僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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2人の英雄編―――作り続けるビルドと超える黒龍

「ふったぁっ!!」

「らぁぁぁっっ!!!」

 

ぶつかり合うビルドとナイトスターク、それぞれの攻撃がぶつかり合いながらも互いにそれらを受け流しつつも相手の喉元に噛みつかんと迫り続けていく。ナイトスタークは片手にはトランスチームガン、片手にはそれらに接続して使用出来るような仕様にしている刀身にバルブが付いた片手剣のスチームブレードを握りしめながら荒々しく切りつけてくる。それらをドリルクラッシャーで受け止めつつも、片足のスプリングで距離を取りながら片足のキャタピラで高速移動しながらの攻撃というヒット&アウェイなどを繰り返していくビルド。

 

「テメェッ……一々逃げてんじゃねぇぞぉ!!」

 

そんなチクチク戦法がお気に召さないのか怒りを露わにしながらも胸部の蛇から大型のコブラ型のエネルギー体を生み出して駆けまわるビルドを追従させていく。それらを見てもビルドは一切の余裕を崩さない、それ所か敢えてアクロバティックなジャンプを見せながらコブラの攻撃を回避して見せる。

 

「戦いに相手の都合を考えてたら面倒だ、自分の得意を押し付けるのが戦い、だぜっ!!」

「だああああぁぁぁっっ!!!!」

 

直後、再度大ジャンプをする。それらは噛みつかんと迫ってくるコブラを回避した、というだけではなく自らの背後から迫ってくる黒炎の奔流を回避する為であった。ナイトスタークはそれに驚くが視線の先では片手でヘルブロスの攻撃を完璧に受け止めながら、黒炎を吐き出した龍牙の姿があった。

 

「流石だな龍牙、俺の動きに合わせられてる!」

「そちらこそよく俺が攻撃する事が分かりました、ねっ!!」

「ガブフッ!!?」

 

直後、攻撃を防がれていたヘルブロスに龍頭でのアッパーカットが炸裂する。それに情けない事を漏らしつつも、そんな自分と出せた元凶である龍牙へと怒りの矛先を向けながら両腕のギアを高速で回転させながら、それらで龍牙を刻もうとするのだが―――そこへなんとビートクローザーが飛んできてそれをキャッチした龍牙は屈みながらブロスを足元を薙ぐような一閃を放って掬い上げた。

 

「なっ!!?」

 

崩れ落ちようとする視線の先では透明なドレスが浮かんでおり、手袋のような物がVサインを形作っていた。そう葉隠である、敢えて手放していたビートクローザーを抜群なタイミングで投げてアシストしたのである。そして龍牙はクローザーのグリップエンドを何度も引っ張る。

 

HIT PARADE(ヒッパレー)!! HIT PARADE(ヒッパレー)! MILLION SLASH!!

「食らええええッッ!!」

 

金色のエネルギーを纏ったビートクローザーを力任せに叩きつけるかのように振るう龍牙。それらは空気を引き裂きながら押し潰すかのように迫り、防御の為に差し向けられた両腕のギアの刃を砕きながらボディへと迫っていく。そして胸部のギアが防御の為に回転してそれらを受け止めるのだが、それでも衝撃を全く殺しきれずに自らも地面に強く叩きつけられた所で漸く刃を受け止め切れた。

 

「ぐっ……!!何だこのパワーは……!?俺は、こいつを使いこなす為に一日だっで欠かさずに使わなかった事なんてなかったんだぞ!!?それなのに何で!!?」

「アンタの努力なんて知った事じゃねぇ……アンタが弱いんじゃねぇ、俺がアンタよりもずっと先に行ってる。ただ、それだけの事だぁぁぁ!!!」

 

ヘルブロスを蹴り上げ、そこへ腰だめにした龍頭を構える。それを見てギョッとするブロスだが直後に一回り巨大になった龍頭が自らの身体へと炸裂する。

 

「ドラゴン・パワーラリアット・ストライクゥッ!!!」

「がぁぁぁっっ!!!」

 

ラリアットの要領で打ち付けた龍頭、そのはずみで軽く浮いた所へ跳躍した龍牙がヘルブロスへと渾身の正拳突き、ドラゴン・ストライクを炸裂させる。浮き上がっていた身体は地面にめり込むほどに打ち付けられた、そして地面には龍の紋章のような物が黒炎によって刻印される。それらを受けたヘルブロスは完全に動かなくなってしまい、重々しい息を吐き出しながら変身が解除されてしまいそのまま意識を手放した。

