僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
脳無と激しい戦闘を繰り広げ続けている戦兎とミルコ、喧嘩ばかりの二人だがそれは普段のみ。戦闘時にタッグを組んでいたすれば普段の禍根など完全に忘却して戦闘に集中する。そもそも二人は長年連れ添った幼馴染でもあるので互いの動きの癖も完璧に把握している。そんな二人は互いの動きから相手に求める行動の意図を読み取って自らに反映させるなんて朝飯前。
「はああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「食らええええ!!!!」
全く同時に脳無の顎を蹴り上げる、兎の跳躍力は容易に脳無の身体を浮き上がらせると共に地面に亀裂を走らせるレベルの踏みしめからの回し蹴りを脳無の鳩尾へと叩きこんだ。車の両輪なんて目ではない、太陽に映し出された影と身体のように完璧な動きの同調を見せながら戦兎はレバーを思いっきり回した。X軸とY軸で表示された計算式のような物が出現し、脳無を拘束する。
〈Ready Go!!〉
「これ、はぁっ……!!」
拘束されながらも自由になっている腕で式をガンガンと殴り付けるが全く解けない、苛立っていると戦兎とミルコが計算式の上から滑り降りるようにしながら加速して迫って来た。
〈Voltech FINISH!!〉
「龍牙の苦しみを思い知れぇっ!!!」
「くたばりやがれぇぇっ!!!」
「食らうかぁっ!!」
迫ってくる戦兎とミルコに対して脳無は両腕を構えた、幸いな事に拘束は腰の辺りで行われている。ならばこの拘束を軸にして踏みしめと構えを取る事も十分に可能。両腕に龍頭を出現させての一撃は二人のキックと炸裂した、一歩も引かない攻防が続いていくが徐々に戦兎とミルコが押し始めている。
「お前は絶対に許さねぇ、龍牙の仇ィ!!」
戦兎としては龍牙は弟のような感覚だった、個性も素晴らしいし何より龍牙自身の人間性も好印象で中々に可愛がりのある相手だと思っている。そんな弟分にあんな事をされたのだから兄貴分としてキレるのも当然という物。そんな思いが威力を底上げしたのだろうか、自身の蹴りを受け止めている龍頭を押し退けて脳無の胸部へと炸裂した。その一撃で脳無は上半身を仰け反らせてしまいミルコ側の龍頭がズレてしまいミルコの蹴りまでも食らう事になってしまった。
「「だぁぁああああ!!!」」
渾身の力で蹴り飛ばされた脳無はそこいらの瓦礫を粉砕しながら大きく吹き飛ばされていくが、空中で姿勢制御を行いながら着地を行った。胸には二人の蹴りの痕が生々しく深々と残っているが、まだまだ動けるような様子を醸し出している。
「まだ動けるのかあの野郎、おい戦兎こりゃ出し惜しみなんてしてる暇なんてねぇぞ!」
「だな、こうなったらこいつを切ってやる……!!」
そう言いながら戦兎が取り出したのは赤いトリガーのような形状をしているものだった、口ぶりからしてそれが戦兎の切り札なのかと脳無も警戒する中で二人の間をすり抜けて一つの影が脳無、戦兎とミルコの間に割って入った。それは宙を舞う黒龍と小さな龍を頭に乗せながら立っていた、その男は―――龍牙。
「龍牙お前……何で動いてるんだよ!?じっとしてないとダメだろ!!」
「そうだ此処は俺達に任せとけ!!」
「すいませんお二人とも、そうはいきません。この脳無は俺が倒さなきゃダメなんですよ、だからここは譲ってもらいます」
先程まで重傷で動けなくなっていた男なのかと思うほどにハッキリした言葉で自らの意思を伝える龍牙、だが傷は一切癒えていない。傷を黒龍の鱗などで補強して一時的に怪我を塞いでいるに過ぎない、何かの拍子であっという間に崩れ去ってしまうほどに儚い盾、だが今はこれで十分過ぎる補強。こうやって立てているだけで十分過ぎる、痛みはあるがそれは意識を呼び起こし闘志を燃え上がらせる糧となっている。
脳無へと視線を向けると龍牙は無意識に口角を持ち上げた。これがオール・フォー・ワンが自分の代わりに作り上げた黒龍の拠り所、そういう事ならばオリジナルという言葉の意味も頷ける。だがそれだけだ、これは悪意を持った一つの兵器であり平和を乱し混乱を齎す嵐の渦だ。それを自分が放っておく選択肢はない。
「決着、付けようぜ」
「俺にやられた奴が偉そうな口を利くな」
「何度でも利いてやるさ、だが一つだけ覚えておけ―――俺達はもう倒れない」
達……?と首を傾げた脳無を尻目に頭の上に居たドラゴンがボトルを投げ渡しながら龍牙を見つめた、酷く高揚しているのか早く戦おうと急かしているように見える。
「分かってるよドラゴン、さあ今の俺達を見せてやろうか」
分かってるなら良いんだよ、と言わんばかりに勢いよくガジェットモードに移行し手に収まる。全く可愛い奴だと思いつつも自らの力が詰まったボトルを振りつつドラゴンをドライバーにセットしつつ同時に差し込んでセットを完了する。
レバーを回していく、だがその時点から何かが違っていた。黒炎が走りサークルを作り出すがドラグブラッカーが宙を舞いその通り道に黒炎を走らせながら黒炎の円を描いていく。黒龍は咆哮を上げながらも脳無へと威嚇を行いながらも力を溢れ出させていく。そして龍牙は万感の思いを込めながら覚悟は良いか、と問いかけているそれに対して答えるのであった。
「出来てるよ―――変身!!!」
ドラグブラッカーが咆哮と共に凄まじい勢いで黒炎を巻きあげながら龍牙を包み込んでいく。黒炎の火柱は一点に、龍牙へと収束していく。一点に収束した黒炎は龍牙が叫びをあげると四散するとそれらが鎧へと変化して龍牙を包み込んでいく。その姿は以前よりも力強く凛々しかった。険しく恐ろし気な頭部は龍の頭部を模したかのような瞳があるお陰か今までよりも勇ましさが増していた。そして額には自らの龍の紋章が刻まれている、本当の自分だと胸を張って言えるような龍牙の姿がそこにはあった。
「これが本当のビヨンド・ザ・リュウガ……さあ、脳無―――勝負、付けよう」
次回決着……?