僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「随分と暴れてるみたいじゃねぇか……なぁ桐生……」
「お前ら好き勝手やりすぎだ……」
そんな風に出てきたのは筋骨隆々な大男だった、それらは一時的に先程纏っていたものを解除すると顔見せながらそのような言葉を吐いた。その声色に戦兎は聞き覚えがあった、酷く昔に聞いたような気がする……。そして目を見開きながら、声を震わせた。
「ま、まさかお前達……!?」
「戦兎さん知ってるんですか!?」
「だ、誰なんです!?」
「あいつらは―――……えっと、あのどちら様でしたっけ」
『えええっっっ!!?』
『だぁぁっっ―――!!?』
タップリ溜めていたのにも拘らず、まさかの誰なのか全くわかっていないというオチ。龍牙と葉隠は声を上げて何だよそれ!?となり、目の前の二人は思わず頭からずっこけて軽くヘッドスライディングをかましている。二人からしても流石に覚えているだろうと思っていたのだろうが……戦兎的には全然だったらしい。
「桐生てめぇえええ!!!俺達を覚えてねぇってかぁ!!?」
「全然……」
「お前がビルド時代だった時に、お前ともう一人の奴に叩きのめされたんだよ俺達は!!」
「いや俺にとってはもうすげぇ前だし、お前達にとっては凄くても俺にとってはお前たちはただの雑魚って事だったんじゃないの?」
ヴィラン相手だからか一切遠慮もせずにズバズバと発言していく戦兎、心を抉るような毒を含んだ言葉にヴィランの二人は顔を真っ赤にしながら拳を握り、地面を踏みしめている。
「なら―――強引にでも思い出させてやる!!」
「おうよ、こいつを見てもそれが言えるかな!!」
そう言いながら二人の男が取り出したのは何やら銃にも見えるものだが、何やらビルドの腰にあるドライバーにもあるようなスロットが存在している。そして取り出したそれを見て龍牙と葉隠は驚いた、それは戦兎が使用しているフルボトルだったからである。
「戦兎さんあれってボトルじゃないですか!?」
「―――思い出した、あれは確か俺が随分前に作ったトランスチームガンにそのプロトタイプのネビュラスチームガン……!!」
〈Bat…! Cobra…! 〉
〈
トランスチームガン、ネビュラスチームガンを手にした男たちはその手に二本のボトルを手にしながらそれぞれを交互に装填する。二本を同時に使うのではなく、一本を指した後にそれを抜いて新しく一本を指す。ビルドとは全く違うそれらを行う光景の中で、男たちは口角を歪ませながら銃口を天に掲げながら叫ぶ。
「蒸血……!!」
「潤動!!」
トリガーを引いた瞬間、それらを祝うかのような声が響くと一方の銃口からは公害のような煙が立ち込めていく身体を包み込んでいき、内部では火花を散らしながら幻惑の瞳が妖しく輝く。一方は黒い煙と共に無数の歯車が飛び出し空中で踊りながら互いに絡み合い、音を立てながらギアを回す。それらが極限にまで高まるとギアは煙の中へと突入し男へとめり込むように装着される。
〈Bat…Coco…Cobra! Cobra…Ba…Bat……!!TWIN FIRE!!〉
そこに立っていたのは雄々しく蝙蝠の翼を広げた怪人、全身を黒と血のような赤で染め上げた怪人は胸に掲げた蛇の紋章を輝かせながら首を鳴らしながら此方を凝視しながら銃を持つ。
〈 Fever!! Perfect!!〉
全身に歯車が埋め込めれたような男、二種類の色違いのギアが身体を作り上げたそれはギアの怪物。顔すらもギアで覆われた怪人は奥に埋め込められた瞳をぬらぬらと妖しく輝かせた。
「これで思い出したかぁ……桐生!!」
「お前から奪ったこの力、俺達の力を!!」
「漸く思い出した……お前ら、俺の家を空き巣したヴィランだな、ヘルブロス……でも片方が違うな」
「何時までもあの時のままじゃねえ、今の俺はナイトスタークだ」
やっと思い出しやがったか……と思わず落胆するよう二人。ナイトスタークにヘルブロス、戦兎は今のビルドに行きつくまでに様々な物を開発していた。そしてそれらは自らの家の中で保管していたのだがそれが盗難される事があった。その犯人がナイトスタークとヘルブロス、加えてナイトスタークは機械に強いのか、自らトランスチームガンを改良しバットとコブラを組みわせた形態を作り上げている。
「気を付けろよ龍牙、仮にもあれは俺の開発した物だからな。下手なヴィランよりも厄介だぞ」
「そんな相手の事忘れたんすか……」
「いやだってその時は全然苦戦しなかったし、その時は俺一人じゃなかったし」
「えっじゃあ戦兎さんって一人で活動してたんじゃないですか?」
「……まあ、コンビがいたよ。あのヒーローオタクな緑谷なら確実に知ってるだろうな」
改めて構えを取る龍牙と戦兎、葉隠には下がっていて貰う。そんな二人を見てヴィラン組も構えを取る。
「おい桐生、あの時のバニーちゃんは何処だ。あいつにも確りとお返ししてやらねぇと気が収まらねぇ」
「そうだ、あの時俺の顔を蹴りやがったドギツいコスの兎女は何処だ!」
「今は一緒じゃねぇよ、今は隣の龍牙が俺のパートナーだ」
「そういう事だ。何の話かは分からねぇけど……相手してやるから来い、今の俺に勝つのは容易くないと知れ」
強気に構えを取りながら威圧する龍牙、矢張りドラゴンとの同調の影響で多少なりとも好戦的になっているのかもしれないが、それでも十分過ぎる程に冷静さを保てている。その点を戦兎は見抜き、後で確りと調整してあげないとダメだなと内心で思っておく。
「さてあの時の仕返しだ……あの時の俺と一緒にするなよ……。このナイトスタークの力を思い知らせてやる!!」
「やってみろ蝙蝠蛇野郎、人の発明品でいきってんじゃねぇぞ」
「ツラの悪い龍の兄ちゃんよぉ……テメェを地獄に送ってやるよ」
「生憎、地獄なんて師匠のお陰でもう見飽きてる。代わりにお前に―――冥府を見せてやる……!!」
『行くぞぉ!!!』
という訳で大勢の皆さまの予想通りでした。まあ一部は違うけど、折角だからこっちでもやられたらいいなぁと思って。