僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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黒影とタッグを組む黒龍

「リュウガってなんか嫌いな物ってある?折角九州まで付いて来て貰った訳だしなんか御馳走してあげるよ」

「あ、えっと基本的に嫌いな物はないですね」

「お~それじゃあ俺お勧めの店でも紹介するかな、あそこの水炊きなんて鳥の味が良く出て美味いんだよ」

「然り、以前連れて行ってもらった時は感動の海に身が浸かる程」

 

そんなこんなで九州へとやってくる事になった龍牙、頭の上では普段通りにドラゴンが欠伸をしながら眠っている中九州の街中をホークスの案内の元、歩いていく。エンデヴァーに龍牙、そして常闇という人物が連なって歩いている図は何とも凄い絵になっているのだが―――龍牙は目の前の光景に驚き、エンデヴァーは生意気な小僧は小僧なりにかなり手広く仕事をしているのだと再認識する。

 

「あ~でも重いかもな水炊き、それなら焼き鳥なんかどうだろ」

「ならばヨリトミなどは如何だろうか」

「良いなそのチョイス、あそこのレバーはクセになる」

 

道すがら歩きながらもホークスの背中にある翼からは忙しなく羽が飛び出してはこれから会社を潰そうとしていたヴィランを一瞬にして沈黙させ、道路に飛び出して轢かれそうになった犬を救って飼い主の元へと送り届け、歩道橋の階段を登ろうとする老人が居ればその荷物を羽で持ち上げてあげる。これらの事を案内をしている最中に行っている。

 

「……話には聞いていたが実際に目にすると凄まじいな」

「ぜ、絶対に真似出来ない事ですね……」

 

エンデヴァーの言葉に思わず同意しながら龍牙はある種、別次元にいる存在に軽く口角が引き攣ってしまった。街に出れば自分の出来る事を全て並行して行う事が出来てしまうのがホークスというヒーロー。

 

「余り驚く事もない、これがホークスにとっての当り前。我も最初は驚天動地そのものだったが、もう驚嘆する事など無くなった」

「これはこれでなんか、自信無くしそうだぞ俺」

「何言ってんだよリュウガ、適材適所っていい言葉があるんだよ。俺は単純に適応出来る場所が広いだけ」

「いやそれって十分過ぎる位やばいですから」

「それで№2になっているお前が言って説得力無いぞ」

「アハハハ~そうですかね」

 

と龍牙とエンデヴァーからまさかのツッコミを食らうホークスだが、それを全く気にしていないのかマイペースにしながらそのまま自分に迫ってくるファンへの対応をも確りこなしていく。サインが欲しい者がいればサインを、視線を求められたらそちらにピースサイン、応援の言葉があればキッチリそれに対する返答も欠かさない。そんな事を繰り返していく間に目的地となっていたビルにある焼き鳥屋に到着したので、此処で腹ごしらえをする事になった。

 

「いやぁにしてもさっきのエンデヴァーさんはあれでしたね、まあ今までのキャラを考えたら違うって言われますわ」

「……これでも大分マシになってきたと言われているんだが……」

 

ホークスの対応の最中、エンデヴァーのファンもこちらを見つめていたのでそれにエンデヴァーも対応しようと思いそちらへと足を延ばしたのだが……何やらエンデヴァーガチ勢だったらしく違う!!と言われてしまったのが多少なりともショックな新しい№1である。それでも鏡夫婦の事を知ってから少しずつ軟化しているつもりで、大分世間の印象は良い方向に迎ってはいるのである。

 

「でも今のキャラは俺は好きですよ、堅物だけど実際は優しい人って感じで印象は良いですよ。今までを払拭出来るようなどでかい事をやれば一気に風は呼び込めますよ」

「……」

 

無言のまま茶を啜るエンデヴァーの隣では龍牙と常闇が焼き鳥に舌鼓を打っていた。常闇も以前に来た事があるのかその時の事を思い出しながら食べているが、龍牙は龍牙で笑顔を作りながら食べているので御馳走しているホークスとしては嬉しい限りであった。

 

「良い喰いっぷりだな、もっと頼むか」

「レバーが凄いです、レバーが!!クセが逆に旨味でクリーミーな味になってます!!」

「だろだろ、だからここのレバーは行けるんだよ」

 

年相応なキラキラとした笑顔を浮かべている龍牙を見て常闇も良い物を見れたと内心で笑いつつも次の串へと手を伸ばす。エンデヴァーは戦いとのギャップの凄さに何か思うのか、無言で茶を啜る。

 

「んでまあ、今の所ハイエンドの情報はマジで噂程度しかない訳ですけど……龍牙君の話を聞くと放置しておく訳にも行かないですからこっから本格的な捜索を始めようと思いますがいいですかエンデヴァーさん」

「俺は構わん。放置するという選択肢などない」

 

噂程度でしかないが、その噂がある事自体が問題。噂には必ず大本がある、その大本を特定するのが最優先。それが単なる悪戯や悪ふざけならばそれでいい。だがこの大本が本当の、本物のハイエンド脳無だった場合如何なるだろうか……。

 

「リュウガは勿論だけど、ツクヨミにも来てもらったのはリュウガとのシナジーも考えての事。基本は二人でコンビを組んで動くようにしてくれ」

「承知。リュウガ、頼むぞ」

「任せとけ踏陰、いやツクヨミ。ダークシャドウもな」

「フッ……」

『アイヨ、宜シクナ』

 

龍牙と常闇のシナジーと言えば、龍牙の黒炎でダークシャドウを大幅に強化出来るという物。この特性を利用すれば常闇も一気に戦力に数える事が出来るし、九州に慣れない龍牙をサポートする意味でも常闇の存在は非常に大きい。きっと必ず役に立つとホークスは判断している。そして―――それは皮肉も正確に的中する事になる。

 

「―――エンデヴァーさん」

「リュウガ、ツクヨミ構えろ!!」

「ドラゴンッ―――変身!!!」

「黒影―――深淵闇躯!!」

 

それは突然、空を裂くようにやってきた。それは真っ直ぐに自分達へと向かってくる、即座に戦闘態勢を整えると一同は窓を破って外へと飛び出し―――戦闘が開始された。




―――死闘、開幕。

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