僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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取材を受ける黒龍

『俺には一人の弟子が居る、そいつが俺に力をくれた。俺の目的はそいつにバトンを渡す、そいつに次のヒーローの世代を託す事。その為に俺は力を尽くす、ヒーローとして―――ギャングオルカは此処からがスタートだ』

 

「以前からお願いされていたオールマイトの特集、それに搦めて僕はこの相手を追いたいと思っております」

「今のって……先日のビルボードチャートでのギャングオルカのコメントよね」

「はい」

 

とある出版社の一室にて行われていた会議。その界隈では様々な記事が上がったりしているが、最近では矢張りオールマイトに関する者が随一となっているがこの出版社はそれらをまだ出していなかった。理由としては他社との被り、他社の本を読んでもやはり定番は押さえているがそれだけでこれだ!という物があまりない、なので様々な調査などを進めていたのだが……そんな中、フリー記者である特田 種男は依頼を受け、独自に調査などを進めていく中、オールマイトだけでは現在を引っ張っていくヒーローにも注目すべきだと同時に調査を進めていた。そんな彼が目を付けていたのが―――これだった。

 

「編集長に言われた通り、オールマイトに関する記事は調査していますがそれだけではダメだと思い個人的に目を付けていたのが今を生きるヒーロー達です。その中で一番勢いがあるのがギャングオルカだと睨んでいます」

「確かに、彼は№10から3に一気に駆け上がってる。でもそれならホークスとかでもいいんじゃないの?」

「いえ彼は違いますね、彼は何方かと言えば意識せずに速度を上げられるタイプで歩く速度が走る並というだけで今を引っ張る人ではないです」

 

勢いで言えばホークス、だがそれは違うと断言する。今を引っ張っている、いや追い上げるように昇っているのはギャングオルカだと断言する特田に編集長はそれだけ断言する理由があるのね、問いかけると特田はTVの映像を切り替えた。そこには雄英体育祭での一場面、屈指の激突と呼ばれ未だに話題に上がる龍牙と常闇の激突がそこにあった。

 

何せ、晴天だった大空を曇天に変え雨を降らす程。そんな激突は動画サイトでも転載されて多くの人の目に触れられている。

 

「ギャングオルカが次代のヒーローを託すと決めた弟子、それだけの力を持つ人間、彼の弟子とは―――黒鏡 龍牙君だと僕は思っております」

「―――分かった、前々から取材の許可は求めてたから降りると思うわ。お願いね、タネちゃん」

「お任せを☆彡」

 

『取材!?』

「ああ、お前達に新聞社の取材が入る。取材内容は寮生活を始めた生徒達の暮らしぶりをレポートする事だ、保護者方にも寮生活を送っている生徒の事を知って貰うのにもいい機会だという事で承諾した」

 

そんなこんなで寮へと取材が入る事になった、迅速な対応だったからチャート発表の翌日には取材が入る事になった。相澤からの話を聞く皆は取材が入るという事でそわそわしがち。

 

「ねえねえ龍牙君、取材なら私も個性解除した方が良いかな!?」

「それはそれで良いかもね、きっと写真映えするよ」

「おめかししちゃおうかなぁ!?」

 

個性が解除して化粧を楽しめるようになったのは葉隠的にも非常に喜ばしい所でもあった、休日には芦戸や百と共に遊びに行って一緒に洋服を見に言ったりもしている模様。その時には試着の時だけ個性を解除したりして感想などを聞いたりしている模様。

 

「それじゃあ特田さん、どうぞ」

「はい、皆さん記者の特田です。本日はよろしくお願いします、特に皆さんに何かしてほしいという訳ではなくありのままの姿を取材させて貰いたいと思っておりますので僕の此処とはあまり気にせずいない者として普段通りにお願いしますね」

 

そんな風に笑顔で挨拶を済ませた特田は早速取材へと移った。寮生活を送る普段の彼らをスクープする、それらの為に朝食をとる皆の写真を撮ったり、授業中の姿、登下校の何気ない一幕、休み時間、昼食、何気ない日常の一場面を切り取ったフィルムに収めていく。それらを見つめながら特田は何時ギャングオルカの弟子であると踏んでいる龍牙に接触するべきかを考える。

 

