僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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EP EXTRA Unknown:タイムスペース、クラッシュ!!

「んでまあそっちの事情は完璧に把握した、そっちからこっちに質問とかない訳。お前さん達からしたらこの世界って常識外れも良い所だろ、漫画アニメ世界に飛び込んできたようなもんに近いだろ」

「まあな……いきなりピチピチなコスチュームのおっさんが来て動揺した」

「もう顎が外れるかと……」

 

と素直な感想を吐露するゲイツとツクヨミ。超人社会は彼からしたら別世界である上に未来である世界、そんな世界に突然やって来てその時代の環境に適応しろというハッキリ言って無理な話だ。そのヴィランを確保するか倒すまでは彼の面倒も見なければならない、その為には此方から情報を提供して認識と理解を持って貰う事が手っ取り早い。幸いな事に今、この場所は戦兎が所有しているビルなので此処を活動の拠点にして貰えばいいだろう。

 

「後1階にはカフェあるけどそっちは完全な一般人だからな」

「こっちでもカフェあるんだ……」

「名前も一緒だぞ、後珈琲は旨いからな。そっちのエボルトとかいうド畜生と一緒なんかにするなよ」

 

と若干言葉に迫力を含めて強く言う戦兎に一同は押さえながら頷いた。そちら側の自分の話を聞くと同時にエボルトという存在についても聞いた、それに戦兎は凄まじい怒りを覚えている。可能ならば自分も一発加えてやりたい所だがそれそちら側の自分がやったという事なので怒りは飲み込んでおくとしよう。

 

「知りたい事はあるか」

「それについてはある程度は私の方で情報を集めたが流石に出来なかった部分もある、一つ一つ質問を行って我々が知りたい部分を明らかにしておく他無いだろうな」

「ウォズさんって言ったっけ。アンタ中々やり手みたいだな」

「フッそれほどでもないさ。私は何処まで自分が出来るかを見極め把握しているだけに過ぎない」

 

何やら得意げになりながら褒められた事に満更でもなさそうにしているウォズに舌打ちするゲイツ、如何やら二人はそれほど仲が良いという訳ではなさそうだ。それ所か嫌悪しあっている可能性まであると察して上手く接しようと思う戦兎と龍牙であった。

 

「へぇっ~それじゃあ龍牙ってヒーローを目指す養成学校のトップクラスの生徒さんなんだ!!カッコいいなぁ~!!」

「雄英高校って言うんだけどさ、まあそこで日夜頑張ってるよ」

「すっげえ!!ねえねえどんな力を持った人たちがいるの!?」

「透明化出来たり手から爆発起こしたり触れた物を無重力にしたり影っぽいモンスターを操ったり氷と炎を出したり本当に千差万別さ」

「すっげええ!!!ライダーの力の一部がマジで使えるみたいじゃん!!」

 

と興奮気味のソウゴ、確かにそちら側からすれば驚きの連続かもしれない。特別な戦士の力の一部がほぼすべての人たちが使えると思えばそうもなるだろうがソウゴの場合は純粋にそれだけの力を持つ人間がいる事と雄英のような学校の存在などに興奮している。

 

「じゃあ龍牙って何が出来んの!?ほとんどアナザーリュウガと同じと思っていいの?」

「そのアナザーリュウガとやらがどんな奴かは俺は分からないけど……まあ基本的に黒炎を出したり剣とか盾を出したり、ドラグブラッカーと一緒に攻撃したり受けた攻撃を反射したりとか……」

「話だけ聞くと益々あいつとおなじだな……お前、相当強い部類だろ」

「そうでもないさ、師匠にはいつも怒られてばっかり」

 

肩を竦める龍牙にゲイツは目を顰めつつ苦々しい顔を作る、自分を殺したと言っても過言ではないあのアナザーライダーとほぼ同じ能力を持っていて10年以上ヒーローを目指し鍛錬をし続けていて弱いという事はあり得ない。それはマグマ・ドーパントとの戦いを眼前で見ているからこそ分かる、がそんな男が師匠には怒られ続けていると語る。それは謙遜なのか事実なのか、事実だとしたら龍牙以上の実力者が居るという事になる。凄まじい世界だと言わざるを得ない。

 

逆なのかもしれない、この世界にはライダーのように少数ではなく多くの人が力を持つ。人が多ければそれだけ研究や追及が捗っていきそれらの応用技術も次々と生み出されていく。この世界ではそれがずっと続いている、それだけ長い時間があればそれに関する者のレベルは上昇していくのは自明の理。それは悪にも言える、だが善と悪、ヒーローとヴィランが互いを競わせるように技術を向上させていった結果が今というのもあるのかもしれない。皮肉な話だとも思うがそれが真理。善は悪があるからこそ善であり、悪は善があるからこそ悪である。

