僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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ツクヨミと共に戦う黒龍

此方へと迫ってくる黒い影、巨人のようなそれは轟音を立てながら空を裂くように迫ってくる。それらを迎え撃つ為のように外へと飛び出したヒーロー達は戦闘態勢を取った。変身を完了させた龍牙がドラグブラッカーの上に常闇と共に居ながら構えを取るが、突如としてその影は分裂するように二つに分かれた。いや、元々いたそれの背後にいたそれがコースを外れて眼下に広がっている街へと向かっている、そして巨人の影はそのまま此方へと迫ってくる。

 

「リュウガ、ツクヨミの下に行った奴らを抑えろ!!こいつを片付け次第そちらに向かう!!」

「了解!!ツクヨミ掴まってろぉ!!」

「無論!!」

『ゴアアアアァァァァッッ!!!』

 

唸りを上げて下へと向かって行く影へと突貫していくドラグブラッカー、その影も凄まじい速度で繁華街へと迫っていく。そこにはまだまだそれに気付けていない人たちがいる、被害を出す前に何とかしなければならない。

 

「ツクヨミ、黒炎で突撃する。ついでにパワーアップも済ませておけ!!」

「承知。黒影、黒炎を吸い力を高めるぞ!」

『アイヨッ!!』

『ゴアアアアアアアアアアア!!!!』

 

ドラグブラッカーは全身に黒炎を纏い、勢いを増しながら突撃していく。黒炎に耐性がある龍牙はもちろん、それらを吸収して逆に力を増す事が出来る常闇だからこそ乗った状態で出来る技、加速していくドラグブラッカーは黒い流れ星になって繁華街へと突撃していくそれへと激突した。それも相当に硬い装甲を纏っていたようだが、それを容易に融かしてその身体を貫いた。

 

「ついでだ、これも食らっとけ!」

 

ド ラ ゴ ン フ ァ ン グ イ ン パ ク ト

 

DRAGON FANG IMPACT(ドラゴンファングインパクト)!!!

 

貫いた直後、スピードが一気に落ちたそれの下へと回り込んだ龍牙はそこへアッパーのインパクトを叩きこんだ。それらを受けたそれは地面へと落ちていったが、自分達の戦いを見た人たちは丁度居合わせていた他のヒーローの誘導の下で避難を開始している。如何やら既にホークスによって根回しがされていたらしい、本当に仕事が早い。そんな事を思いつつも地上へと降りたドラグブラッカーから常闇も降り立ち戦闘態勢を取る。

 

「お、おいツクヨミ凄いでかくなってね?」

「深淵闇躯を既に使用していたからだな、だが意識ははっきりしている」

 

降りてきたのはヴェノム並の巨体になっていた常闇の姿だった。元々常闇の深淵闇躯は弱点であったフィジカル面や近接戦を補うための物、そこへ黒影の力を上げる黒炎を吸収したらどうなるか。ヴェノム並の筋骨隆々の姿の出来上がりである。流石の変貌に龍牙も驚きを隠せなかったが、ヴェノムも一件もあったので直ぐに持ち直す。そしてそこへ―――叩き伏せた筈のそれがゆっくり身体を持ち上げてきた。

 

「リュウガ、あれがお前が以前遭遇したという脳無か……」

「ああ、極めてあれに近いが……前以上にごついな」

 

それは確かに龍牙が遭遇したハイエンド脳無・モデル龍騎に極めて告示しているように思えるが違いもかなりある。モデル龍騎に銀色の装甲を幾つも足したような姿、両腕に巨大な爪があるガントレットが存在し頭部から鋭利な角が伸びている。そして下半身も大きくなっているなどかなり異なっている。此方を見つめるけど唸り声を上げながら足を動かして突進の予備動作に入る姿は闘牛やサイを連想させる。

 

ハイエンド脳無・モデル龍騎に何かを足し加えたかのような脳無は龍牙を見つけると更に唸り声を強くした。

 

「リュ、リュリュウガ……オお前ヲヲ、コ殺して、俺が、オ、オオリリナジナルルに……」

「何だこいつ……」

「分からん、だが油断はするな来るぞ!!」

「ゴアアアアアアアアッッッ!!」

 

刹那、その脳無の姿が掻き消えるように一気にそれは突進を繰り出した。爆炎を纏いながら一気に突進してくるそれは真っ直ぐに龍牙へと向かって来ていた。僅かな時間の切れ目、腕部集中を行ってそれを叩きつけることでギリギリ防御が成立するのだが、その突進力は尋常ではなく受け止めているのにも拘らず龍牙をどんどん押し込んでいく。足が地面にめり込むほどに踏みしめているのにも拘らず押し込んでいく。

 

「ぐんぬぅぅぅうっっっ!!!!なんてパワーなんだぁっ!!!!」

「コロ、殺す、そそれでお俺は――!!」

「ガードベント!!」

 

自分を巨大な爪で挟み潰そうとするのを盾を出現させて防御する、少しでも力を抜くと突進で押し潰された上で角で貫かれる。必死に踏ん張っていたがそれが変わった。

 

深淵闇躯(ブラックアンク) 夜宴(サバト)!

 

常闇だった。巨大化している状態で深淵闇躯を両腕中心に纏わせる事で更に巨大な腕を作り上げ、そのまま脳無を切り裂く一撃を放つ。全身に纏っていた装甲を易々と切り裂いてしまう一撃を受けた脳無は声を上げて苦しんだ、その瞬間に力が弱まったのを龍牙は見逃さない。自らも更に腕部集中を行い、一気に脳無を押し返す。

 

「合わせろやツクヨミィ!!!」

「無論!!!」

 

一気に押し返しながらも龍牙は地面を蹴りながら突進し返す、脳無を押し返すとそのままの勢いで黒炎を纏った龍頭を構える。そしてその背後からは右腕に深淵闇躯を集中させた常闇が龍牙と全く同じタイミングで、巨大化した腕を全力で振り抜いた。

 

ブ ラ ッ ク フ ァ ン グ イ ン パ ク ト

 

BLACK FANG IMPACT(ブラックファングインパクト)!!!

 

「「だぁぁっっ!!!」」

 

双方からの黒い一撃をぶつけられた脳無、全身全霊を込めた双撃。確かな手応えを感じるが互いに力を一切緩めずに更に踏み込んでいく。押し潰しにかかるかのように押し込んでいくが、その時、脳無から爆炎が溢れ出した。その爆発の衝撃で二人は吹き飛ばされるが直ぐに体勢を取り直す。

 

「出しやがった!!ツクヨミこっからが奴の本気だ!!」

「成程、ならば気を引き締める!!」

 

出来る事ならば速攻で潰したかったがそれは出来なかった、脳無は周囲に赤いドラグブラッカー、ドラグレッダーを出現させていたがそれだけではない。もう一体、銀色の巨大な獣を従えていた。鈍い燻銀の体色をしたサイが唸り声を上げていた。恐らくモデル龍騎に付け加えられた何か、その正体が恐らくあれなのだろう。

 

「オ俺ハはつ強いいい……お前よりリも―――なっ!!」

「如何かな、やってみないと分からねぇよ」

「いいや分かるる、俺は―――あれより、多く変身、でできる―――俺を劣等品のあれと一緒にするな」


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