僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「オラオラオラァッ~天っ才物理学者のヒーロー、ビルドのお通りなんだから隔壁も確り開けなさいってのぉ!!」
緑谷達と別れて進む事になった龍牙と葉隠、そして戦兎。緑谷達が動きやすいように派手に暴れて此方に目を引き寄せる為の囮も兼ねる為に兎に角派手に動き回る。進む道を塞ぐ隔壁は破壊して突き進んでいく戦兎ことビルド、破壊した隔壁を補おうと新しい物が降りてくるのだが、それすら粉砕していくビルドの破竹の勢いは止まる事を知らない。一方の龍牙は龍牙で―――
「だああぁぁぁぁっっっぅっ!!!俺の、道を阻むなぁ!!!」
彼なりに目立とうと荒々しさを全開にして黒炎で隔壁や周囲の壁を燃やしながらビルドに続いていく。そこだけを切り抜いたら完全に龍牙の方がタワーを占拠したヴィランだろ、間違いなく言われるほどには荒々しく暴れている。
「もしかして龍牙君、その暴れ方……爆豪君を意識してる?」
「まあね。それに俺を殺すつもりで相対してくる師匠を混ぜてる」
「そりゃ迫力満点だよね……」
後ろから着いていく葉隠だが、ビルドは所謂愚連隊を率いるチンピラ的なものに何とか映る。が、龍牙の場合は見た目との相乗効果もあってとんでもない超凶悪ヴィランが暴れているように映る。師匠譲りのヴィランムーブ……というのだろうか、それが確りと受け継がれているのか歩き方に地面の踏みしめ方や息遣い、様々な物に迫力を感じずにはいられない。葉隠的には龍牙の事を理解しているのは全然怖くなどないのだが……何も知らない人が見たら大変だから自分が頑張って説得しないと……と内心で決意するのであった。
「おっ、漸くセキュリティロボを出して来やがったか。待ち草臥れたよ」
「他の連中が来るまでの時間稼ぎですかね」
「それが妥当だろうな」
そんな風に余裕をかましている戦兎の言葉通り、隔壁が開きそこから人型のロボがゾロゾロと列をなしてきた。機械の身体をむき出しにしながら銃剣を構えながらこちらにそれの矛先を向けている。
「葉隠さん、そこの影に隠れて」
「もう隠れてるよ!!」
「あいつらはセキュリティロボのガーディアン、持っている奴はゴム弾とスタンガン内蔵のナイフの銃剣で武装してる」
「随分詳しいですね」
「ちょっと前にあいつの改良案考えて欲しいって言われてさ、ダメ出ししまくったばっかりだからな」
あくまでセキュリティロボ、相手を拘束する事に特化しているので相手を殺傷する物は極力装備されないようになっている上に殺害はしてはならないというプログラミングも施されている。正直言って敵などではない。此処はさっさと突破するに限る。
「龍牙、折角だ。こいつらでそいつの最高火力を確認しとけ」
「了解です」
完全にガーディアンを障害物に思っていない二人、ビートクローザーにロックボトルを、ドリルクラッシャーをガンモードにしてからタンクフルボトルを装填すると構えを取る。それを見てガーディアンは一気に駆け出しながらゴム弾を連射してくるのだが、その程度では止まらないのがこの二人である。
『SPECIAL TUNE!!
