僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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※葉隠さんのご両親についてはオリジナル全開です。不快に感じる場合は全力でブラウザバック願います。


清純の家へと向かう黒龍

年末の大晦日。全寮制の経緯から帰省は難しいとされていたがプロヒーローの護衛付きで生徒たちは一日の帰省を許された。そんな大晦日だが龍牙は帰省すると言っても結局雄英で過ごすのも変わらない上に根津もギャングオルカも忙しいらしいので戻る事が出来ないらしいので寮で過ごす予定だった。そんな龍牙に誘いが掛けられた、共に大晦日を過ごさないかと声を掛けたのが葉隠だった。

 

龍牙としては初めての友達の家に遊びに行くという行いでもあるので非常に緊張している上に折角の家族水入らずの時間を邪魔してしまっていいのだろうかと不安だったのだが、ご両親の許可は確りと取ってあるの事。寧ろ連れてきなさい!!とテンション高めな勢いだったらしい。

 

「こっち、こっちだよ龍牙君」

「元気ねぇ葉隠ちゃん」

 

手を引かれるように案内されていく龍牙と護衛のミッドナイト。葉隠としても今回の誘いは一世一代と言っても過言ではない程の誘いだった、まさか了承して貰えるとは思ってもいなかったし本当に一夜を共に過ごせるなんて思いもしなかった。何より―――

 

『連れてきなさい連れてきなさい!!だって透の彼氏なんだろ、ならご挨拶の一つもするのが筋って物だろ!』

『か、彼氏って違うよお父さん!?まだ龍牙君とはそんな関係に為れてないよぉ!?』

『あらあらまあまあ、まだって事はなりたい気持ちはいっぱいって事なのねぇ。ご馳走用意して待ってるわぁ♪』

『お母さんもやめてよぉおお!!!?』

 

両親のテンションの凄まじさに付いて行けなかったほどだった。これから一夜を過ごしていく中で何か龍牙に対してアクションを起こしたりしないか酷く心配である、自分が上手くフォローしたりしないといけないと思うと頭が痛くなってくる……。

 

「此処が私の家だよ!!」

「此処が葉隠さんの家……」

 

そんな心配を他所に到着した自宅、一般的な一軒家。此処で一日を過ごすのだと龍牙は緊張の面持ちで見てしまうのだが後ろに立っているミッドナイトが肩を叩いて大丈夫よと言葉を掛けてくれるお陰が幾分か緊張が消えていく。

 

「ちょ、ちょっと待っててね!?」

 

と一足先に家の中へと入っていく葉隠、その顔には不思議と焦りと嫌な汗をかいているように見えた龍牙は姉と共に顔を見合わせて首を傾げてしまう。

 

「如何したのかしらね葉隠ちゃん」

「さあ……何かを感じ取ったのかな」

「もしかして彼女のお父さんが龍牙を待ち受ける用意をしてたとか」

「ええっ……俺って葉隠さんのお父さんからしたら嫌な奴だと思われてるのかな……」

 

と僅かながらに嫌な予感を胸に抱きながらもお土産を持つ手が震えてしまう。そんな事を思っていると中から何やら声が響いてきた。

 

『んもう何やってるのお父さんもお母さんも!?何この垂れ幕とか馬鹿じゃないの!?恥ずかしいから今すぐに外してぇ!!』

『何でだ折角徹夜で作ってんだぞ!!透が彼氏さんを連れてくるからその準備に骨を折ったんだぞ!?』

『そうよぉ、お母さんも張り切ってドレス作ったのに』

『だから龍牙君とはそういう関係じゃないって言ったにぃ!?んもうお母さんは普段通りのマイペースを何で止めないのお父さん!?』

『だ、だって娘の成長を祝いたいじゃないか!?』

 

内容は分からないが何やら騒いでいるように聞こえる、喧嘩ではないようだが踏み入って行く訳も行かずに大丈夫である事を祈りながら待つしかない。

 

『んもうお父さんのバカぁ!!集光屈折ハイチーズゥゥ!!』

『目がぁぁ!!!目がああああ!!!!』

『ってお母さん屈折させないでうわあああ私も目がぁぁあ!?』

『はいはい、急いで片付けましょ、外で待たせるのも悪いわよ?』

「『目がぁぁぁっ目がぁああああ!!?』」

 

「「中で一体何が……!?」」

 

家の中の騒ぎは聞こえないがリビング辺りが激しく発光しているのだけは見る事が出来る、その光は葉隠の必殺技である集光屈折ハイチーズなのではないか、龍牙は思うのだが仮にそうだとして何がそうしてそうなったのかと疑問を浮かべる。少しして玄関の扉が開いてそこには酷くおっとりとしている温和で優しそうな表情を浮かべている女性が出てきてお辞儀をする。

 

「どうもお待たせして申し訳ございません、黒鏡 龍牙君ですよね。何時もウチの透がお世話になっております、葉隠 透の母をしております折と申します」

「あっどうも此方こそ……あの葉隠さんにはいつもお世話になっているのは此方の方でして……」

 

深々と頭を下げる葉隠の母、折さんに対して同じように頭を下げてしまう。今度は折ももっと頭を下げ、龍牙も頭を下げるいたちごっこのような光景にミッドナイトは少しだけ笑いながらその位にしておけないとこの時期に膝を付く事になると言って漸く収まった。

 

「それじゃあ私はこの辺りで、次の生徒の帰省に付き添ないといけないから」

「あっはい、此処まで有難う御座いましたミッドナイト先生」

「いいのよ大切な貴方の為だもの。楽しんできなさいね―――龍牙」

「―――うん、有難う睡姉さん」

 

互いに笑いながらミッドナイトはそのまま去っていく、そんな姿を見送りながら龍牙は改めてお世話になるご家庭に頭を下げた。

 

「今回は折角の家族団欒の場にご招待して頂きありがとうございます」

「良いんですよ、私達も透がお友達を連れてくることなんて全然無くて嬉しい限りなんですから。さあさあ中へどうぞ」

「あっそうだ、これお土産です。どうぞ」

「あら、まあまあ態々そんな、気を遣って下さなくても宜しかったのに」

 

持って来た手土産を渡しつつも内心では喜んでもらえるかは不安だった。中身は家族で楽しめるノンアルコールのシャンパン*1と戦兎お勧めのロールケーキ*2を渡しつつ中が妙に光っていた事について尋ねると微笑みながらこう言う。

 

「細やかな親子の戯れという奴ね、ウチの夫は透の事がとっても大切で久しぶりに会えて嬉しくてはしゃいでるんですよ。龍牙さんの事も歓迎してますよ、さあさあどうぞ」

「え、えっとお邪魔します」

*1
1本3300円を2本

*2
1本3500円を2本




ご両親の個性は次回辺り。

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