 

「やったね龍牙君!!戦兎さんが作ったアイテムを使ったヴィランをやっつけちゃった!!」

「葉隠さんのお陰さっ良くあのタイミングで投げてくれたよ!!」

「エッヘン!!伊達に龍牙君と一緒に居ないしパートナーじゃないからね!!」

「「イエーイ!!」」

 

と思わずハイタッチを決める。透明な少女と見た目ヴィランな龍戦士がハイタッチする姿はどことなくシュールな感じがするのである。

 

「な、なんだとぉ!!?ヘルブロスがなんであんなに簡単に!!?」

 

ビルドと戦っていたナイトスタークは相方のヘルブロスが呆気なく倒されてしまった事に驚愕してしまう。だが戦兎はある種当然のようにも思っている。あのギャングオルカの地獄とも言える扱きを受け続けてきた彼が自分の作ったドラゴンによって普段ならば身体に負担がかかる筈の力を何の障害もなくスムーズに出せるようになっている状態、そしてやや好戦的になっているので普段よりも力が出ているのもあるだろう。それらの要因が重なってヘルブロスはあっさり倒されたのだろう、他にも要因はあるだろうが。

 

「お前さ、幾ら俺の発明品とはいえ毎日毎日使ってたなんて事になったら流石に少しずつガタが来ると思わない訳?幾らメンテし続けてもそれを数年続けたなら一から作り直すレベルでオーバーホールしないとダメに決まってるだろ……」

 

呆れ混じれにそんな事を言う戦兎にナイトスタークは思わず、あれのメンテもしていたが特に大した問題もなかったので簡単な物ばかりだった事を思い出す。未だ問題が起きていないのは戦兎が作ったからこそ、だがそれでもシステムの奥深くなどにダメージは蓄積し続けるもの、それらを解消する為に全とっかえレベルのオーバーホールが必要。流石に毎日使い続けていたのならば簡単な物ではなくそれなりのレベルのメンテをしなければならない、でないと次第に劣化していく。

 

「お前さんのトランスチームガンの方は問題なさそうだな、まあ自分で手を加えたらなら当然だな」

「クッ……当然だ、俺のは限界まで出力を上げてるから週に一度はハイレベルなメンテを欠かさなかったからな」

「いい心がけだ、感動的だな、だが無意味だ。それでも俺には及ばない」

 

挑発するような物いいだが現実問題として自らがあっさりとあしらわれている現実が立ちはだかっている。あの時よりも攻撃力、防御力、機動力、各種出力を限界まで高めているのに如何して此処まで劣勢なのかと焦りを感じずにはいられなかった。しかしそれらの答えは余りにも簡単だった。あの日から何年も立っているが戦兎も当時のまま立ち止まっている訳が無いのだから。

 

「俺があの日のままだと思ってたのか。改良と調整を繰り返し続けるのと同時に身体だって鍛え続けてきたんだ。言い方も悪いが昔の発明品に俺と共に過ごしてきたあいつとの最高傑作が負けるわけがないんだよっ!!!」

 

Ready go! Voltech break!!

 

ラビットフルボトルを装填したドリルクラッシャーを握りしめ、それらを渾身の力で振るう。それをトランスチームガンにスチームブレードを接続したトランスチームライフルで受け止めるのだが……ラビットボトルの力で凄まじい回転をするドリルの勢いで連結が外れてしまい、弾かれた所にクラッシャーが炸裂し大きく吹き飛ばされてしまう。

 

「そんな、馬鹿なぁ……!!ナイト、スタークが負けるなんてあり得ねぇ……!あり得てたまるかぁぁぁっ……!!!」

「これで終わりにしてやる……俺から盗んだ物を好い加減返して貰うぞ!!行くぞ龍牙!!!」

「ああ、これで決めてやる!!!」

 

隣に走り込んできた龍牙もドライバーのレバーを回す戦兎の声に呼応するように全身から黒炎を溢れ出させていく、夥しい炎が龍牙を包み込み蜷局のような物を巻いていく。だがそれらはドラゴンのような咆哮を上げて一つの存在へと昇華されていく。それは黒い身体を持つ黒龍となって高らかに咆哮を上げた。

 

「うおっなんか出たぁ!?これも戦兎さんのドラゴンの力!?」

「な、なのかぁ!?ま、まあ詮索は後だ、決める!!勝利の法則は、決まった!!」

「ズァッ!!」

 

Ready Go!!

