僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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師の思惑と黒龍

「シャチョー、新しいのお持ちしましたぁ……ってあんだけあった書類は!?」

「遅いぞ、15分も前に終わって持って行かせた。さっさと次を寄こせ」

「うっそぉ!?」

 

ギャングオルカは事務所の主としての仕事に従事していた。単純なヴィラン確保だけではなく抑止力としてだけではなく平和を享受する人々がその平和を忘れない為の仕事もある、それは自らの力を求めているスポンサーの事も例外ではないが、彼が契約しているスポンサーはヒーロー活動にも深い理解がある元プロヒーローなので有難い。そして師として活動するのもありなのだがヒーロー・ギャングオルカとしても活動する必要がある、なので自らの活動中は指導役を戦兎に任せる事にして、こうして仕事をしている。

 

「なんかシャチョー最近凄い仕事のペース上がってないですか」

「気のせいだ」

「いや気のせいじゃないですよ確実に。何時もなら1時間は掛ける書類の山を30分で片づけてるんですよ」

「……気のせいだ」

 

とパワーコングの言葉への返答を濁しておく、何もないと言えば嘘になるし自身に特別な事があったと言えば違うという事になる。だが気の持ちようという意味になれば変化してくる、余程に自分にとってあの出来事が嬉しかったのだと思うといよいよスイーツァの事を笑えなくなってくる。

 

「邪魔するよオルカ、あらっパワーコングこんな所に」

「あれま、スイーツァ医務室長如何したんですか」

「その言い方やめとくれアタシャには堅苦しい、それとアンタとっとと逃げた方が良いだわさ。王蛇の奴が退屈しのぎの相手させるって言ってたわよ」

「ゲェッ!!?と、トンズラァァァァ!!!!」

 

と書類を置いていくと部屋から飛び出していくパワーコング、が途中で見事に遭遇してしまいトレーニングルームに連行されてボコボコにされるのであった。合掌。

 

「何用だ」

「雄英からアタシャに宛に依頼が来たのよ、希少な治癒系個性ヒーローとして現場の意見を講義して欲しいってね」

「成程。お前の個性はリカバリーガールとは違うから別の意見も出るという訳か、良いだろう」

 

差し出しされた書類にサインとハンコを押して許可を出すのだが、その際に妙にスィーツァが良い笑顔をしている事に気付いて何か変な事でもしたのかと思いながら問いかけると別にぃと言いつつも答えられた。

 

「あの坊や関連で良い事あったみたいだねぇ」

「……気のせいだ」

「いやいやいやアンタは坊やの事を自分の事以上に大切にしてるからそれは無いね、前にオールマイトがあの子の試験で本気出し過ぎて大怪我した時なんて顔が青ざめるどころか灰色になってたじゃないか」

「……悪いか、息子を大切に思って」

「だったらその思いを訓練にくべてやりなさいや」

「奴に無用な優しさはいらん」

 

全くこの男は……と言いたげに溜息と頭をかくのだが同時にそんな思いを浮かべても肝心の龍牙が気にも留めていないのだから意味がないと思いとどまって思考を切り替えておく事にする。

 

「それよりオルカ、アンタあの話はマジな訳。あれに坊やを主戦力にするって話」

「ああ、ヴェノムと同化して貰って最大戦力の一人としてカウントする予定だ」

「……まだ経験不足だと思うわよアタシは」

「その経験を積む為だ」

 

龍牙の力は確実にプロヒーローを含めた広い範囲でも際立っているのは確実だろう、相性の問題もあるだろうがその相性でも多少ならば無視する事が出来る。それにヴェノムの力が加われば訓練で敗北したミルコにももっといい所まで喰らい付く事は確実だろう。そんな戦力を放っておく事なんて絶対的に出来ない。

 

「あの脳無が居た場合の備え、かい」

「ああ、奴ならば確実に倒せるからな」

「……分かったもう何も言わないさ」

 

そこで話は終わりスイーツァは部屋を出て行き、一人になったオルカは引き続きの仕事をし続けていた。本人としてもその案は出来る事はならば回避したがったが将来に残る禍根を一つでも消し去る為の案としての採用だった。将来の禍根を絶つ為に将来を託す希望にの今の希望を担わせる、何とも矛盾した行いだと自分を嘲笑う。

 

「今を生きる俺達が未来を生きる子供らを頼るか……呆れたもんだ、オールマイトを求めすぎる、あれが返ってきたような気分だ」

 

窓の外から差し込む光に僅かな忌々しさを向けつつも改めて仕事に向かう。そのペン先は僅かに重くなっていた事が印象的だった。

 

 

「龍牙君、実はお願いがあるんだけどいいかな」

「何だ改まって」

 

夕暮れ時、間もなく冬休みという事はまだまだ腕を振るえると前向きに捉えつつもキッチンに立って今日の夕食のビーフシチューを仕込んでいる龍牙へ緑谷が近づいてきた。

 

「僕の修行手伝って貰えないかな、ドラグブラッカーとか凄い経験値得られると思うんだ」

「成程、込み入った事情だな。良いだろう」

 

それだけを聞いた龍牙は察した。その修行というのが緑谷の個性に関する事である事を、事情を知っている且つ経験的にも戦力的にも申し分ない自分を選択したのはある意味正解なのだろう。先代個性所有者の個性、それを行使する。その為の力になるのはやぶさかではない、そしてブラッカーを引き合いに出した段階で何を目指しているのかは分かるというもの。

 

「―――明後日に師匠所有敷地を借り切っておく、そこで存分にやろう」

「ごめん面倒掛けちゃって」

「いいさ、これも平和の為だ―――頑張れよ次代の平和の象徴」

 

そう言われて少々照れくさそうにしている緑谷に龍牙はある思惑を乗せていた、それは何処か黒い輝きを示している。

 

「龍牙ぁ飯まだかよぉ……」

「もう少しだって待ってくれよ峰田、もう少し煮込めば完成だ」

「デク君の話ってなんやったの?」

「ああ、残り物のハンバーグとビーフシチュー合わせたらおいしそうだよねって話、一緒に出してあげるよ」




此処から本編ネタも交えていきます。

後番外編を近々上げるかもしれません―――冬美さんルートって面白いかもなぁ……。
あっ募集は未だにしてますので。
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