僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
今後このような事が無いように気を付けて行きます、申し訳ありませんでした。
「おいヴィラン野郎テメェ良い気になるんじゃねぇぞクソが!!」
「なんで俺いきなり罵倒されてんの」
試験的且つ囮を兼ねたインターンテストへと出向いた龍牙、1週間の試験も終了しピクシーボブからは涙ながらも見送られて雄英へと戻って来た彼を出迎えたのは酷い怒りを露わにしながら自分に言い寄ってくる爆豪だった。良い気になっているという事は自分がインターンに一足先に出向いたという事だろうか、と言ってもそれなりの事情があったのだから致し方無いだろう、その事情を話す訳にも行かないのだが。
「龍牙君お疲れ様~!!ヴィランの相手大変だったみたいだね」
「いやピクシーさんのお陰で大部分は土魔獣が引き受けててくれたし、俺は随分楽だったよ。後なんであんなにあれてんの?」
と指をさす先にはクソがぁっ!!と叫びながら苛立ちを全開にして床を全力で踏みしめている爆豪がある。加えて自分が何か気に喰わない様子、まあ十中八九インターン関連だろうがと思っていると上鳴と峰田がスマホの画面を見せ付けながら瀬呂が大爆笑をしていた。
「何だニュースか」
「そう、そうなんだよ龍牙!!轟と爆豪がヴィラン確保したからそのインタビューがお前のいない間にあったんだけどよ、ダハハハハハ!!!」
「「爆豪の所全部カットされたんだぜ一時間もインタビューされてんのに!!ギャハハハハ!!!」」
「何時まで笑ってんだクソ共がぁぁ!!ぶっ殺すぞさもなくば自分で死ねぇ!!!」
という事らしい。ヴィランが巻き起こした事件、その現場に二人は偶然にも居合わせていた。お互いに気付いてはいなかったようだが結果的に二人でヴィランを確保した事になった。そのような活躍をしたのでその取材が行われた……のだがハッキリ言って爆豪は普段のまま、A組としては慣れているあれで取材陣に対応した。焦凍の方はそれなりに爆豪にも歩み寄りを見せていたのだが……それを完全に無碍にした結果にもなり、取材陣的にもこれはオンエアできないと判断しこれはこれで出したら爆豪の評価がエライ事になると考えた末に丸々カットするという事になったのだろう。加えて―――
『今回の救助現場に出現したヴィランを相手にするだけではなく救助活動にも参加したとの事ですが』
『俺の個性の関係上、身体中を鎧で覆ってるような物なので負傷の心配もありません。炎も出せるので被災者の方の体温保持の関係でも適切だったというだけです』
『成程、しかし九州に続いて八面六臂の活躍ですね!!流石はギャングオルカのお弟子であるとともに次代を担うヒーローですね!!』
『いえヒーロー候補です、それにまだまだ師には厳しい言葉を掛けられる程度の若輩でしかありませんので』
「あ~……成程、それで俺に噛みついたのか」
「そういう事だよ龍牙君」
焦凍と爆豪のインタビューの直後に自分のものも放送されたのが影響らしい。龍牙がピクシーボブと共に向かった現場でヴィランを確保した後に龍牙はそのまま救助活動に参加してドラグランザーと共に多くの人を救い上げてその黒い炎の熱で冷め切った人々の身体と心に熱を届け続けていた。他のヒーローの事も大きく取り扱われているが九州の一件では全くインタビューされなかったのでそれに含めて龍牙のそれは大きかった。
「でもそう言えば確かに龍牙は全然九州の一件の取材とか受けてないもんな、常闇には来てたよな」
「然り。だが我ではなく龍牙に関する事象を問うばかり、つまらん取材だった」
「なんか、悪いな気分悪くさせて」
常闇自身への取材も少なからずあっただろうがそれ以上に龍牙の事を問いただす質問が多かった。どのような人物なのか、性格や趣味など出来る限りの情報を根掘り葉掘り聞きだそうとしていたので常闇は多少なりとも気分が悪くなっていたのは事実、だがそれは自分に対する物ではないからではない。親友に対する敬服や尊敬の念などを一切感じさせない下品な取材陣の態度そのものだった、なので途中で付き添いでいたマイクにこれ以上は断ると言ってその場から抜け出した程である。
「それお前に対する心証が悪くなって事になり得るぞ、良かったのか踏陰」
「構うものか、我が親なる友の名誉を守る為でありあれらの取材で名が広まるなど拒否する」
「おっ~カッコいいぞツクヨミィ~!!」
「よっ黒龍の盟友!!」
常闇の言葉に感銘を受けているのかそれともノリで太鼓を持っているだけなのかは分からないがクラスからも称賛の声が上がってくる。そんな言葉を破るように扉が開け放たれそこから影が飛び込んでくる、それはポーズを決めながら高らかに宣言する。現れたのは絶賛大躍進中の女性ヒーロー、Mt.レディであった。
「楽観はしないこと、良い風向きに思えるけれど裏を返せばそこにあるのは危機に対する切迫感。勝利を約束された物への声援は果たして勝利を願う祈りだったのでしょうか!?ショービス*1色が濃くなってきたヒーローに今真の意味が求められているのよ!」
「レディさん?それにミッドナイト先生も」
「や~ん龍牙ってば優姉さんって呼んでよ~!!」
思わず雄英で姿を見るとは思わなかったのか驚きながらもその名前を呼ぶのだが、その呼び方を聞いて訂正を求めている姿に素直に従おうとするのだが、後ろにいたミッドナイトが腕で×を示してやらなくていい指示する。如何やらこれからの授業の為に来て貰ったらしい、尚ミッドナイトは付き添い&アシスタント……だけではないと思われる。
「良いのよ龍牙、
「いや何を言ってるんですかねこの人、自称なんてとんでもない私は名実ともに彼の姉ですよ。貴方なんかよりもとっても優しくて綺麗、
「「あ"………!?」」
何やら不穏な空気が流れ始めてしまった、しかも明らかに美女がやってはいけないような覇気と恐ろしい何かを纏っている。更に後ろにいた相澤すら顔を僅かに引き攣らせながら龍牙に何とかしろと目線を送るのであった。それを受けて龍牙は必死に考えていると峰田からこれを言えと言われたので―――それで解決するならばと咳払いをしてから口を開く。
「え、えっと……や、やめてよお姉ちゃんたち、綺麗で優しいお姉ちゃんに戻ってよっ!」
「「止めるわ♪」」
『効果覿面だ……!!』
因みにこれから行われる授業はタイムリーなメディア演習との事。
「峰田、さっきのあれって一体……」
「エロゲーに出てくる弟大好きブラコン姉妹が喧嘩している時に弟が言ったセリフだぜ」
「……」
「(龍牙君にお姉ちゃん……言われたい……!!)」
「っ!?今、龍牙君に凄い言われたい言葉が飛び出した気がする!!」
『仕事しろ』