僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「私は、貴方の事が、龍牙君の事がっ……好き、大好きなの―――龍牙君、ずっと傍に居させてください」
その言葉はまるで世界の流れを止めるかのように龍牙を縛り上げるように楔を打ち込んだ。隣で支えたい、という言葉と共に放れた好きという言葉に思わず思考が凍り付くように停止した。
「えっあっ」
上手く言葉が紡げない、言の葉の間のを紡げずに単なる単語以下の言葉しか口にする事が出来ない。唇と喉が震えている。彼は確かに厚意とと好意の違いを完全に理解しきったわけではない、だがそんな彼でもその言葉の中にあったそれが理解出来ない訳ではなかった。昨今感じていた彼女やピクシーボブへと向けられていた暖かな感情、それが一気に花開くような強まっていき色づくように頬が赤くなってしまう。
「……」
失礼かもしれないが口紡いで顔を反らす事が精いっぱいだった、こんな時には顔を隠す事が出来る透明な彼女が羨ましくなった。だがその彼女は顔を見せながら真っすぐとこちらを見つめながら思いを伝えてくれた、それが愛の発露であると龍牙は理解している。だが考えるよりも先に感情が理性を越えて言葉を出す事が出来なかった。
「いきなりごめんね」
そう、彼女が言葉を口にした。決して気分を害している訳ではない、逆に嬉しすぎるのか如何したら良いのか超えてしまっていると言った方が正しい、それだけでも伝えようと振り向くがそこには変わらない笑みを浮かべ続けている彼女の姿がある。
「でもね、私が龍牙君の好きって言うのは勘違いでもつり橋効果的な物でもないの。雄英のヒーロー科で一緒に過ごしていく内に想ってた、それで―――林間合宿の時にハッキリ思ったの、私はこの人が好きなんだって」
そうやって自分が何故龍牙を好きになっていったかを話していく。龍牙の今までを知っているから初恋などと言った事は無縁だったから突然の事でパニックになっている事も分かっている、だから道順をハッキリさせていこうと思った。その切っ掛けは憧れでしかなかった筈の想いが、ハッキリした恋心として形になったのが林間合宿で龍牙が敵連合に連れ去られてしまった時の事だった。
「もう会えなくなる、手が届かなくなるって思ったらもう可笑しくなっちゃいそうだった。その時に想ったの、私は龍牙君が好きなんだって」
「……」
龍牙は依然として何も答えない、続けた。
「とっても優しくて頭が良くてちょっと天然で凄く周りの人のことまで考えてる人。私が思い描いてた理想のヒーローみたいな人。そんな人と一緒にヒーロー科で頑張っていく内にどんどん龍牙君の良い所がもっともっと分かっていった、そしたらね―――何時の間にか夢中になってたの」
「個性を使ってる龍牙君が好き、戦ってる時の龍牙君が好き、ドラゴンと戯れてる時の龍牙君が好き、予習してる時の龍牙君が好き、誰かを気遣えて誰かの為に全力で力を尽くせる龍牙君が好き、一度立ち向かうって決めたら最後まで立ち向かい続けて頑張る龍牙君が好き、全部、全部好きだよ」
「こんな風に貴方を思えているだけでも本当は幸せなの、でももうそれだけじゃ嫌なの。もっと一緒に居たい、隣で笑っていたいの。大好きな貴方の傍にずぅっと居たい」
続いていく、龍牙に対する思いの独白が続いていく。そこにあったのは今までの時間の中で育まれていた葉隠が龍牙に対する思い。如何してそんな思いを抱くになったのかを語られていく、それを唯々龍牙はそれを受け止めていきながらも彼女の想いに耳を澄ませる。
「何時か私達はヒーローになって別々の歩む、それが当然なのかもしれない。それが当たり前だけど……私の、我儘を貴方に言ってもいいのなら言いたいの―――一緒に居たい、だから……貴方の傍に居させてくれませんか?」
飛びっきりの笑顔を浮かべながら少しだけ触れる手の感触を強くしながら、そう言った。龍牙にとってはどれでも鮮烈且つ強烈な思いの告白だった。彼に向けられてきた愛情は親から子への、そして親愛と言ったものだっただろう。だが葉隠が龍牙へと向けているそれはそれらとは全く違う、自分を想う純粋な恋情。それをどう受け止めるかは分からない、だが胸に浮かんだそれは―――彼女の言葉で歓喜するかの如く燃え上がっているそれに、龍牙の武重の鼓動は速めていった。
「―――……俺、は」
初めて、彼女の告白から始めて龍牙が言葉を出した。
「俺は好意って奴が未だに良く分からない、でも俺にとって葉隠さんは色んな意味で特別な人だったから……でも分かるは……今君の言葉を受けて凄い熱くてドキドキして嬉しいって思う事だよ……」
「今まで慰めの言葉ならいくらでも受けてきたけど葉隠さんから受けたカッコいいって言葉は忘れた事が無い、あれがあったから俺は今日まで頑張ってこれたんだ。君が今日までの俺を作り上げてくれたんだ。それで気付いたら……葉隠さんが近くにいてくれたら凄い嬉しかったんだ……」
「初めて君の素顔を見た時、見惚れちゃったんだよ。綺麗な人とかいろんな人を観たけど本当に可愛くて見惚れたって言うのは君が初めてだったんだ……君の笑顔が好き、一緒に居られる時間が好き、君の気持ちが好き」
彼女と同じように龍牙は胸に募っている思いを辿りながら言葉を作っていく、これまで歩んできた軌跡を振り返りながら噛み締めながらもう一度彼女の顔を見ながら……
「この、この気持ちが本当に好きって言っていいのならもっと手を繋ぎたい、もっと一緒に居たい」
「―――手だけじゃないよ」
「えっ―――」
瞬間、星空の下で二人が重なった。思わず見開いた瞳が映し出したのは悪戯気に、愛おしそうに唇に指を当てながらも恥ずかしそうにだが嬉しそうに微笑んでいる葉隠の姿だった。今何をされたのか分かっている、胸が高鳴っている。ドキドキしている、心臓が張り裂けそうなほどに。そして思わず口にした言葉が―――
『大好き』
一つに重なった。
―――多分、一部の中からするとどっかで見た事があるかもしれない告白。でもね、私があれが一番なんだよ今でも……!!!
それでは皆さんご一緒に、葉隠さんカワイイヤッター!
葉隠さんオメデトウヤッター!