僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「さっきはお疲れ様、悪いわね二人の当て馬みたいなことさせちゃって」
「お安い御用です。友達の為になれるなんて嬉しい事はありませんよ」
「そう言って貰えると私としては嬉しい限りね」
リューキュウ事務所の執務室でお茶をするリューキュウと龍牙、ウラビティとフロッピーは早速龍牙との模擬戦で得られたインスピレーションを試す為に今度はねじれと訓練形式の試合を行っている。龍牙と違って応用が重要となるねじれからも何か大きな物を得られるのではないかという狙いで試合をして貰っている。その間に龍牙とリューキュウは出動要請に備える為に上がって休憩がてらのお茶をしている。
「さっきの砲撃も凄かったわよ、唯一の泣き所が完全になくしたわね」
「いえあれはまだまだ全然形になってないんです、結構消耗がきついんですよ。普段使ってる黒炎弾よりもずっとパワー使ってます」
普段よりも砂糖を多めに入れてエネルギー補給をするかのようにしてカフェオレを飲んでいる龍牙。新開発した技の一つが
「厳しいわね……でも確かに撃つ度に腰を入れ直してる感じもしたわ、反動も半端ないのにそれを無理矢理抑え込んでるから余計に体力を使ってるのね」
「はい、砲弾の形に出来るようにするコツをまだ掴みきれてないんです。形にすると反動が凄くて、その分何とかしようとして力を抜くと放射に変わっちゃうので練習不足です」
「さっきの必殺技もある種のごまかしなのね」
そこまで指摘されると一瞬身体を硬くしながらバレましたかと誤魔化す。カフェオレのお代わりを入れながらリューキュウの目利きの鋭さに尊敬を向けてしまう。流石は若くして№8に昇りつめたヒーローなだけはある。そんなリューキュウは意地悪な笑みを作りながらとあることを問う。
「まあ今や世間は私よりもあなたに目が行っちゃってるけどね、流石は次代を担うヒーローって所かしら?お陰で私も上手いアピール方法を考えてサイドキック集めをしないといけないわ」
「何かそのすいません……」
「悪いと思ってるならサイドキックになる気ないかしら?」
「―――け、検討させて頂きます……」
冗談よと微笑みながら言うがそこにあるのは純度100%の本音であるのは言うまでもない。
「リュウガは具体的にこうなりたいってヴィジョンってあるのかしら、目標って言ってもいいわね」
「―――……そう、ですね。もっと上へ、高みへ行きたいです」
漠然とした答え、明確な物など無く唯々今の自分よりも上に行きたいという言葉。それだけが龍牙の目標、師からの言葉に相応しいだけの男になるというのが龍牙にとっての目標。
「結構漠然としてる感じね……」
「いえでも一歩一歩昇っていくだけですから、今ある事を一つ一つこなしていくだけですので」
「こう、ギャングオルカみたいになるとかじゃないのね」
「いや師匠みたいになるとか絶対無理ですから色んな意味で」
と即答で返される。
「まあ最初は師匠みたいになるって思ってはいました、でもなんかこう……違うのかもって思い初めまして」
「どんな風に?」
「以前ショッピングモールでヴィランを確保した後に子供が凄い憧れの視線で俺を見てきたんですよ」
それはリューキュウも知っている、ショッピングモールでの起きた事件、その犯人であるヴィランの確保。それを行ったリュウガの事はニュースでも報道されていた。
「単純に師匠みたいなヒーローになるだけって駄目だと思いまして」
「それじゃあどんなヒーローに?」
「―――俺は純粋に誰かに愛されるヒーローになりたかった、誰かに自分の全てを認めて欲しかった」
強い承認欲求、それこそが根本にあったオリジン。それが全ての原動力、根津やギャンクオルカに与えられたものはそれに理由を与えただけで自分の根本にあったのは何時までもそれでしかなかった。それは龍牙も理解出来ていた。だがあの時から明確に何かが変わった、ヒーローとしては当たり前な誰かを救ったあの時に。
「誰かに安心感を与えられる、だから俺はそんな強い存在になりたい。戦兎さんが言っていたラブ&ピース、それを胸に抱いて生きていけるような安心を与えるヒーローになりたいと思ってます」
「―――成程ね」
辿り着いたのは何かを成すのではない。オールマイトのような平和の象徴ではない。オールマイトが居るからこそ平和だった、のではなく誰もが平和と安心を実感しながら愛と平和を胸に抱き続けられるような世界を作れるヒーローになるのが龍牙の目標。もう彼にとっては愛されるヒーローなんて過去の事でしかない、自分にはもう自分を思ってくれる暖かい人たちがいるのだから。
「随分と大きく出るのね、そこまで行くのは大変だしなったとしてもきっと辛い事が待ち受け続けてるわよ」
「でしょうね。だからってそこから逃げるのはヒーローなんかじゃないでしょ、ヒーローは苦難に立ち向かって超えていく者ですから」
これ以上聞くの無粋だと思いながら紅茶を口にする。本当に成長したと思わせる、自粛期間の間にも様々な出来事が彼を成長させ続けていった。実の両親から捨てられた少年は酷く愛に飢えていた、だが気付けば自分が求めていた以上の愛に包まれていた事に気付く事が出来た。だから今度は自分が齎す側に回ろうと決意したのだろう。そんな龍牙に頼もしさを覚えた時、自分の端末が鳴り響いた。
『リューキュウ、俺だ!!悪いが手を貸してくれ、砂を使って巨大化する個性のヴィランの奴がブースト薬を使いやがって面倒な事になってる!!抑え込むだけで精一杯だ!!』
「分かった直ぐに行くわ!!リュウガ、空を駆けて一気に行くわよ!!」
「了解!!」
多分まだまだリューキュウ姉さんとの絡みは続く。