僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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初めて同年代と出掛ける黒龍

「ねえねえ龍牙君ってポップコーンって何味にする?私はキャラメルかな~」

「取り合えず買う時に決めるかな、迷ったら葉隠さんと一緒にするさ」

 

手を繋いだまま楽しそうに笑いながら歩いていく龍牙と葉隠、瞳こそ隠れているがそれでも口元で笑っている事が十分に読み取れる龍牙は楽しそうにしている彼女の姿に満足気な笑みを浮かべながら歩みを進めていく。こうして女性と共に遊びに行くという事は以前、偶然遭遇したピクシーボブを除けば完全オフのミッドナイトかMt.レディとしか出た事が無いので完全な同年代の女の子と遊びに行くのは本格的に初めてなのでワクワクしているのである。

 

「それにしても戦兎さんが映画に出たなんて全然知らなかったよ、龍牙君は知ってた?」

「いや俺も聞かされるまで知らなかったよ、戦兎兄さん自身も貸しを帳消しにする為に出ただけだって言ってたしあんまり乗り気ではなかったみたい。だから上映試写会もぶん投げたって言ってたよ、しかも本当にぶん投げた事を当日に電話で伝えたって」

「せ、戦兎さんらしいね」

 

本当に出る気が無かったのか、電話が掛かってきた時もベットの中で惰眠を貪っていたらしい。その後の試写会は戦兎不在のまま行われたらしいがスタッフや出演者のフォローもあって上手くいったらしいが……よくもまあ本気でぶん投げたものだ。

 

「この映画って個性が発現する前に作られた物を今の環境で作ったらどうなるのかって考えの下で作られた再構成もので平然と個性はあるから脚本とかも凄い変わっているんだってさ、肝心の部分は変わってないらしいけど」

「へぇっ~でもそれって個性で出来ちゃうこととかもあるから大変だよね」

「実際大変だったうえに出来上がった脚本見て戦兎さんがダメ出ししまくって出来上がったらしいよ」

「うわぁっ……大変そう」

 

登場人物が暢気且つ何故そこに気付かない、そこは調査するだろうしそもそもなんで警察が外部の人間に捜査依頼を出すのか明確にしないとダメだと様々な点を駄目出ししていった。そして戦兎も脚本に関わって新しいものが出来上がったのが今回の映画らしい、試写会での評判は大好評だったと言われたが戦兎としてはあまり興味なさそうだった。

 

「それだけ関わったのに出なかったんだ……」

「まあ戦兎さんだし……基本的に研究とかにしか興味ない人だし」

 

その意見には葉隠も同意見だった。基本的に研究にしか興味がない、がそれらの研究は全て平和の為に使われている。彼の根本にあるのはラブ&ピースの精神、それを世界の人々が胸に抱いて生きていける世界を作る為に日々研究に明け暮れているのである。そんなこんなを思いながら漸く目的地である映画館がある大型複合商業施設へと到達する、矢張り休日だけあって多くの人で混み合っている。

 

「やっぱり人が多いね~」

「まあ休日だし……逸れないように確り手を繋ごうか」

「そうだねっ♪あっ今心の中で葉隠さんなだけにって思ったでしょ?」

「―――何でバレたの?」

「龍牙君の事なら色々分かっちゃうもんね、だって私だもん」

 

えへんっと可愛らしく胸を張る彼女とは裏腹に龍牙は本気でドキドキしていた、何故なら本当に葉隠とちょっと語感似てるなと思っていたからである。以前も思ったが本当に葉隠の個性は透明化なのだろうか、もしかしたら相手の心を読む系統の個性も複合しているのではないだろうか。そう思いつつも彼女の手と改めて手を繋ぎ直す。女の子らしい艶やかで柔らかい感触と少し冷たいが何処か暖かい手と彼女の笑顔に龍牙は何処か直視出来なくなったのか、サングラスである利点を生かしてそっと目を反らした。

 

「(なんで今直視出来なくなったんだ俺……葉隠さんの笑顔なんて見慣れてるじゃないか……)」

 

人知れずに龍牙の心拍数は上がっていた、純粋にこの日が楽しみでワクワクしていたがそれだけではなかった。ワクワクがドキドキに何時の間にかすり替わっていた。本人はなぜそのような事になっているのか理解出来ないまま、歩みを進めていく。そんな中で葉隠が通り掛かり玩具である物を発見した。

 

「あっ龍牙君見てみてあれ!!」

「あれってもしかして……ビルドドライバー?」

 

葉隠が指さした先にあった玩具店ではある張り紙がされていた。そこには『DXビルドドライバー大量入荷しました!』と書かれていた。そして更に奥には多くの子供たちがDX版のビルドドライバーの入った箱を抱えながら親と手を繋ぎながらレジに並んでいる。

 

「随分並んでるなぁ……というかなんでビルドドライバーなんだ。戦兎さんがビルドとして活動してたのはもう随分前でヒーローとしての人気のブームはもう過ぎてるって緑谷が言ってたぞ」

「まあビルドは分類的に前のヒーローだし戦兎さんは1年しか活動してないもんね、でも今回は戦兎さんじゃないと思うよ」

「えっ?」

 

にこやかに笑っている葉隠が広場の方を見て、というのでそちらを見るとそこでは購入して貰ったばかりと思われるDXビルドドライバーを腰に巻き付けて早速変身ごっこに勤しんでいる子供達の姿がある。実に微笑ましい光景だが何やらその変身の動作に龍牙は見覚えがあった、最近何かTVで見たような気がすると思っていると答えは直ぐに訪れたのであった。

 

「「「できてるよ、へんしん!!」」」

「―――も、もしかしてあれって……」

「ふふふっ龍牙君の真似だね」

 

そうそれはTVのニュースや特集で散々見た自分が脳無との最終決戦へと赴く前の変身の動作、それを見て思わず口角が引き攣ったような動きをしてしまう。そして玩具店のTVではドラゴンライダー・リュウガの特集番組の一場面を繰り返し流し続けている。DXビルドドライバーが再び人気を博すようになったのは再度活躍したビルドの影響もあるだろうが大部分は龍牙の影響なのである。

 

「ほらほらっ龍牙君またやってるよ、可愛いね。ねっ龍牙君♪」

「……葉隠さん分かってやってるよね?」

「如何かな~?」

 

恥ずかしくなってきたのか顔が赤らんできた龍牙に子供がやっていると敢えて口に出す葉隠に龍牙は声を震わせながらそちらを見た。そこでは悪戯が成功して笑っている子供のように無邪気な笑みを浮かべている彼女の姿があった。彼女は一度舌を出して笑うと自分の手を握りしめながら引っ張るように映画館の方へと歩き始めていく。まるで広場から引き剥がすように。

 

「さあ行こっ龍牙君♪」

「んもう敵わないなぁ……」

 




あざとい……だが―――それがいい!!良い、すごくいいと思います!!
葉隠さんカワイイヤッター!!

現在活動報告にてとあるお知らせを掲載中です。宜しければそちらも見に言って貰えると嬉しいです。


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