 

「しかしそのヴィランがどんな奴なのかは知らんけど、潜伏されると厄介だな……どうやって探し出すか」

「俺達は一応顔は知ってるけど、変えられたりしたら探し出すのも一苦労だもんね」

「だが奴は必ず行動を起こすに決まっている、そこを虱潰しに行くしかないだろ」

「しかしなゲイツ君、この世界だとそれはそれで難しくないかね」

「ソウゴ達はそのヴィランを追いつめてたんだよね」

 

ソウゴ達が追っていたのは歴史の改変を目論み、様々な時代へと干渉し続けたタイムジャッカーそしてクォーツァー、その二つが時代という大きな時間の流れに対して攻撃をし続けた事による影響。時間は一直線にしか流れず支流などは一切ない大きな川の流れのような物、それを強引に塞き止めて別の流れを生み出そうとし続け果てには時代を丸々一つを破壊しようとした事さえもあった。それらを何とか阻止したソウゴ達だがそれらの累積が溜まった結果として生まれたのが今回のヴィラン。

 

言うなれば時間の流れの中で生まれたバグ、特異点のような物。それにあるのは強い力に惹かれ、それを写し取るような悪性の鏡。写し取った力を蓄積させ増幅し、複数の姿と形をとって襲い来る影のような存在がソウゴたちが追う存在。本来は放置すれば自然と消える筈だったが、それらが写し取った最初の力の存在が異世界から異世界へと転移し旅をし続けるライダーの力だった故に消える事が無かった。

 

「それでソウゴ達がそいつを倒そうとしてたって訳なのか」

「うん。それで何とか追いつめたんだけど不意を突かれて逃がしちゃって……それでこの世界に至るって事」

「そのライダーってのもとんでもない存在だな」

「アハハハッ……世界の破壊者って名乗る位の存在だからね」

「何それ、本当にそれライダーなの。ヴィランじゃなくて?」

 

龍牙の中ではライダーとは人々の平和の為に戦い続ける正義のヒーロー的なイメージが構築されていた、自分が目指しているヒーローと似通っているような存在だと勝手に思っていたのだが……そこだけ聞いたら完全にヴィランである。

 

「まあ完全に良い人ではないね、俺もメシを横取りされたし」

「ソウゴ、それまだ根に持ってるのね……」

「当たり前だよ!!凄いお腹すいててやっと美味しいご飯にありつけると思ったら俺の飯を完食してたんだよ!!?」

「分かる、分かるよソウゴその気持ち。自分が空腹のときに目の前で自分だけ旨そうに食事を取られた時の気持ちは……!!」

「だよね、悔しいよね、辛いよね、お腹すくよね!!」

「ああ、本当だよな!!」

 

何故かここですさまじく通じ合ったソウゴと龍牙が今までにない位に固い握手をして強い友情を結んだ。それを見てゲイツはまともだと思ってた相手がまともじゃないのかと落胆しツクヨミは苦笑い、ウォズは愉快そうに微笑んでいる。そんな中―――

 

「ヴィ、ヴィランだ、ヴィランが暴れてるぞぉ!!!」

 

と外からそんな声が聞こえてきた、戦兎は素早く指を鳴らすと近くにあったモニターが起動する。モニターには戦兎が打ち上げた衛星からの映像が直接送られてくる。素早く自分達の座標を入力して地点を探してみる、するとそこには何やら物々しいヴィランが暴れている。

 

それは赤い鎧のような物に身を包みながらも胸部中心部分には、元の線路を思わせるラインがあるが上へ登るにつれて裂けているのが特徴的。そして最も目を引くのが山羊の角のように湾曲している長い形状をした瞳、恐怖を煽るというよりも何か嫌悪感を与えるような印象をしたヴィランの姿がそこにあった。それを見たソウゴ達は声を上げながら立ち上がった。

 

「あいつだ!!あいつだ、間違いない!!」

「矢張り残っていた最後のアナザーライダーの力は電王だったか!!奴が時空を超えたのも納得がいく」

「早く倒さないと不味い事になるわ!!」

「では行こうか、我々の世界の事は我々でケリをつけるのが筋だ」

「まあ必然的に俺達も行かないとな、お前達で行かせると後処理が面倒そうだし協力するって決めてるし」

「んじゃ行きましょう戦兎兄さん」




一番怖いアナザーライダーで意見が分かれるのがリュウガとデンオウ、カブトとヒビキって聞きます。私的にはリュウガが一番かな……他は所謂怪物的な怖さというかなんというか、リュウガからはホラー的な物を強く感じます。

私、ホラー駄目なんです。

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