僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「さて、状況を整理するか」
短い時間にかなりの情報と状況に陥っている、故に一旦頭を冷静にする必要がある。戦兎は年長者として率先して周囲を纏め上げる為に情報を口にする。
まず、第一に自分達はこの状況の詳しい情報などを知る為とオールマイトとの合流を目的にしてパーティ会場へと乗り込んだ。しかしそこで待っていたのはヴィラン達の手によって身動きが取れなくなっているオールマイトの姿だった。どうやらヴィランが警備システムをジャックしたせいで、この騒ぎが巻き起こり、対ヴィラン用の特殊拘束器具がヒーロー達に使用されてしまっている。
そして身動きの出来ないオールマイトに携帯のライトでサインを送る事に成功、耳郎の個性で小声でも状況が把握できることを上手く伝えてオールマイトから情報を取得。タワーが占拠されている上に島民全員が人質にされている最悪すぎる状況、だがそれでもオールマイトは自分が何とかするから逃げろというのだ。本当にそうするべきなのかと皆が迷う中で飯田はいう、そうするべきだと。
「俺はオールマイトの指示に従うべきだと思う、俺達が下手に行動するよりも確実だ」
「私も賛成ですわ。ヒーロー免許もない私達が行動するのは余りに危険ですわ」
「だが脱出も容易じゃねぇのも事実だ、此処の警備レベルは高いからなぁ……」
重要な研究なども行われているI・アイランド。その為にこの島の警備レベルはヴィラン犯罪者などを収容するタルタロスと同じ防災設計が成されている、警備システムが奪われている以上、脱出も困難。このまま助けを待つしかないのかという選択肢しかないと思われる中で、龍牙の頭の上にいたドラゴンが漸く起きたのか泣き声を上げ始める。
「お前、今まで寝てたのか。肝が太いというかなんというか……」
『?』
首を傾げつつもじっとこちらを見つめてくるドラゴン、何かを言いたいのかと龍牙もそれを見つめ返す。
「龍牙君?」
「……」
『―――』
「成程な、そういう事か」
手を差し出すとその上にドラゴンは乗り、キープされ続けていた自らの成分のBRボトルが射出される。それを取りながら戦兎に貰った腰のボトルホルダーに収めながらドラゴンも懐に入れて戦兎に向き直る。
「戦兎さん、不躾なお願いをします」
「何だよ藪からスティックに」
「まだ、ヒーロー免許は保持されたままですか」
「―――ああ、勿論。ビルドとしての資格は持ち続けてる」
元こそ付くが有事の際にはヒーロー活動が出来るようにと戦兎は資格を持ち続けている。持っていて損が発生する資格でもないからというのもあるが、戦兎も戦兎で誰かを救いたいという思いで今の研究職にいる。そして龍牙の言葉で察したのか葉隠もその隣に立った。
「桐生博士、いえ戦兎さん。私も龍牙君と同じ気持ちです」
「……本気だな、その思いに迷いはないか」
「ないです。ヒーローを目指す以前に一人の人間として誰かを救いたい」
「誰かが困っていたら手を差し伸べる、それは当たり前です!!」
それを聞いて戦兎は笑った、嬉しそうな表情で顔をくしゃくしゃにした本当に嬉しそうで楽しそうな顔で笑う。二人の肩に手を置きながら口癖を言う。
「最っ高だよ二人とも。よし―――今だけは天っ才物理学者の桐生 戦兎の名前は忘れてくれ。今から俺の事は―――悪を壊し、人々の愛と平和を作り出すヒーロー、ビルドの桐生 戦兎って事で宜しく!」
「えっええっ!!?どういうことですか!?」
「プロヒーロー、ビルドの名の元に個性の使用を許可する!!」
「そ、そうか!!プロヒーローであれば一時的に個性使用許可を出す事が出来る!!」
そう、飯田も経験がある事。嘗てステイン確保を目的に保須市に赴いた時の事。突発的に起きた脳無との戦闘でチームリーダーであったパワーコングが自らと龍牙に個性を用いた戦闘を許可を出した。プロヒーローであれば緊急における個性使用を許可する事が出来る。その場合の責任は全て許可を出したヒーローが取る事になってしまうが……戦兎はそんな事気にするなと力強いサムズアップで応えた。
「俺が全責任は取ってやる。何心配すんなって、何だったら俺が使わなくなってた資格を返上すれば済むだけの話だ。それにな―――お前らヒーローを目指してんだろ、なら俺にその力を見せてくれよ。救ってやろうじゃねぇか平和の象徴を、この島の全てを―――さあ下向いてる顔を上げろ、拳を握れ、ヴィラン共をぶっ飛ばして警備システムを奪還してやんぞ!!」
『おおっ!!!』
全員の表情に覇気が宿る、先程まで暗くなっていた全員が。あの平和の象徴までが動けなくなっている現状に絶望すら感じていたのに、戦兎の一言で全員が前を向いた。力を振るって誰かを助けるという意志が全員を統一していく。元々あった灯は小さな物だったが自分が与えた僅かな物でそれが大きな炎へと生まれ変わったのだ。全く頼もしい後輩たちだ、これからのヒーロー社会には良い刺激を与えてくれると確信しつつ、何時か自分が彼らの為にアイテムを作ってあげたいとすら思える。そう思いながら、戦兎はヒーローのビルドとして変身する事にする。
取り出したそれを腰へと当てると自動的にベルトが伸びて、ジャストフィットするように腰へと巻き付いた。
「さあっ―――久々に実験を始めようか」
「そ、それって戦兎さん専用のアイテムのビルドドライバー!!?それにそのボトルってまさかぁ!!!?」
と此処でもヒーローオタクの本領を発揮して大興奮する緑谷、そんな声を聞いてテンションが上がりながらも両手に握った赤と青のボトル。それを振るって内部の成分を刺激していく。そして十分に振るうとそれをベルトへと装填する。
〈
〈
ボトルをベルトのスロットへと装填すると宣言される組み合わせによる
〈ARE YOU READY ?〉
「変身!!」
その言葉と共に、自らを囲っていたそれらは勢いよく戦兎へと迫っていく。それらは完璧に接続され1ミリの隙間もないように一つとなった。赤と青、それぞれの半身が一つのヒーローの姿へとなった。
〈
「うおおおおっっすっげぇっ!!?変身したぁぁぁ!!!」
「かぁぁぁっこれで燃えない奴とかいねぇよずりぃよ戦兎さんよぉ!!!」
「凄いやぁぁあああ!!!もはや幻と化したビルドの変身シーンをこんなに近くで見られるなんてぇぇ!!!」
先程までの暗い雰囲気何て何処に行ってしまったのだろうか、兎も角やる事は決まった。やるべきことも決まった、ならば後はそこに向かって突っ走るのみでしかない。その為の道筋なんて自分がビルドしてやる、と戦兎はハンドサインを作りながら言った。
「さて諸君―――人助けのお時間だ……行くぞ!!」
『おうっ!!』
―――くっそめんどい。主にビルド変身の時の色変えるの。すっげえめんどい。やりたくない、でもやらなければならないという使命感が私を突き動かすの……ああっでも失敗して、やり直して成功した時の幸福感と陶酔感がやめられないの……ああっ罪な味わい……。
と世迷言はこの位にして、まあ実際色変えるの凄い面倒なんですけど、YOUTUBEとかで字幕の動画って凄い見てて面白いの多いので自分もそれに近づけたいっていうのが主です。マジで凄いよ、平常放送でもこれやろうぜって思うレベル。
そして―――案外耳郎さんとかヤオモモヒロイン編もありかな、と思い始めている今日この頃。