僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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クラスメイトから質問される黒龍

「ねえっ龍牙、ギャングオルカについて教えてくれない?」

「俺にも頼む」

「スパルタで厳しくて強面で失敗すると心臓が縮みそうになる位に怖くて」

「「いやそう言う事じゃなく……」」

 

Mt.レディ講師のメディア演習、所謂ヒーローインタビューが行われている最中に龍牙は耳郎と障子にそんな質問を受けた。そんな事を聞かなくても今までさんざん自分がどれだけ師匠にボコボコにされたり厳しく指導されてきたなんて言うまでもないと思っているのだが……何故それを聞きたがるのか謎だった。

 

「俺と耳郎は再開するインターンでギャングオルカの事務所に行く事になったんだ。そこで気を付ける事を聞いておきたかったんだ」

 

それを聞いて解せた。態々改まって何を聞きたがるのか気になっていた、つまりインターンをするにあたってどんなことに気を付けて行けばいいのかを問いたかったという事でギャングオルカについて知りたかった事ではない、いやそうでもあるだろうがもっとインターン中で気を付ける事を知りたかった。

 

「そうだな……基本的な事を徹底して気を付けて行けばいいかな。二人がどんなことに着目されて指導されるかはまあ大体検討が付く」

「マジで!?」

「師匠は基本的に長所を中心に据えながら全体を鍛えてアベレージと一緒に伸ばす人だからな、俺を見ればわかるだろうけど長所が全体を向上させる感じで」

 

龍牙の長所と言えば呆れるほどのタフネスさ、それを重点的に伸ばしつつもそのタフネスさが他への増強へと繋がるような訓練を施していった。龍牙の場合は全ての基本となり体力や持久力なので酷く分かり易く二人も納得した表情を浮かべながら師の事を深く理解している弟子でもあると改めて理解させられる。

 

「例えばウチの場合は?」

「耳郎さんの場合はそうだな、音を拾う能力の強化とかかな。微細な音を聞き分けるって相当な強みになる、戦闘の最中に状況の全てを把握出来たとしたら空間戦闘能力が凄い上がるし不意打ちとかが機能しなくなってくる。だから葉隠さんみたいなステルス系個性に凄い強くなる」

「な、成程……やばいそう成れた超強いじゃんウチ」

 

両手を握りしめながら脳内では龍牙の言葉の事を全て体得した自分が多勢に囲まれた乱戦状態、相手が互いに連携を取りながら自分の死角から攻撃を仕掛けようとするが自分がそれをあっさりと見抜きながらそれを捌き必殺の一撃を叩きこんでヴィランらを倒していく姿が浮かんでくる。酷くクールでロックな姿に思わずテンションが上がってくる。

 

「やばい、超クール……!!」

「俺の場合は如何だろうか」

「障子はそうだな……方向性的には一緒だけど障子は視界も確保出来るから兎に角全方向に強い上に単純な殴り合いにも強いのは凄い長所。肉体強化がそのまま総合力の上昇に繋がっていく、近接戦闘だとある種耳郎さんの上位互換的な立場になれる。だから投擲みたいな遠距離補強もあるかも」

 

そんな言葉を聞くと障子は拳を強く握りしめていく、自分の長所を改めてあげられて行くと自分でも自信が付く上に思っていた以上に成長の伸びしろが大きい事に嬉しさを覚える。加えてリーチの面もカバーしやすいので近中距離戦において障子はかなりの強者になれると言われ、身体を震わせてしまう。

 

「仮にそんな事が出来るようになったらインファイターとしては相手にしたくない相手だなぁ……それに応じて思考速度の上昇に判断力、色々必要になってくる物があるけどそこら辺は師匠が上手くやってくれると思うよ。後、俺が前に職場体験でお世話になったパワーコングさんに話通しておくよ」

「サンキュッ!!クラスメイトに頼れる弟子が居て助かった!!」

「全くだ、これから俺達が目指すべきものまで提示されるとは良い事尽くめだ。他に何かあるか」

「他に……あ"っ」

 

何かあるだろうかと考えこむと龍牙の顔が凍り付いた、忘れてはいけない事を完全に忘れていた。というよりも忘れたままで居たかったと願っていた物があった。二人はまだあったのかと何処か期待に満ちた目で此方を見つめてくるのだが教えていいのだろうか、折角やる気になっている二人に水を差すのではないかと様々な葛藤が沸き上がってくる。

 

「なあ教えてよ!!」

「頼む龍牙、知っておけることは知っておきたい」

「……それじゃあ最後の一つ」

 

神妙な顔つきで重々しい口を開きながら龍牙は言葉を形にした、それを心して受け止めようとする二人に龍牙はそっと肩に手を置いていった。

 

「―――王蛇に目を付けられないように気を付けろ」

「「えっ……ってあああああああああああああっっっ!!!!???」」

 

そう、最狂最悪のヒーローと名高いコブラヒーロー・王蛇。それが所属しているのがギャングオルカの事務所、そしてギャングオルカ最強のサイドキックとしても名が轟いている存在に二人も大声を上げて気付いた。オルカという存在によって制御されているこそいるがそれでもその悪辣外道っぷりは全く衰えていない。龍牙も目を付けられて大変な思いをしている、稽古を付けて貰う最近でも自分も参加させろと無理矢理に参加してきて強引に戦いに来ている。

 

『こいつは良い、全身がゾクゾクするほどに闘争心が掻き立てられる。溜まらねぇよなぁ……イライラ所かスッキリするんだからよぉ……!!』

 

との事で龍牙は気に入られてしまっている。龍牙とは別のベクトルでタフ過ぎる為、幾ら攻撃を打ち込んでも狂気的な笑いを上げながら突撃して殴りかかってくるので龍牙的にはトラウマ一歩手前になっている。

 

「―――生きろよ」

「ま、待って待って龍牙ぁ!!お師匠さんに何とか言ってよ、王蛇を何とかしてって!!」

「最悪の場合、俺達の命にかかわるぞ……!?」

「いや一応言っておくだけ言っておくけど……多分最終的には王蛇の気分次第だと思うよ」




「という訳なんですけど、師匠大丈夫ですかね……」
『……いや俺もいる間は抑えられるが最近は忙しくてな……パワーコングの奴も成長しているが難しいだろうな……奴が気に入らんことを祈るしかないが断言してやる、気に入られるぞ間違いなく』
「……ヴェノムとリューキュウにも相談していいですかね」
『……割とマジでそうした方がいいかもしれんな……俺の方でも話をしておく』

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