同じじゃね?」
「そういうこと、になるのか?」
「にしてもお前何が出来るんだ、というか演奏出来るのか?」
「一応……」
家で流れていた音楽、主にクラシック系だがそれらを聞いている時にこれらはどうやって演奏されているのかと気になった事があり根津に尋ねた事があった。子供の単純な好奇心だったのだが―――当時の龍牙としては珍しい自発的な質問だったので根津は良い傾向だと笑みを作りながらとある場所へと連れて行ってくれた。そこは……個性を用いた音楽活動をするオーケストラ楽団の演奏会。
『如何だい龍牙、これが音楽の生演奏って奴だよ』
『……音楽って全身で聞くんですね……』
それからか音楽を聴く時は心なしか身体を揺らしたり指で演奏の真似をしたりしていた。ただそれだけだったのだが……根津はそれを演奏したいのかと思って楽器を調達したうえで自身のハイスペックをフル活用してやり方をレクチャーしてしまったのであった。結果として現在龍牙は様々な楽器を扱えるようになっている、と言っても最近はやっていないのでどの程度行えるのか分からないのだが。
「何が弾けるの?」
と此処で興味を示したのは自室が様々な楽器で埋まっている耳郎だった。彼女としては気になる所らしい。
「クラシックギター、バイオリン、チェロ、コントラバス、フルート、チューバ、オルガン、今もやり続けてるのはオカリナ位かな」
「すげぇやってんな!!?なんだお前万能マンか!!?」
「顔も良くて実力あって交友関係広くて料理も出来て楽器も弾けるとかお前なんだよ!?どれか一つくれよ!!主に顔の良さをくれよ!!!」
「凄まじく醜い嫉妬よ峰田ちゃん」
と蛙吹の舌で叩かれる峰田、それは何時もの事なのだが……耳郎はそれを聞いて今までにない位に嬉しそうな笑顔を浮かべながらどんな曲を弾いたりするのかと問いかけたりする。
「基本的に自分がやりたいと思ったのをそのまま」
「へぇっ~……楽譜は見てやる方、ウチは見ないけど」
「俺も見ない。それに一度聞けば大体わかるから」
『一度で耳コピ!!?』
この辺りも根津のハイスペック指導仕込みである、というよりも元々龍牙の両親であったビーストマンとミラー・レイディの二人が高水準の才人。その二人の血をバッチリと受け継いでいるので龍牙は元々才能が十分過ぎる程にあった。それを根津の教育がとてつもないレベルで底上げし、ギャングオルカの指導で肉体面と精神面が鍛えられた。結果として生まれたのが今の龍牙である。
「それじゃあ歌とかどうなの龍牙君!!カラオケ行ったりするの!?」
「何回か誘われていった事があるよ」
「へぇっ~どんな感じなの?」
「自分では如何かは分からないかな」
自発的に行った事は無いが自称姉のMt.レディのプライべートタイムのストレス解消と称してカラオケに付き合った事ならばある。後ミッドナイトに連れられて行った事もあるが、その時はエクトプラズムと一緒にデュエットしたりもした。その時に中々いい声だ、と褒められたりもした。
「耳郎さん、一回セッションって奴やってみる?俺も一度誰かとやってみたいし」
「あっそれいいね!!」
「あっ私もやりたい~!!この前耳郎ちゃんに教えて貰ったりしたからやってみたい~!」
「3人セッションかぁ~何やろうか」
と思わぬ所で同じ趣味を持っている者に出会えて少々テンションの上がっている耳郎、そこに実は部屋王から耳郎に楽器を教えて貰ったりしている葉隠も参加して即席のセッションチームが結成される事になったりする。そんな風に趣味の話が広がって新しく話の種などが増えたと思っていた龍牙だったのだが……この後、耳郎、葉隠と共に驚愕する事態となった。
「文化祭があります」
とホームルームで相澤からの発表があった。文化祭は体育祭とは違ってある種ヒーロー科以外の他科が主役となるイベント。寮制の導入などで他の科がストレスにを感じている事などもありこれらは安易に注意しする事が出来ない。なので開催は他科の事も考えて必須。そしてその為にクラスでの出し物を決めなければならないのだが―――
「さっきの龍牙とか、耳郎と葉隠の話もあるしさ、バンドとかでもいいんじゃねぇの!?」
『えっ』
「あっいいねそれ!!それと芦戸のダンスも組み合わせるのも良いかも!!」
『え"っ』
思っても見ない方向に話が急速に発進している気がしてならなかった。そして同時にある嵐が吹き荒れようとしている。それは―――雄英を飲み込みかねない程の力を秘めた……
「ンフッフッフ……待っててね龍牙君♡」
恋する乙女の大暴走、であった。
文化祭直後にピクシーさん出るのかよ!?っとついさっき届いたコミックスを読んで思った。それなら無理に出さなくても……と思ったけどこの人動かしやすいので出します。