僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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前に進む黒龍と清純

「りゅっ龍牙君!!戦兎さんが来てたってホントなの!?」

「ああ、さっきまで一緒に居たぞ。今は校長の所に行っちゃったけど暫くは雄英に居るらしいからまた会えるって」

「やったぁっ~!!!実はサポートアイテムの事とかでちょっと聞いてみたい事があったんだよね!!」

 

戦兎を見送った二人は寮の中へと戻っていくと緑谷が駆け寄ってきた、如何やら戦兎が来ていたという話を聞いて慌てているのだろう。如何やら聞きたい事があったらしいが、戦兎が雄英に滞在する以上チャンスは幾らでもある事だろう。何やら練習時間以外は色々と頑張っている様子だし自分もそれの手伝いが出来ないだろうか。そう聞いてみると緑谷は少しだけ恥ずかしそうに聞いてくる。

 

「龍牙君は遠距離にいる相手に対してはどんな攻撃をする?」

「状況にもよるとは思う。基本は黒炎弾がデフォ、場合によってはブラッカーからの攻撃もあり得るな」

 

戦闘スタイル的には余り遠距離戦には適性が無い龍牙、何方かと言ったら自身のタフさと防御力に物を言わせて相手を自分の領域内に引きずり込んで倒すと言ったスタイルなので余り遠距離攻撃面は充実していない。セメントスが言うように戦闘というのは如何に自分の得意を押し付けるのも重要なのである。

 

「遠距離攻撃に挑戦中、なのか」

「うん。治崎との戦いとかでも何も出来なかったりして色々だったから……」

 

オーバーホール、治崎との戦い。その場に龍牙はいなかったが凄まじい激戦だったと聞く、その時は壊理ちゃんの協力もあってなんとか戦う事が出来たがあの戦いは新たな課題を突き付けるものでもあったらしい。

 

「今はどんな事をしてるんだ?」

「所謂風圧かな、力で空気を弾いて攻撃するみたいな」

「そうか、緑谷のパワーならそういう事も出来るのか……」

「でも逆にパワーを高くすると身体が壊れちゃうから、今試行錯誤中なんだ」

 

それを聞いて龍牙は過去の教えを思い出しながら考え始める、今でこそ自分は強くあるが最初は色々と酷い者で炎で自分を焼いてしまう事も多かった。それらを克服する為に色んなアプローチを行ってきた。その中の一つを思い出した。

 

「それなら最初は空気じゃなくて弾を弾いて練習したらどうだ」

「弾……?」

「そう、指先でパチンコ玉を弾いて力の練習をする。後は紐の先に重りを付けた物を投げて武器にするとか」

「成程そういう練習の仕方もあるのか……!!」

 

元々パワーがあるならば下手に銃などに頼るよりもそちらの方が汎用性が高いし自由度も高い、緑谷の力ならば自力で地面を砕いた破片を武器にして戦う事だって十二分に出来るだろう。出来る事はどんどん試していって自分に合っている物を合わせていくのが効率的だし、その過程でも自分は成長していく。

 

「スパーリングの相手が必要なら声を掛けてくれ、俺で良ければ相手になる」

「有難う龍牙君、それともしかして頭の上の龍ってI・アイランドのあれ?」

 

此処で彼も漸く気付いたのか、頭の上の龍の事を聞いてきた。未だに欠伸をしながらのんびりと昼寝を行っているドラゴン、傍から見れば本当に機械なのかと疑いたくなるような暢気さ。そして同時に緑谷は龍牙が腰に装着している物を見て目を見開いた。

 

「りゅうりゅうりゅりゅりゅ龍牙君!!これって戦兎さんが使ってるビルドドライバーじゃないの!!?凄い、僕本物をこんなに近くで見るなんて初めてだよ!!!僕いまだにDX版のビルドドライバー大切にしてるんだよ!!?」

「戦兎さんがくれたんだ。ベルトがドラゴンの補助をしてくれるらしい」

「凄いやぁ~!!!」

 

ヒーローマニアの面が全開になってしまっている緑谷、折角だから此処で変身を試してみるかとドラゴンに大丈夫かと声を掛けてみると何処か面倒臭そうな物を溢れ出させながらの欠伸を返してきた。如何やらまだ龍牙のデータが揃っていないのかまだまだスキャン中である模様。

 

「う~ん残念、ちょっと変身して見たかった感があったんだろうけどなぁ」

「でもスキャンが終わったら出来るんだからその時に試せばいいんじゃないかな、それよりもベルト見てもいい!?」

「いいよ」

「やったぁぁ!!!」

 

 

「う~んやっぱりこっちなのかなぁ……それともこっち?」

 

無数に広げられた衣装、並べられているそれらを見つめながらも鏡に映っている衣装を纏う透明な少女は個性を解除して自分の姿を見ながらどの衣装が一番合っているのかを悩んでいる。葉隠は悩んでいた、ミスコンに参加することを決めたのは良いのだがそうなるとどんな衣装を着ればいいのか。

 

「むむむっ……でもやっぱり強敵ばっかりだよなぁ……」

 

エントリーしてきたのは良いのだが、ミスコンに出るのは全員が超強敵ばかりだった。ミスコンの覇者である絢爛崎 美々美、準優勝の波動 ねじれ。これだけでも凄い面子が相手なのだが今年はB組の拳藤も出る上、彼女らに比べて自分は完全な無名。透明であるが故に目立つのが難しく注目を集める事自体が難しい、手続きをする時にも本当にエントリーするのかと言われてしまった。だがそれでも出るのだ。

 

「うんっ私の持ち味は誰にも見られなかった、だから目立たない。だからこそそれが良い落差を生み出す!!」

 

圧倒的な不利な筈の戦いだが葉隠は一切迷わないし、気押しなども一切されない。

 

『本当に良いと思うよ、俺応援するよ』

 

「うん、龍牙君の言葉があれば私は何処にだって行ける。羽ばたいていける」

 

あの応援の言葉が自分に勇気を与えてくれている、だから恐れる事など何もない。自分らしく自分がアピールしてやればいいのだ、完全な無名なダークホースこそが自分。そして自分で言うのもなんだが容姿は優れている、あのリューキュウのお墨付きがある。自分には優しい龍の言葉が付いている、だから一歩を生み出す。

 

「うんっ頑張ろう、フッフッフ……実はミスコンでやる事も決めてあるんだよねぇ~……龍牙君驚くぞぉ~♪」


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