僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「ぁぁっビックリしたなぁもう……2週間なんて絶対耐えられないっつうか授業もあるのに普通に無理だよ……」
冬の空気の冷たさを感じ龍牙、折角雄英へと戻る道すがらヴィランの起こした事件を解決しながら進んでいた。仮免許なので非常事態でなければ個性使用が許可されないので普通に電車とバスを乗り継いで雄英へと向かっている。
「皆おせちとか喜んでくれてるかなぁ……」
一応数種類の物を取り揃えたつもりだったが喜んで貰えただろうが、お年玉はあれでよかったのだろうか。お嬢様である八百万にも5万円というのは流石に失礼だったかもしれないと後で追加分として渡した方が良いかなと色々と画策する中で漸く雄英が見えてきた。そんな時に思わず、膝が崩れるように力が抜けてしまい、思わず壁に手をついてしまった。
「……マジか、ミルコ姉さんの攻撃のダメージが此処まで根深いなんて予想外だったな……」
厄介なダメージの残り方をしている、ダメージ自体は戦兎のフェニックスロボの炎で無くなっているだろうがダメージに抉られた体力が回復しきっておらず、体力の回復を受け付けないように身体に残り続けている。これから考えるとミルコとは長期戦をすればするだけ身体が思うように動かなくなっていく事になる、これがラビルド時代ならばそこに変幻自在なビルドのベストマッチが加えられるだからとんでもないコンビになっていた。
「ったく俺の黒炎も癒しの特性得られないかなぁ……まあ無理だろうけど」
そんな戯言を胸の内にしまい直しながら校門をくぐって学生寮へと突き進んでいく、するとA組の寮の前では羽子板で遊んでいる切島と飯田の姿があった。
「おおっ龍牙!!おせちありがとなマジで美味かったぜ!!」
「好評なようで何よりだよ切島」
「龍牙君、このお年玉だが矢張り君に返す。5万円なんて大金をあっさりと手渡すなど行けない事だぞ!」
「いや受け取ってくれ、前に心配かけた詫びだと思ってくれ。受け取ってくれた方が俺は楽だ」
と言われてしまって如何するべきかと迷う飯田、その結果妥協案としてこれはクラス全員で何かに使う時の資金にしよう!!という事に落ち着き、それなら新年記念パーティの材料費にでもするかという龍牙の発案に飯田は即座に反応して大賛成するのであった。
「んで他の皆は?」
「皆はそれぞれの過ごし方でバラバラになったぜ、部屋で双六とかで遊んだりしてる女子チームとか鍛えに行った男子チームとか。俺は祖母ちゃんからなんか羽子板貰ったの思い出してよ、折角だからやってみようと思って飯田を誘ったんだ」
「うむ、中々に難しい上に落下軌道予測にそこまでの計算なども必要で良い運動になっている!」
羽子板ってそんなエクストリームスポーツ的要素があった何かだっただろうかと思いつつ、頷けておく事にする。
「しかし龍牙君、新年早々活躍したらしいな!先程ニュースで君の活躍が報じられていたぞ!!」
「随分足が速いなぁ、これだからニュースって奴は怖いんだ」
「ハハハッまあそう言うなよ、んじゃよお前は部屋で休んでた方が良いんじゃねえか?お師匠さんとの修行もあって疲れてんだろ」
「御明察、お言葉に甘えて―――」
と二人に礼を述べてから自室を目指す事にした、素直な事を言わせて貰うと足ががくがくし始めている。ヴィラン退治の疲労もある様で身体に堪えている。取り敢えず自室でゆっくりさせて貰う事にする、と部屋の扉を開けて入って扉を閉めた後に後ろから抱き疲れたように胴に腕が回された。
「お帰り、龍牙君♪」
「ああ、ただいま葉隠さん」
分かっていたような口ぶりで微笑みながら後ろから抱き付いている彼女へと声を掛ける、如何やらこっそりと自分の背後に回っていたらしい。それでも服はそのままだったが、彼女なりに上手く工夫した動きと龍牙が疲れていたのもあって気付かれずに済んだ模様。
「大変だったみたいだね、服見えたのに」
「ああちょっとね……ミルコ姉さんとのガチバトルだったから」
「うわぁっ想像するだけ私嫌だよ……」
「まあ実際死にかけたし」
「またぁ!?」
と言ってしまう頻度で龍牙は死にかけている、雄英に入学してからだけでもそれなりの頻度で死にかけている。龍牙に問題があるのかそれとも龍牙をそこまで追い込む相手がいる事が問題なのか……。そんな龍牙に溜息を吐きながらも葉隠は頬を赤くしながら膨らませながら前から抱き付きながら、優しい拳で彼の胸をポンポンと殴り始めた。彼女なりの控えめな抗議。
「痛い痛いってば……いやごめんってば……ホント姉さん強くてさ……」
「そうじゃないでしょ、龍牙君はもっと自愛すべきなんだってば!!」
「いや今回は限界突破が目的だったからガチバトルはしょうがないんだよ」
分からなくもないのだが……それでも葉隠としては龍牙の身を案じたい。もっと身体を大切にしてほしい、そんな思いを作りながら彼の手を引いて共にベットに倒れこんだ。
「わぷっ!?」
「罰として龍牙君には私の気が済むまま一緒にいて貰うからね」
有無を言わせる気はないし否定を受け入れる気も皆無だと言わんばかりだと龍牙を抱き寄せながら思いっきり抱きしめた。柔らかな感触とに彼女の鼓動も近くに感じてしまいドキドキしてしまう、それは同じなのか葉隠も顔を真っ赤にしつつも大胆になり過ぎたぁぁぁ!!と内心で後悔している。
「―――そうだね、葉隠さんにはいつも不安掛けてばっかりだしこうしてるよ」
「ふぇっ……?」
自分と違って柔らかくて少し力を加えてしまうだけで崩れてしまうそうな身体へと腕を伸ばしながら、彼女の身体を抱き寄せる。彼女のそれとは違う思いっきり抱き寄せるそれに思わず葉隠は気絶しそうになる、だが逆に流れるような自然さで彼の背中へと腕を回して同じように抱きしめた。
「暖かい……」
「龍牙君は、ちょっと熱いね……」
「いや、かな」
「ううん凄い気持ちいいの……ずっと、ずっとこうしていたい……」
互いの腕に力が入って互いに互いを抱き寄せる。更に触れ合う身体と共有されていく体温、それらが彼らには愛おしくてしょうがなかった。もうこれをもっと味わいたいという欲求しか沸き上がってこない。
「―――俺は葉隠さんが居るからきっと頑張れるんだと思う、君がいなかったらきっと自分からこんなに頑張ってない」
「私も龍牙君が居なかったら今こんなに幸せじゃないよ、一緒にいられるから幸せなの」
「ありがとう、でも俺ちょっと頑張りすぎたかな……素直に癒されたい……」
「それじゃあいっぱい癒してあげるね……思う存分甘えてね、龍牙君を癒せるなら私何でもしちゃうから」
「それじゃあもっと抱き付いていい……?」
「うん、私ももっと抱き付くね」
そう言って二人はもっと肌を重ね合う、互いが体温で蕩けだすように。もうこの繋がりを放したくなんてないと主張するような掛け合い。そのまま二人は時間を過ごす、そのまま幸せを噛み締めるように。
「龍牙君、大好きだよ」
「ああ、俺も大好きだよ葉隠さん」
う~ん……ちょっと自分の中ではなんか不満。そこまで甘くないかも……。
葉隠さんカワイイヤッターを期待した皆様のご期待を裏切ったかもしれません。