僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「ガフッ……!!」
「エンデヴァーさんちょっと無理しちゃだめですって、かなりの重傷なんですから!」
「駄目だ、龍牙君達の、援護に……!!」
壮絶な戦いが行われている裏側も壮絶な戦いだったエンデヴァーとホークス、漸くエンデヴァーは脳無を撃破する事に成功したが最後には敵連合の荼毘を逃がしてしまい歯痒い思いをしている暇などなく龍牙と常闇の応援に向かおうと身体に鞭を打っていた。ボロボロな上に顔にも酷い怪我をしているというのにまだ動こうとしているエンデヴァーをホークスは必死に止める。
「何が早く終わらせるだ、何が片付けたら向かうだ……このままではあの二人が危ない……!!」
「確かに……でもあなたが今行っても何も出来ないでしょうが」
ハイエンド脳無の力は正に驚愕、そして恐ろしいの一言に尽きる。龍牙の前情報による警戒をしていたがそれでも足りない程の力を秘める。そんな相手にしていたエンデヴァ―は漸く脳無を撃破する事に成功した。TV局のクルーが何やら騒いでいるが如何でも良かった、龍牙たちの事が脳裏から離れない。
「おい今龍牙っつったか!?黒鏡 龍牙が此処に居んのか!?」
「―――ミルコ、それにそいつは……」
「ビルド……?」
そこへ駆けつけてきたのはミルコそしてなんとビルドとなった戦兎だった。話している時にニュースを見て二人して駆けつけてきたのだ。
「ちょっと馬鹿ミルコと一緒に居たんで、それより龍牙の奴が此処に!?」
「ああ、もう一体の脳無をツクヨミと共に抑えてくれている筈だ……」
その言葉の直後だった。もう一つの太陽が出現し、爆ぜた。天へと昇る巨大な火柱を生み出した。天へと昇る火を誰もが目撃していた、神野の悪夢を再現しようとする脳無の撃破よりも目がそちらへと向く中でエンデヴァーだけは身体を動かしてそこへ動いていた。続いてホークス、ミルコと戦兎が続いた。悪い予感がする、何故あの火は赤いのだ―――!?
「リュウガ、ツクヨミ……!!」
龍牙の火ならばあれは黒い筈だ、ただ単に一瞬見た太陽の火が赤いからあれも赤いのかと冷静になろうとするがそれよりも先に広がった光景に愕然とした。広い広場であった筈のそこは完全に崩壊し、炎があちらこちらで燃え盛っている。その中央部にて倒れているツクヨミ、いやそれだけではない。そこには巨大な影が居る、身体に無数の火傷に抉れているような傷までがあるが確かに立っている脳無がそこにいた。
「あれが脳無か!!よしなら蹴っ飛ばす……!?」
「―――待て、ミルコ俺の見間違いか、おい、嘘だろ!?」
「―――遅すぎた……!!」
誰もが言葉を失った、大きな傷を作った脳無が腕を伸ばしている先を見た時何も言えなくなった。
「もう終わりか、貴様など矢張り俺の足元にも及ばなかった。劣等品に勝ったというのもマグレか」
「―――ぁっ……ガッ……」
腕の先に手何かが保持されている、巨大な手によって首を絞められるように掴まれているそれは意識が薄れているのか苦し気に息を漏らした。龍牙は脳無に完全に掴まれている、それ所かこれから最後の一撃を食らう所であるかのような場面は彼の力を知っている物ほど信じられない現実を叩きつけられたような気分になった。
「だがこれで証明された、俺は貴様などよりも遥かに強い事がな。奴も貴様が俺よりもずっと強いと抜かしていたがこれで戯言だったと奴も認めるだろう」
力が強められ、龍牙の鎧が砕けて行く。二人が一つになった末に生まれた物が砕かれていく。それでも龍牙はまだ戦う意志を見せるのか自らを掴む腕に対して龍頭で叩くように殴り付ける、だが全く威力などない。それを見た脳無はそれを嘲笑いながら片手で龍頭を掴むとそのまま力を込めた。龍頭を圧壊させ龍牙の腕ごと潰していく。
「がああああああああああああ!!!!!!!」
「良い悲鳴だ……もっと聞かせろ」
そして鎧ではなく龍牙自身の首に手が掛けられようとした時―――
「テメェッなにしてやがんだぁぁ!!!!」
脳無の上半身が蹴り飛ばされる、ミルコだった。彼女からしても龍牙は冷え切っていた戦兎との関係を取り持ってくれたような存在。そんな彼を苦しめている脳無に沸々と怒りが沸き上がった。その反動からか龍牙を掴みかかっていた手の力が弱まった。それを救うように脳無の懐に飛び込んでいたビルドが戦車の脚で履帯を回しながら脳無の右腕を蹴りつける。
「ホークス!!!」
「了解!!」
蹴られた事で力が緩んだのか手放された龍牙を既に多くの羽を失っているホークスが、再び捕縛しようとする脳無の手をすり抜けて確保する。もう大丈夫だと言おうとしたホークスは言葉を失った。エンデヴァーの重傷何て目じゃない程のダメージ、全身を負っていた鎧は殆どが崩壊している。それを修復しようとしているのか弱弱しい黒炎が身体中に伸びており、抉られているかのような傷を鱗のような物が覆っている。これで生きているのが不思議な程、恐らく限界を超え過ぎた故の反動に苦しんでいる。ギャングオルカの持久力を伸ばすという教育方針が生んだ奇跡かもしれない。そして先に救出したツクヨミと共にエンデヴァーの傍においてやる。
「済まない俺達が手間取ったばっかりにこんな……!!」
「リュウガ……おい、おい確りしろ!!」
朧げに開いている瞳は虚空を見つめているかのように光を持たない、微かに響く声は苦しみに包まれており時折激しい吐血を繰り返す。そんな身体であるのにも拘らず潰れている筈の腕を伸ばし、脳無へと向けようとしている。そこではミルコや戦兎が自分達に任せろと言わんばかりに激しい戦闘を繰り広げていた。
「テメェ覚悟しやがれ!!!戦兎、合わせろ!!」
「言わずもがなだ、何ならトリガーだって切ってやる!!」
そんな戦いへと手を伸ばそうとする自分をエンデヴァーが手を握って力強く諭す。
「もう十分だ、お前はここで休むんだ。良く戦ったんだ、もういいんだリュウガ!!」
そう言われても龍牙は戦おうとする、自分の中にいる龍が叫ぶ。あれは自分が打倒しなければいけないのだと、そうしなければならないと言った時に視界が暗転する。意識が遠のいていく。闇に引きずり込まれていくような感覚を覚えながら龍牙は吐血しながら意識を失った。