僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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ウサギとウサギと黒龍

ビルドこと、戦兎との戦闘が終了した後は共に校長の元に足を運ぶ事になった。戦兎としては元々ドラゴンを併用した場合の龍牙の実力を測る為に手合わせ程度をするつもりでいたのだが、根津に直々に実力を見て欲しいと言われた。なので結構乗り気で戦った、それにフェニックスロボはハッキリ言って戦兎の中ではかなり上位に位置する手札と言える。

 

「他にも手札はあったぞ、でも他だと火力があり過ぎんだ。あれなら俺の技術と加減で何とか出来るけど、性質自体はコントロール出来ない」

「へぇっ~……本当に豊富なんですね」

「空中海中なんでも御座れだ」

 

あらゆる場所での戦闘に適した姿を作り出す事が出来るのもビルドの強みの一つ、それを可能にしているのが戦兎の個性である抽出。抽出で得られている成分はプロヒーローに協力を仰いで取らせて貰った物も多くある、今回使用したフェニックスボトルの成分も不死鳥の個性を持つヒーローから取らせて貰った物。

 

「実はこのボトルが出来た時にちょっとした話が合ってさ、抽出された側は個性因子が疲弊して個性が弱体化するって話はしたし体験しただろ?」

「ええ、俺の場合は炎の温度が下がったりとかでした」

 

当然不死鳥の個性を持つヒーローにもそれが訪れる。不死鳥の個性はその名の通り、どんな怪我を負ったとしても炎と共に再生する。例え腕を捥がれようとも炎と共に腕は再生する。そんな個性が一時的に弱くなった、故かヒーローは試しにナイフで指先を傷付けてみた。ぷっくりと膨れるように血が滲み、僅かな痛みが湧く。ただそれだけだった、普段ならば痛みすら飲み込んで炎がそれらを無へと返す。だがそれが起らなかった、それを見たヒーローは涙を流しながら喜んだという。

 

「なんでも個性のせいで殆ど無痛症に近い状態だったらしい。それで久しぶりに感じた痛みに感動したんだと、やっぱり人間は生きているなら痛みと共にあるべきだって」

「分からない話じゃないんですけど……何か、痛みを得て感動って良く分からないですね」

「そこは同感。分かりそうな気もするけどやっぱりなんか理解出来ねぇ」

 

そんな面白い話を聞きながらも漸く到着した校長室、中へと入ると根津が居たのだからもう一人の影もあった。白地に紺の縁取りがされたバニー服のようなボディースーツ、胸元には大きく黄色の三日月があしらわれているそんな姿を纏う筋肉質だがスタイル抜群な美女に龍牙は覚えがあった。師と同じヒーロービルボードチャートの上位の常連とされているトップヒーローの一人、勝気なバニーことラビットヒーローのミルコだった。

 

「あれってプロヒーローのミルコ……なんで校長の所に?」

「野暮用で彼女が訪ねてきたんだよ、それでちょっと話をしてたんだけど……」

 

根津は頬を欠きながら珍しく冷や汗を流しているようにも見えた、彼からしてもこの状況は余り宜しくない物らしく何処か笑みが引き攣っている。龍牙もそんな空気を感じ取ってしまった、何故ならば隣の戦兎から良からぬオーラがビシバシ出ている。そっと顔色を窺うように視線をやると眉間にしわを寄せた如何にも不機嫌です、というのが読み取れるような表情をしてらっしゃるのだ。

 

「よ、よおっ……戦兎、久しぶり、だよな……?」

 

一歩前に出たミルコ、彼女は戦兎の機嫌を窺るような声を出しながら挨拶をする。龍牙はそんな言葉にある感情やら声に疑問を持ってしまった。ミルコと言えば大胆不敵で竹を割ったような豪快で男勝りな性格、大胆な行動や言動を踏まえて勝気なバニーと呼ばれている存在がしおらしい言葉を口にしている。そしてまるで戦兎とはかなりの交友があるような口ぶりだ。そんな言葉を受けて、少し置いてから忌々しげにしながら戦兎は口を開いた。

 

「ああそうだな―――あの時(・・・)以来だな」

「っ……」

 