「(黒鏡 龍牙、黒い龍の戦士へと変身する個性、それらを部分的に展開、一部に集中させる事さえも可能。そして生み出す炎は黒く通常の物よりも高い温度を持つのも特徴)」

 

龍牙の事に関して一度見直しつつ、外では雨が降り出している様子をソファに座りながら見つめ続けている彼を見る。そんな彼の頭の上では小さなる龍が欠伸を書いている。噂ではあの超天才物理学者、桐生 戦兎とも交友があるという話がある。是非とも彼に話を聞いて見たい、此処で聞くべきだと特田は意を決して龍牙へと話しかける事にする。

 

「やっ龍牙君、雨が好きなのかい?」

「何となく好きなんですよ、雨の音とか聞くのもなんか好きです」

「環境音か、僕もなんだか分かるよ。電車が線路を鳴らすととかも心地良いよね」

「あ~分かります分かります」

 

僅かな会話だけで龍牙の傾向を掴んだのか、龍牙が好きな物を上げて会話のペースを掴む。この辺りは流石は数々のスクープを物にしてきた記者なだけはある。そして特田は余り自分の事を隠す事はせずにぶっちゃけた。

 

「実は体育祭で龍牙君は凄い活躍をしたじゃないか、それで特に話を聞いて見たくて。君の個性なんてすごいこう、カッコいいじゃないか。僕の中にある男のロマンをダイレクトに揺さぶって来てね……!」

「そう言って貰えると嬉しいですね、俺なんか良ければお相手します」

 

内心でYES!!とガッツポーズをする。個性の見た目の関係上、下手に本音を隠さずに本心をぶつけて交渉に臨むのが良いのではと思っていたがそれが想像以上に功を奏した。これは良い記事が出来そうだと内心で笑いながらレコーダーを起動する。

 

「まず君の個性だけど、凄かったよね。あれだけすごいって事は何年も鍛錬を積んでるって事かな」

「そうですね、10年……近くですかね」

「10年、そりゃ凄い!!」

 

龍牙はあのエンデヴァーの息子である焦凍とも互角以上の戦いをしただけではなく、それを破っている、故に最低でも焦凍と同じだけの訓練を積んでいるとは思っていたが矢張りだった。だが10年とは想像以上、一口に10年とは簡単だがそれは赤ん坊がもう学校に通い自主性を獲得する、大人で言えば大きな転機を迎えても可笑しくはない年月、それだけの時間を鍛錬を続けてきたは驚きだった。

 

「そんな年月、まさかたった一人でかい?」

「まさか、俺には師匠が居ますよ」

 

―――キタッ……!!

 

「そのお師匠さんの名前を聞いちゃっても大丈夫かい、もしかして僕も知ってる人だったりするかな」

「ええきっと知ってますよ、俺の師匠はギャングオルカです」

「ほうっあのギャングオルカ!!」

 

やはりそうだった、自分の記者としての直感に狂いなどはなかったと思わず歓喜する。元々龍牙ではないかという目星を付けていたのは龍牙があれだけの力を持つには誰かの指導が無くては不可能だと判断したから、そして個性の見た目の関係上で類似点があり、実力もあるギャングオルカが一番可能性としては高いのではないと思っていた。それが今確定した。

 

「そうか、君が……こりゃ凄い事を聞いちゃったかもな、フフッこれは是が非でももっと話を聞かないとね」

「お手柔らかに」

 

そして十二分に話を聞いた特田は満足気に笑いながら龍牙に手を差し伸べて握手を求める、それに龍牙は力強い握手で応える。

 

「本当に有難う龍牙君、君からの話は絶対に悪いようにはしないさ。良い記事にして君の背中を押させて貰うよ―――頑張ってね、次代を担うヒーローになる為に」

「―――ええ、絶対になりますよ」

 

この後、特田は緑谷と何かと話した後にそのまま帰っていった。そして彼が持ち帰ったスクープは大いに記事の正確に役立った、そして出版された物はオールマイト、ギャングオルカを二つに柱にした物だったが、その中には龍牙を特集した記事もあった。

 

『次代を担うのか、それとも彼が次代を作り上げるのか。我々はどうなるのか心待ちにしている、彼の活躍を心から応援しております』


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