僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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戦い抜いた黒龍

WAKE UP RYUGA ! GET GREAT DRAGON !! YEAH!!〉

 

そこに立っている龍牙は龍牙であって今までの彼ではない。本当の意味で、もう一人の自分と言うべき黒龍と小さな龍と全ての力を集合させた末の姿。その姿となった龍牙は一歩一歩脳無へと足を進めていく、それに呼応するように脳無も足を進めていく。そして互いの距離が拳が届く距離となった、既に射程内。お互いの攻撃を確実に命中させるような距離にいる状況に居るのに龍牙は何のアクションも起こさない。

 

「多少姿が変わった程度で……図に乗るなよ」

「変わったのは姿じゃない―――俺自身だ」

 

刹那、龍牙の全身から凄まじい威圧感が溢れた。それは脳無が支配していた一体の空気を押し出すように広がるように風圧を巻き起こした。同時に戦兎はビルドの仮面内部のモニター越しにそれを見た、龍牙の右腕は巨大化している。腕部集中よりも更に巨大化している、まるで全盛期のオールマイトの腕。

 

「―――まずは右腕の借り、ドラゴン・スマッシャー!!!」

 

巨大化した右腕、その上に龍頭が出現しそれは高らかに咆哮を上げながら黒炎と溢れ出す。勢い良く振られるそれを左腕の装甲付きの龍頭で防御姿勢を取るが、龍牙はその装甲を熔解させながら左腕の龍頭を砕きながら、戦兎とミルコが残してくれた傷口へと一撃を炸裂させる。炸裂と同時に黒炎が脳無を焼き焦がしながら爆発を引き起こしてダメージを加速させていく。まだまだ終わらないと言わんばかりに龍牙は更に一歩、踏みしめながら殴りかかる。

 

「貴様ぁぁぁ!!」

「はぁぁぁぁ!!!」

 

脳無は怒りながら自らも殴りかかる。互いの腕が交差し激しい火花を散らす、互いの身体を削りながらも進んでいく腕。脳無の腕が龍牙の肩へと炸裂する、同時に鎧の内部では傷口の一部が開き激痛が走るが龍牙はそれを無視するように爆発で抉られている部分へと攻撃する。その一撃でよろけた脳無の右足へと左脚を軸にした回し蹴りが決まる、体勢が崩れていくが逆にそれを利用して掴みかかってくるそれを迎え撃つように両腕での組合へと移行する。

 

「死にぞこないがぁぁ!!!」

「まだまだ死なないんだよ俺はぁっ!!!」

「死ねええええ!!!」

 

叫びながら脳無は大口を開けながらそこから熱線を放射する、嘗て龍牙が動けなくなるような威力の熱線と同じものだ。それは龍牙を飲み込んでいき、龍牙の絶叫が響き渡るが逆に掴みかかってくる握力は増していく。まだまだ死んでいないと脳無は危機感を強める中、熱線の中から胸部の龍の瞳が赤く輝くのが見えた。直後、胸の龍の各部が壊れているがそれでも前に進む龍牙は姿を現した。

 

「温くなったかぁ……如何した疲れてでもしたか脳無さんよぉ!!!」

 

痛みが増していく、傷が開いていく。激痛が身体を蝕んでいく、熱線は耐えられるようになっているだけで今の龍牙の身体には凄まじいダメージがあるのは確かに龍牙は前に進むのをやめない、狂気的な上擦った声を上げながら脳無へと頭突きを繰り出しながら跳躍して膝蹴りを叩きこんだ。

 

「戦兎さんとミルコさんが与えた傷ぅ!!再生しきれてないって事は、お前も俺と踏陰の一撃で相当きつかったって事じゃねぇのかぁ!!?」

「っ黙れぇぇぇ!!!」

「―――図星、のようだっなぁ!!」

 

頭突きによって吹き飛ばされた脳無は大振りな一撃を放ってしまう、それを紙一重で回避しながら今度は跳躍の勢いのまま踵落としを脳天へと落とす。落とした勢いのまま屈みながら再び巨大化した腕で胸部を殴りつける。もう既に脳無に自分と常闇と戦っていた時ほどの勢いも力も無くなっている、なんだかんだで自分達は脳無の力を大幅に削り取った上にダメ押しの戦兎とミルコの戦闘でもう限界に近くなっていた。だからあと一息で押し切れる。そう確信をもって攻め続ける。