 

戦兎ともに飛び上がる龍牙、それを追従するように飛び上がっていく黒龍。高らかに跳躍した二人、そしてビルドが飛び上がると同時にX軸とY軸で表示された何かの計算式のような物が出現するとそれがナイトスタークを完全に拘束してしまう。

 

「な、なんだこりゃ!!!?」

 

嘗てこんな攻撃はなかったはずと焦りながらも必死にもがいてそれらを振り解こうとするが、全く外れない。その間に龍牙とビルドは完全に狙いを付けた。そして―――

 

ド ラ ゴ ニ ッ ク フ ァ ン グ フ ィ ニ ッ シ ュ!!

 

DRAGONIC FANG FINISH(ドラゴニックファングフィニッシュ)!!!

Voltech FINISH!!

 

「はぁぁぁぁっっ!!!」

「だぁぁぁぁっっ!!!」

 

黒龍が放つ黒炎を身体に纏いながら、それを推進力にして加速する龍牙と計算式を滑るようにして向かっていくビルド。その二人の必殺のキックが同時にナイトスタークへと炸裂する。爆炎の蹴りと勢いを付けながらも無限軌道が身体を削り蹴り、それらを耐えきる事などは出来ずに大爆発をもってナイトスタークは完全に変身が解除されてしまい、その場に倒れ伏してしまう。それを見た戦兎はヴィランから発明品を取り上げ、それを持っていた空のボトルへと押し込んだ。

 

「よし、ネビュラの方持ってきてくれね?」

「持ってきましたよ~戦兎さん!」

「おっナイス葉隠ちゃぁ~ん」

 

そちらもボトルに入れておく。これにて完全に終了……したと思ったのだが未だに出現し続けている黒龍に目が行く。これは一体何なのか、もしや龍牙の中にある個性の更なる可能性なのかと思案していると突如、龍牙が膝を付いてしまった。

 

「りゅ、龍牙君どうしたの!?」

「わ、分からない……でもなんか身体が……凄い重い……!!」

 

その言葉の直後、龍牙の個性が解除されてしまう。そして同調していたドラゴンも床に転がるとボトルを吐き出しながらもドラゴンはスパークを起こしながら壊れてしまい動かなくなってしまう。

 

「あああっ!?何で壊れたんだぁ!!?」

 

直後、黒龍の姿も消えてしまった。戦兎は取り敢えず龍牙の体調の確認とドラゴンを回収しながら様子を見るのだが、その間にI・アイランドの事態が収拾するという珍事が発生するのであった。三人は顔を見合わせながらも何とも言えない表情にならざるを得なかった。

 

そしてドラゴンの故障の原因は純粋な出力のオーバーフロー。元々龍牙の個性を封じ込めたボトルと同調していた影響で実力以上の力が出せるようになっていた龍牙、その結果眠っていた潜在能力を過剰に引き出してしまったのでドラゴンがそれに耐えきれずにショート。そしてそれによって負担なく行えていた制御が一気に乱れてしまった故に龍牙は動けなくなってしまったとの事。

 

「あ~あ折角龍牙に合わせたのに……これじゃあ修理と調整も踏まえると最低でも1か月は掛かるな」

「うわっ……」




と、まあ雑ですが映画編はこんな感じです。だってあの映画自体ある種完璧じゃないですか。それに手を加えるのはちょっと……というのもありますが、ペース的なものを考えると多分ラストの緑谷とオールマイトの援護位しか出来ないと思ったので。

そして―――好い加減他の番外編も書かねぇとまずいと思ったので。まあこれでメリッサも番外編に出せるし、もしかしたら本編入りもあるかもね!!あと、戦兎云々は多分普通で本編で採用するかもです。

さて次回は如何しようかな……他のクラスメイトがヒロイン編も面白そうだし、アメリカ留学でメリッサ編もありだなぁ……。えっヴィラン編?

―――多分妻曰く、私の本性であるブラック且つダーク全開になるから自重します。原作キャラがエライ事になりかねない……。

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