『Ready go! Voltech break!!』
「ォォオオオオリャアアアア!!!」
「いよっと……はぁぁっ!!」
刀身に炎が纏ったそれを渾身の力で振り抜かれる、黒い炎と金色の光が混合された一匹の龍が出現しそれらが此方に向けられて放たれてくるゴム弾を燃やし尽くしながらガーディアンへと向かっていく。そしてドリルクラッシャーから放たれたそれは、戦車の主砲から放たれる砲弾のような威圧感を纏い、ビルドがノックバックする程の爆発的な勢いで龍と共にガーディアンへと迫っていく。
『ゴアアアアアアッッ!!!』
龍が放たれた砲弾を銜えこむとそのままガーディアンの中央部へと突撃していき、ガーディアンを貫いて行きながらその中心部に到達した時に大爆発を引き起こしながらその場にいたガーディアンを飲み込んで消し炭へと変えていく。その爆発で天井の一部が崩落してしまい、上の階が露出してしまうほどの破壊力を発揮してしまい龍牙はマジで?と言いたげにビートクローザーを見つめてしまう。
「あ、あの戦兎さん……この破壊力はやばくないですか……?」
「いや流石に今のは俺の奴とのコラボだから、本来の威力はこれの半分ぐらいだから」
「十分にやばくないですかこれ……」
ガーディアンを巻き込んだ大爆発という事もあるだろうが、あれだけいたガーディアンを一瞬で灰燼に化すほどの火力に生まれ変わらせる事が出来る武器、それを持つという事に今更ながら強い責任を感じると喉を鳴らしながらそれを腰へと押し付けて固定する。
「それじゃあ上行くか、このまま俺達が暴れれば緑谷達が動きやすいだろ」
「分かりました、それじゃあ俺は葉隠さんと一緒に」
「ううっ……またご迷惑かけます……」
「いいっていいって、葉隠さん軽いし楽勝だよ」
顔こそ見えないが本当に優しい声色で囁くように、気遣うようにしながら優しい手つきで葉隠の腰?に腕を回しながら割れ物を扱うかのようにしながら多分、お姫様抱っこをする龍牙に戦兎は内心で呆れつつも自分だってあれほど鈍くはなかったと思うと思わずにはいられなかった。
「(いや、確かに俺も鈍い方だったとは思うけど流石にあそこまでは……あいつの事はある程度分かったもんな)」
当時の自分よりも酷い者を見て根津の苦労を察しつつも左脚に
『何も分かってないのはお前の方だろ戦兎ぉ!!』
『あ"あ"っ!?分かりにくいお前の方に問題があるんだろうがよ!!誰があれを告白だと思うんだよこの馬鹿女!!』
『何だとぉ!!?』
その時に不意に当時の記憶が思い出されるが直ぐにそれを胸の奥へとしまい込む。もう終わった事で蹴りが付いた事を一々思い出していてはキリがない。どうも同じ雄英生だった過去の事を思い出してしょうがない。そんな思いを振り払って左脚に力を込めて高々と跳躍して上の階へと侵入する、その直後に龍牙も同じように数度の跳躍を繰り返して上へと到着する。
「―――さてと、これからもっと目立つ事をするわけだが……今100階。この先にあるでかい広場に行く」
「広場、ですか?」
「そうだ。そこは個性を存分に使うためのホールで1フロワの大半がそのスペースに割かれてる、そこで俺達と戦えるように仕向ける」
「上手く、乗りますかね」
「乗るだろうさ、ロボじゃ俺達を止められないのは実証済み。なら―――全力でやれる場所で俺達を確実に確保したいだろうからな」
自信満々な戦兎の言葉を信じて案内の元、その大ホールに向かう事にする。到着したそこは本当に何もない大ホール、純粋に耐久力などに優れている作りになっており思いっきり個性を使用したとしても何の問題もない。そして入ると同時に反対側の隔壁が開き、そこから二つの影が現れる。それは―――蝙蝠のような大きな翼を広げながら胸には蛇の紋章を持つ大男と全身にギアのような物が装着されたアーマーを着込んだ奇妙な男が此方に向かって来ていた。
「なっ俺の言った通りだろ?」
「本当だったよ……」
「天才って凄いんですね」
「ノンノン、天っ才物理学者だからさ俺!」
ちょいちょい戦兎の過去を出していくスタイル。この辺りは本編とも絡めようかなぁと思ってます。
そして……もうお分かりですよね、ラストの敵。さあ勝てるかな、龍牙と戦兎、そして葉隠さんは!!