僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

271 / 327
師匠と久しぶりに語らう黒龍

「済まなかったな龍牙、まさか奴があんなに加減を知らん奴だとは……」

「いい経験が出来ましたよ、それに俺はまだまだ上を目指せることが分かりました」

「ふん相変わらずポジティブな奴だ、その位でなければ俺の弟子は名乗れんがな」

 

戦兎とミルコを二人っきりにさせた龍牙はそのまま師であるギャングオルカと共に珈琲を啜っている。暫くはあのまま二人にしてやるのが優しさという奴だろう。

 

「だが龍牙、お前が限界突破訓練を自ら申し出たのは驚いた。出来る事ならばやりたくない筆頭だと言っていただろう」

「ええ、大体師匠が俺を殺しに来るせいですよ」

「ウグッ……貴様、日に日に口が達者になってくるな」

「いやでもなりますよ」

 

基本オルカが決めたヒーローとの一対一、だが多くの場合はオルカ自身が自らそれを務めている。龍牙に相応しい相手がいなかったという理由で相手を務めている……のだがその師匠との限界突破訓練はガチで限界突破しなければ死ぬレベルなのか毎回毎回命がけ、そんな訓練のを積んだからこそ自分の実力で対処出来るなら平気で無茶をするようになったのではないだろうかとリューキュウから指摘されている。

 

「何か、変わったのだな」

「―――ええ、俺ずっと一緒にいたい人を守りたいんです」

 

その言葉だけで伝わってくる、守りたい人を守る為の力を欲する。それが今回の一件の根幹にある。息子の成長を訓練ではなく言葉のやり取りで感じる、それに思わず胸が熱くなった。

 

「そうか、葉隠さんか」

「やっぱり知ってたんだ」

「まあな」

 

龍牙の入院の時にオルカは堂々と宣言されている、ピクシーボブと同じように自分も龍牙の事が好きなんだと。その時に自分は龍牙がこの人とならと思える人物なら認める旨も話している。それが彼女になったという事だろう。となるとピクシーボブは失恋という事になるがそれはそれで大丈夫なのだろうか……と不安になる。

 

「んでまあその事、流子さんにもフッつうにバレましたけどね」

「……おいそれ大丈夫か」

「なんか葉隠さんあてにまだ負けてないから!!って震え声の電話が来たらしいです」

「完全にそれ無理してるな……」

 

女の勘で感じ取った上に本人曰く、気にしない&略奪愛というものだってあるんだから!!という言葉と共に切れたらしいが葉隠曰くあれは本心では応援してくれているという感じの物だったらしい。兎に角龍牙は流子に対しては余り態度を変えないようにと言われている。

 

「それでお前は彼女と付き合っていると」

「―――はい」

「……何処が好きになった」

 

と父親として少しは歩み寄ろうと話題を広げようとするオルカに龍牙は葉隠との切っ掛けをから話していく。入学当初から既に龍牙は大きな感情を向けており、もう助けられていた事への感謝を浮かべつつも自分たちが慰めと立ち上がる事を促すだけで求める言葉をかけてやれていなかったと内心で自罰的になってしまうと同時に彼女への深い感謝を向ける。

 

「それでは新年早々のこの訓練は済まなかったな、ゆっくり過ごしたかっただろう」

「まあ過ごしたくないとと言えば嘘ではないですけど、俺は俺で訓練も必要な事だって思ってます」

 

そこに偽りは一切無い、今の自分を作り上げた物をこれからも続けるつもりでいる。そんな息子に少しばかりの溜息を浮かべつつも背中を叩いた。

 

「今日の訓練は此処までにする、早く雄英に戻ってやれ」

「えっだってまだ午後の部が残ってるじゃないですか」

「戦兎とミルコの事を考えてやれ、あれでは確実に暫くは無理だ。俺がやってやってもいいが此方も忙しい……故に暫くは休みにする、折角出来た彼女と共に過ごしてこい」

 

少しばかり荒い声だが息子を何とか気遣うオルカ、不器用故にこれ位が精いっぱい。本当は堂々とこじつけのような理由なんて言いたくはないのだが……本当は将来の義娘との間柄を進展させてやるような美味いアドバイスも付けてやりたいが……其方は不得意なので兎に角息子の背中を叩くことに専念する。

 

「えっでも……」

「良いからさっさと行かんかぁ馬鹿弟子!!!それともこのまま2週間耐久の実戦形式訓練でもするか!?」

「ヒィッ!!?す、直ぐに行きますぅ!!!」

 

ドラグブラッカーに乗って逃げるかのように猛スピードで山を下りていく息子に荒い息と共にやっと行ったかと愚痴をこぼしつつも本当に引き下がったのかと不安になってピクシーボブへと連絡をしてみる事にした。

 

『ああっその事ですか、いやぁ見事に先に越されたっというか最初っから私の入る余地がなかったって言うのが正しいですねあれ』

「……思ったより元気だな」

『アハハッ私がガチ凹みしてると思いました?これでも落ち込んではいますけど、それはそれ、これはこれですよ』

 

聞こえてくる彼女の声は酷く快活で失恋をした女とは思えないほどだった。

 

『確かにまあちょっと悔しくはありますけど本気で好きになった相手が心から一緒にいたい相手を見つけたら、今度はその幸せを応援するのが良いおんなって奴ですよ』

「お前……では何故まだ未練があるような言い方を龍牙にした」

『―――恋は恋ですから、私のハートはまだ龍牙君に向き続けてます』

 

それ程までに土川 流子にとって龍牙への思いは強く純粋なものだった。燃えるような熱情は未だに灯り続けているがそれに身を任せて龍牙の幸せを犯すなんて言語道断、あれは単なる痩せ我慢とライバルへの発破に過ぎない。龍牙の幸せを壊すなら自分が代わりを務める、だけど貴方ならそんな事ならないよねという意図も葉隠にも伝わっている。

 

『恋は恋です、私はこれからこの思いを抱いて生きていく。そしてそれが変わる時は龍牙君以上の恋をしたときですねきっと』

「フッ一丁前にいい女振りじゃないか、現れなかったな一生独身だぞ」

『それはそれでいいかもしれないですね―――届かぬ想いを抱きつつも尚、思いを捧げ続けるのも悪くないと思ってますよ私』

「いい女だよお前は」

 

そう言って通話を切る、気付けば龍牙の周囲には多くの人たちがいた。一人一人が彼の事を本気で思って手を差し伸べて助けてくれる人たちに満ちる事に嬉しさと自分の下から巣立っていくような感じがして寂しさもあるが、これが親というものだろうと割り切りながら空を見る。天へと昇っていく龍がいる、何れ龍は天から全てを見下ろす偉大な存在へとなる……。

 

「好きにするがいい龍牙、お前はもう立派な男だ」




次回は久しぶりに―――葉隠ちゃんカワイイヤッター!!と言わせて見せます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。