僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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自分なりに頑張ろうと思う妖精

「えっええっ!!?如何して龍牙君が家に!?」

「あれ、マンダレイさんから連絡が行ってるって聞いたんですが……」

 

突如として事務所に姿を現した龍牙にピクシーボブは混乱の嵐だった、愛しの彼に会えた喜びと何故ここにいるのかという事で完全に混乱してしまっている。一方の龍牙は話が言っていると思っていたのでピクシーボブの取り乱し方を見て如何した物かと首を傾げてしまっている、とそんな時に彼女の携帯にメールが入って来た。相手はマンダレイ、それを見ると龍牙に少し待っていてと言うと離れた場所でメールを開く。

 

『ピクシーへ、多分龍牙君がそろそろつく頃ね。実は元々リューキュウの事務所でインターンしてる龍牙君だけどリューキュウの都合で一時的にこっちでインターンをして貰う事になったの、連絡するの忘れててごめんなさいね。でも貴方だって愛しの龍牙君に会えて最高に滾ってるんじゃないの?一応忠告しておくけどヒーローの自覚を忘れずにね、それじゃあ~♪ 貴方のチームメイトのマンダレイより♡』

「(わ、わざと連絡するの忘れてたでしょう~!!?絶対確信犯だ、確実にそうに決まってる……!!)」

 

引き攣った顔をしながらも脳内で笑顔で投げキッスをしているマンダレイが浮かんできて非常にムカついてきた。そんな大事な事ならば前以て連絡をしておくべきだろう、此方だって受け入れの準備だってあるだろうし第一龍牙が来るならば自分だって化粧とかにもっと気合を入れたのに。

 

『追伸、受け入れ準備とか心配しなくていいわよ。私達で全部やっておいたから』

「用意周到か!!?」

「?」

 

手回しが良すぎるだろ!?とチームメイトに向けての叫びが思わず出てしまうのだが、それに関してはボイスレコーダーを準備してギャングオルカの発言を録音している彼女が言えるようなセリフではないだろう。兎にも角にもこの事務所で龍牙が一時的にインターンを行う事になったのは変わりはない、自分はインターンの受け入れ先のヒーローとして相応しい立ち振る舞いをしなければ。

 

「コホン―――それでは改めまして……ようこそプッシーキャッツ事務所へ、短い間になるけど宜しくね。ここに来て貰ったからには貴方にはプッシーキャッツのサイドキックとして動いて貰いますのでそのつもりでね」

「はい、ドラゴンライダー・リュウガ、プッシーキャッツ事務所にて全力を尽くしながら様々な事を経験させて頂きます」

「その意気よ、それじゃあまず事務所を案内するわね―――リュ、リュウガ……」

「宜しくお願いしますピクシーさん」

 

思わずドモりながらも振り返って先導するように事務所を案内していく彼女に続いて龍牙は歩き出していく。少しだけ声が上ずったそれに龍牙は話が通っていなくて面倒を掛けたのかと少しだけ心配になりつつも、事務所の内部を頭に叩きこんでいく。

 

「(―――バレて、無いわよね……?)」

 

先導するピクシーボブはリュウガを連れながらも顔を見せないように細心の注意を払っている。それは別段に聞いてもいなかった仕事が舞い込んだからではない、寧ろ喜ばしい事―――しかしそれとは別の恥ずかしさがある。彼女は未だに龍牙の事を呼び捨てする事が出来ていない、恥ずかしいというのもあるが自分はそこまで親密に成れていないという認識がある、そしてこれからインターンをしていく中では彼をサイドキックとして扱う、つまり自分と同じヒーローとして扱う訳だが……その中でプライベートと同じ呼び方ではまずいとヒーローネームで呼ぼうとするのだが……。

 

「(いきなり呼び捨てにして気を悪くされてないわよね、大丈夫よね……うううっマンダレイのバカぁもっと早く言っておいてくれたら精神統一とかして気持ちを整えておいたのにぃ~!!!)」

 

心の準備が欲しかった。龍牙のヒーローネームは自らの名前と全く同じ、という事はこのインターン中は必然的に呼び捨てにする事になってしまう。彼女の中では呼び捨てにするという事は一定の信頼や交友を積んだ者同士が行う印象があり、それ以下の間では失礼になる考えがある、それに基づけば龍牙を呼び捨てになるのは彼に気を悪くさせていないかが酷く不安だった。

 

「ピクシーさん」

「っ!?な、何かしらリュ、リュ、リュウガ……?」

 

突然声を掛けられてビクっと身体が飛び上がりそうになるのを抑えつけながら、クールな表情を張り付けて振り返る……が声が上ずっていたりどもっていたりしているので台無し。が、リュウガはそこを追求せずに彼女自身に言う。

 

「実は葉隠さんから手紙を渡して欲しいって言われてたんです、直接渡して欲しいって物なんですが」

「葉隠ちゃんから……?メールで良いのに如何したのかしら」

「これです」

 

懐から出されて手紙を受け取りつつ、もしかしたら早めに見た方がいいかもしれないと手早く開いて目を通しておく。そこにあったのはある種、自分への労いと配慮そして―――挑戦的な文章が綴られていた。それを見て微笑んだ後にそれを懐にしまい直すと龍牙に向かい直して手を握った。

 

「さあ案内の続きをするわよ、それにしても手冷たいわ。手袋とかした方がいいわよ?」

「そうですかね、でも確かにピクシーさんの手が凄い暖かいですもんね。手が温かいと心が優しいって聞きますね、あれその理論だと俺は優しくない……?」

「それは外で冷たくなってるからでしょ、貴方が優しくないなんて事はあり得ないわよ」

 

 

『ピクシーさん、最近メールもないって事は御忙しいって事ですよね。だったら今回龍牙君がインターンでそちらに行けるから久しぶりに会えます―――後少し位誘惑しても良いですよ、だって―――私の方が確実にリードしてますからね♪』

 

「負けないわよ葉隠ちゃん」


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