 

「がぁぁっ、ぐあああぁぁぁっっ!!!」

 

最早絶叫のような言葉しか放たなくなった脳無は我武者羅に腕を振るってくる、それでも一撃食らえば危険な状態になるのは必須だろう。そして龍牙はそれらを紙一重で回避していくがそれらも難しくなってくる、そこへ胸部へと一撃が炸裂しようとした時だった、脳無の動きが止まった。

 

「ぐうううがぁぁっ……!!!」

「り、龍牙が、戦っているのならば、まだ我も戦い、続けるのが相棒として道理……!!」

「踏陰!!」

 

常闇の黒影だった、残ったすべての力を振り絞るかのように腕を伸ばして腕を取り押さえていた。動きを止めた一瞬のスキ、これを突かない手はない。

 

 

ド ラ ゴ ニ ッ ク ブ レ イ ク ス ト ー ム イ ン パ ク ト

 

<DRAGONIC BREAK STORM IMPACT(ドラゴニックブレイクストームインパクト)!!!>

 

 

渾身の力と会心の黒炎を込めた一撃、巨大化した龍頭を振り抜いて脳無の胸部を打ち貫かんとする一撃を放つ。龍頭が脳無の装甲を融かし砕き、内部の本体へと衝撃を拡散させる。これまで受けたダメージが一気に解き放たれ胸部は大きく抉れ飛んだ。何度も空中を舞いながら地上へと激突した脳無はもう息絶え絶えという様子だが、まだ敵意を収める気も戦意もなくしていなかった。それ所か何やら再生しようとしている節まである、だから―――次で最後の一撃にする。

 

「これで決める―――はぁぁぁぁ……!!!」

 

意識を集中させる、力を解き放つ。全身から黒炎を巻きながら出現するブラックドラグランザーともう一つの龍、それは黒龍と同じように黒いが蒼い炎も混じっている龍。龍牙の相棒たるもう一体の龍が顕現ている、それに気付いているのか龍牙は少しだけ笑いながら構えを取った。

 

「ズァァァァァァッッッ!!!」

 

龍牙が跳ぶ、二体の龍は炎の尾を引きながら螺旋になりながら飛びだって行く。炎の竜巻を伴って跳躍、二つの炎は混じり合いながら龍牙が纏って行く。そして高らかに上げられる咆哮は宣言のように響き渡りながら龍牙へと最大限の炎をぶつけるように龍牙を押し出していく、それらを推進力にして蒼黒炎を纏った龍牙は叫びながら脳無へと突撃する。

 

ド ラ ゴ ニ ッ ク ブ レ イ ク ス ト ー ム フ ィ ニ ッ シ ュ

 

<DRAGONIC BREAK STORM FINISH(ドラゴニックブレイクストームフィニッシュ)!!!>

 

 

「ダアアアアアアアアアァァァァァァッッッ!!!!!」

 

蒼黒い彗星となった龍は一直線へと黒龍の受け皿として生み出されたそれへと向かって行った。脳無は最後の力を振り絞るように最大火力の熱線を放射する、が、炎の温度や質が違い過ぎるのか彗星は炎を引き裂きながらそのまま脳無へと到達した。深々と突き刺さった最高最強の一撃、身体を貫かんとするその威力を受けた脳無。だが仮にも黒龍の拠り所として作り出された故の高い耐久力故か、貫く事は無くそのままダメージを受ける事になった。

 

「オリじ、ナる、に―――」

 

そして脳無は地面を抉りながら吹き飛ばされ、爆発を起こした。爆炎に脳無は完全に飲まれた、それを見つめる龍牙。そして爆炎が鎮まるとそこには完全に沈黙し身動き所か再生一つしない脳無の姿がそこにあった。それを見つめると龍牙は振り向きながら自分の戦いを見ていた皆に、頭部を部分解除しながら笑顔で言った。

 

「―――ご心配おかけしました……!!」

 

直後、龍牙は倒れこむのだったが彼は戦兎に優しく抱き止められた。その時には既に意識はなかったが戦兎は優しくこういった。

 

「馬鹿、こういう時は勝ったぜ、で良いんだよ……次からはそう言えよ―――次代を作るヒーロー」


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