僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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文化祭で何やら感じる黒龍

「龍牙く~ん見ててくれたぁ~!?」

「ああ、見させてもらったよ。凄い輝いてたよ葉隠さん」

「えへへへっ~♪」

 

そんな風に笑っている彼女、そこにあるのは何時も通りの見えない表情と姿だが龍牙にはバッチリと分かっている。彼女が頬を少し赤くして照れくさそうにしながらも笑っているのが確りと。何故かと言われても分かるのだから致し方ない。ミスコンのアピールを終了した葉隠は速攻で龍牙の元へと駆け寄り、自分の事を聞く。ミスコンの結果発表は午後5時、一体どんな結果になるのか楽しみでもあるのだが既に彼女は満足しているのかもしれない。そんな彼女は龍牙の隣に立っていたピクシーボブへと顔を向けた。

 

「如何したピクシーさん、エッヘン!」

「いや本当に凄かったわよ、葉隠ちゃんよく考えたわね。透明の解除の仕方、そのスピードまでマイクの落下の時間を計算しなきゃあそこまで正確なキャッチまでのタイミングを計るなんて不可能よ」

「いっぱい練習しましたから!!」

 

実は計算何て一度もしていない、マイクを投げて落ちてくるまでにピッタリになるように何度も何度も練習を重ねて出来るようにしただけ。その結果感覚的に落下までの時間を把握出来るようになり、それに合わせて個性を解除を行って自分の姿を見せただけ、と彼女は語るが時間を感覚的に把握するのは相当難しい技術。それをミスコンに出るまでに決めた時間で会得してしまうのだからかなり凄い。

 

「それにしても……まさか葉隠ちゃんがあそこまでの超絶美少女だったとは……完全な想定外だったわ」

「エッヘン!!なんたってリューキュウさんのお墨付きがある位に美少女ですから私!!……ごめん龍牙君、今の私の言葉忘れてね……」

「いや、本当の事だからいいんじゃないの?」

「それでも忘れて欲しいのぉ~!!」

「イタイイタイ!?何で叩くの!?」

 

ポカポカと龍牙を叩く葉隠、頬を膨らませながらの抗議に龍牙は疑問を浮かび上がらせながらも分かったからやめてくれと懇願する。ピクシーボブは透明であるので自分に合ったアドバンテージを失ったに等しい状況にあった、笑顔などのアピールなどが伝わりにくいのも自分が有利な点だったがそれがなくなった。だが、それでも彼女は別段落胆した様子などはなかった。寧ろ野心を燃やしているかのようだった。

 

「良いじゃない、益々燃えるわ……!!葉隠ちゃん、負けないわよ」

「私だって、負けませんから」

 

そう言いながら葉隠は姿を現しながらキリっとした表情で不敵な笑みを浮かべながらピクシーボブの宣戦布告を受けて立った。これで対等の立場のようになったライバルはこれからが本当の戦いだと告げるように、不敵に笑う。自分こそが彼のハートを射止めるのだと確信している、そのように笑いながらも相手には負けないと宣言する。そんな嵐のような中心に立つ少年は流石に何やらとんでもない事の中心に立たされているのでは……という事は理解したのか顔色がやや悪くなっている。

 

「(な、なんだこの感覚は……まるで師匠との立ち合いで悪手をした直後に自分でそれに気付いたけど、師匠の殺気で何も考えられなくなった時に似てるぞ……!?)」

 

一体お前はギャングオルカに何を味合わされているんだと言いたくなるような経験だが、実際そんな感覚を味わっている龍牙。何か手を誤ってしまった感がある、何を間違えたのかと必死に考える。この場において何がいけなかったのかを思考する、だが何も思いつかないのだ。そうこの場に置いて龍牙は間違えてはいない、それ以前の段階なのだから……なので龍牙は安全策を取る事にするのだった。

 

「折角三人揃ったんですし色々回ってみましょうよ、複数人じゃないと出来ない出し物とかあるみたいだし」

「―――良いわね流石龍牙君!」

「うんうん行こう行こう~♪」

 

と一気に空気が軟化するのを感じて思わず胸を撫で下ろす、がそれの束の間。同時に両サイドから腕を確保されてしまい動きを封じられてしまい、二人に進むがままに歩くしかなくなってしまった龍牙は心なしか危機感を募らせていた。根津とオルカが望んでいた成長をこんな時にしてしまう龍牙であった。

 

「えっとあそこでクレープも売ってますね、何にします?」

「私イチゴ~!」

「私はグレープね」

「えっと俺は……頼んだことないから分からない……」

「此処はイチゴだよ龍牙君!」「此処はグレープよ」

「「……」」

「え、えっと両方の味って出来ますかね……」

「あ、ああ出来るぞ!待ってな!!」

 

この後も文化祭を回っている段階でそれなりの頻度で葉隠とピクシーボブのぶつかり合いが起るのだが、それを龍牙は天然&ナイスプレーで何とか切り抜けていく。その過程で

 

「龍牙君凄い、私これ欲しかったんだぁ!!」

「有難う龍牙君、このネックレス私にナイスな位に似合ってるわ!」

「喜んでもらえて良かったです」

 

二人からの無言の要求で出し物の景品を取ってプレゼントとしたのは良いのだが……なんだか更に深みにはまったような気がして冷や汗が僅かに出てきたりしていた。最終的には手を繋いでいただけなのに、腕をガッチリと組み合わせて来ている二人に流石の天然且つ区別がつかなかった龍牙も身の危険を感じ始めるのであった。

 

そして気になる葉隠のミスコンでの順位は―――なんと大健闘の第3位という順位で入賞をする事が出来たのである。透明、無という所から現れた可憐な美少女というインパクトの大きさと笑顔で歌うそんな彼女に様々な人が心を射抜かれたらしい、因みに龍牙は勿論葉隠に投票していた。


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