あの時、それが一帯を何を意味するのか龍牙には理解出来ないがその部分を意図的に強調する戦兎にミルコは唇を強く噛みながら俯いた。重々しい空気がその場に充満してしまう、そんな空気に耐えきれなかったのか、それとも理解が及ばずに如何したら良いのか分からなくなったからか

 

「えっ何この空気」

 

と思わず龍牙は呟いてしまうのだが、そんな言葉は虚空へと吸い込まれて消えていく。

 

 

「まあ戦兎、龍牙の実力どうだったかな?」

「いやぁ実に滾りますなぁ、フェニックスロボを出さざるを得なかったですよ。ラビットタンクをあっさり対応してきますから」

 

取り敢えずその場は根津が収めて紅茶でも飲みながらゆっくり話をしようと席に着く……だが戦兎はミルコの前に座る事を拒否するように根津の正面に座ったので龍牙が必然的にミルコと対面するような形になった。ミルコは戦兎の方へと視線をやろうとするのだが、全くこちらを見ようともしない彼を見て何処か落ち込んだように紅茶を口にしながら自分に目をやる。

 

「お前が龍牙か……校長の言ってた自慢の息子って奴か……」

「あっはい、黒鏡 龍牙です」

「……あんな戦い方してるもんだからどんだけ生意気な奴かと思ったら、存外に礼儀が出来てるやつじゃねぇか。いいぞ、年上に対する接し方が身についてる」

 

と軽く笑みを浮かべながらミルコは少しだけ元気が出たように持ち直す。そんな彼女に対して戦兎は鼻を鳴らしながら言った。

 

「それで、何でお前が先生の所にいんだよ。用が済んだらならさっさと帰れよ」

「んだよ戦兎、俺が此処に居たらまずい事でもあんのかよ」

「ああ、せっかく先生が淹れてくれた紅茶が不味くなる。だから出てけ」

 

邪険に扱わるミルコ、だが先程のように凹んだりはしなかった。流石に頭に来たのかテーブルの上に足を置きながら戦兎の胸ぐらを掴んで引き寄せながら喧嘩腰に叫んだ。因みに足を置いた際に龍牙と根津のカップが宙を舞うのだが二人は上手にそれを受け止めていた。

 

「てめぇさっきから何だその態度!!俺が今までてめぇにどんだけ会いたかったのかも知らねぇで何だその態度は!!少しは喜びやがれってんだ!!」

「誰が喜ぶか!!お前とはもう二度と会いたくもなかったんだよこの馬鹿ウサギ!!つうか放せ、何が勝気なバニーだ、野蛮で粗暴な馬鹿ウサギに変えろ!!」

「ンだとテメェ!!」

 

胸倉を掴んでくるミルコにだんだん腹が立ってきたのか戦兎の方も言葉が荒くなってきている。彼もミルコの胸倉を掴みながらテーブルから引き摺り下ろしながら互いに額をぶつけ合いながら大声で怒鳴り合う。

 

「テメェもテメェも相も変わらずに研究馬鹿しやがって!!高々1年程度でプロをやめた馬鹿に馬鹿なんて言われる筋合いなんて更々ねぇんだよ!!」

「その馬鹿に相棒として雇って貰ってた奴が偉そうなこと言うな馬鹿ウサギ!!そもそも俺は元々研究職志望だったのにお前のせいでプロヒーロー活動する羽目になったんだろうが!!」

「テメェしか組める相手が居なかったからしょうがねぇだろ!!大体あの一件があったからお前はI・アイランドに行けたんだろうが!!!」

「そんな事なくても自力で行ってたわ筋肉馬鹿ウサギ!!」

「筋肉付けんじゃねえこのナルシスト!!!」

 

そんな喧嘩をし続けている二人、口では互いの事を口汚く罵っているが内容は相手の事を深く理解していないと出来ない事ばかり。なので龍牙は実は仲良しなのではないか?と思わず思ってしまう。

 

「喧嘩するほど仲が良い、ってこんな事を言うんですか校長」

「さあどうだろうねぇ……まあこれもある意味仲が良い証拠かもね」

「「誰がこんな奴と!!真似すんな!!」」




褐色で筋肉質でスタイル抜群で男勝り……アリだな!!
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