僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「久しいな龍牙君」
「エンデヴァーさん!?如何したんですかいきなり……ってお隣ってホークスさん!?えっ何ですかこの状況、トップ3がそろい踏みとか緑谷が居たら多分絶叫する状況ですよ」
応接室へと足を踏み入れた龍牙を待ち受けていたのは念願の№1ヒーローとして道を歩み始めたエンデヴァー、そしてお茶を啜りながらお茶菓子を頬張りながら軽く手を上げて会釈をしている№2ヒーローのホークス。師であるギャングオルカを含めるビルボードチャートによって発表されたトップ3が揃っている事になる。緑谷が居たら本当に絶叫するのではないのだろうか。席に着くと漸く茶菓子を飲み込んだのか、ほっと一息を吐いたホークスが笑いながら手を差し伸べてきた。
「どーもどーも噂の次代のヒーローの龍牙君、一度話してみたいとは思ってたんだよなぁ」
「此方こそお会い出来て光栄です、ウィングヒーロー・ホークスさん」
ガッチリと握手をする龍牙とホークス。龍牙としては単純にヒーローとして話題に上がりやすい注目の男、というよりもライバル兼親友の踏陰の職場体験&インターン先だったので気になっているのが強い。そしてホークスとしては個性の見た目もあるがそれ以上に個性の強さなども注目している。
「龍牙君ってさ見た目とかってもう気にしてないよな、ふっつうにインターンで活躍とかしてるし。これから先、オルカさんの弟子だってことは多分隠す気ないでしょうから逆にそれを利用する事も考えた方がいい」
「まあ気にはしてないですね、俺の見た目はもう変える事は出来ないでしょうから。今のままで活躍して色んな人に夢と希望を与えられる事を知りましたから俺はこのまま突っ走るつもりですホークスさん」
「ほっ~良い啖呵を吐くな。そうそうどんどん頑張っていかないとな」
マシンガンのように放つ質問、それら全てに重要な意味を踏まえて飛ばしていくホークス、言葉に全て正確に捉えて回答していく龍牙。それを聞きながらホークスは何処か感心するような視線を向けながらも過去の事を思い出す。それはインターン中の事、仕事を終えて事務所でちょっとお茶を飲んでいる時に常闇と偶然、龍牙の活躍が取り上げられているニュースを見た時の事。
『龍牙……!!流石だな、俺も負けんぞ……!!』
『オ~張り切るなぁツクヨミ』
ツクヨミこと常闇、ホークスから見て非常に伸びしろがあるしこれからが楽しみな存在だと思っている。最初こそ焦凍に来て欲しかったと思っていたが今では彼が来てくれた事を喜んでいる。そんなクールな常闇が不敵で好戦的な笑みを浮かべながら熱い言葉を発して気張っていた。その直後の出動では自分に付いてくるだけではなく僅かな間だけだが完全に同じ場所に立っていた。
『我が友が八面六臂、ならば我とて―――深淵闇躯……冥府凱閃!!』
『―――なんだ、やっぱすげぇじゃん』
あの時のツクヨミは完璧と言える状態だった。自分が求めた物を完璧に体現して更なる向こう側へと手を掛けてそのまま勢いを付けて翼を広げて飛んだ。そんな切っ掛けを与えた龍牙という存在がどんな相手なのかずっと気になっていた。常闇に親友と言わせた上でライバルと呼ぶ男を見てみたかった。
「そっかそっかぁ~うん分かった、いやぁ成程こりゃ次代のヒーローになるだけの器があるわな。オルカさん」
「なんだ」
「彼俺のサイドキックにくれませんか?普通に気に入りましたんで」
「お前に龍牙を預けるのは不思議と不安になるんだが何故だろうな……」
と真顔でしれっとヘッドハンティングを行おうとするホークスに思わず龍牙は目を白黒させてしまった。まさかそんな事に発展するなんて思ってもいなかったからだ。
「俺は普通に貴様の所にサイドキックとしては入ると思っていたが……他への事務所にはいる事は認めるのか」
「まあ俺の所だけでは偏りも出るだろうし見分を広げるのにも良いだろうとは思っている」
「ならば俺も勧誘させて貰おう、彼ならば有能なヒーローになる事は確実だからな」
「ちょっとちょっとエンデヴァーさん先に勧誘したのは俺っすよ」
「龍牙が行きたいに所に行けばいいと俺は思ってるけどな、まあ俺の所に来たいというのならばそれはそれで良いがな!!」
「何笑っているんだチンピラ、気持ち悪いぞ」
「何だとこの蚊取線香丸がぁ!!!」
そんなこんなでまた言い争いが勃発してしまった、龍牙がまた始まっちゃったと頭を抱える前ではホークスが愉快そうに笑いながらお茶を啜る。そんな争いが暫く続いた所で漸く話が本題へと進んだ、龍牙が応接室に入って約1時間後の事である。
「それで用件については師匠から少しお聞きしました。脳無のハイエンドの目撃情報と噂が出てるって」
「そっ俺の地元でね。既に前例がある上にそれがとんでもない位の力を秘めてる個体と同じか同一種なら無視をするって選択肢はなくなる訳でさ、実際に戦った君から直接話を聞きたいって事で今日此処に来たのよ。エンデヴァーさんは今回チームアップするから一緒に来た」
あのホークスがエンデヴァーにチームアップの要請をする、それだけ重く見ていると感じて思わず龍牙も喉を鳴らしてしまった。そしてあの脳無はそれだけ警戒する価値があると自分でもそう思える。そして出来るだけ自分に話せることを話していく、脳無との戦いの様子や相手の戦法や身体的特徴や動きの癖などを話していく。それらを聞いているトップ3は聞いている内に表情を険しくしていく。
「話を聞いているだけでも凄まじいな……」
「やっべ~ですね、こりゃ話を聞きにしてマジで正解ですわ。ある程度ですけど対策が打てますし、作戦を考えられます」
「龍牙、本当にお前無事でよかった……」
「あっマジで親馬鹿っすね」
「息子を心配しない親が何処にいる!!」
「……」
「無言で俺を見るな、大体心配しないのあの馬鹿夫婦位だ!!」
「あ~噂のあれっすか、なんか囁かれてますよね。鏡夫婦は実は龍牙君の親なんじゃねって奴。マジなんすね」
「今度詳しく話してやる」
だが想定した最悪を上回る程の力を秘めていると思われるハイエンド、それが龍騎モデルなのかはまだ不明だがそれらと同等の力を持っていると見ても間違いないだろう。それを思うと対策を取っておいた方がいいかもしれないとホークスは真っ直ぐと龍牙を見て言う。
「龍牙君も九州に来てくれね、多分それが一番いいわ」
「へぇっ!?」
「今インターンは様子見中だけどまあなんとかなるっしょ、ついでにツクヨミも連れて行こう。きっと役に立つし、ライバルコンビって奴も見栄えしますし」
「「おいおいおい待て待て勝手に話を進めるな!!?」」
「っつう訳でリュウガ、ツクヨミ宜しくな」
「えっマジで九州行き決定ですか!?」
―――決定です。
龍牙&常闇、まさかの九州行き決定。