僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「ぐっ!!」
撓る鋼鉄の尾に叩きつけられたような衝撃を受けながらなんとか体勢を整えながら着地し地面を割る、衝撃が逃げているのを感じさせつつも腕から"黒鞭"を伸ばし岩肌を掴むと全力で身体を引っ張らせて身体を空へと投げ飛ばした。それと同時に瞬間、指先に力を込めて空気を弾いて加速する。
『グォォオオオオ!!!』
「く、来るっ!!」
加速する自分を追走するように迫る黒龍は鋭い爪を光らせる、咄嗟に空気を弾いて強引に身体の向きを変えてみながら空気抵抗で無理矢理それから逃れてみる、そしてカウンターを喰わらせる。
「デラウェアスマッシュ・エアフォース!!!」
発目の協力の下で開発されたサポートアイテム、そして個性を20%の出力で発動させる事で空気を弾いて風圧による衝撃波を弾丸として撃ち放つ緑谷の遠距離攻撃必殺技。それに至るまでベアリングによる練習を積んでいたからかその扱いには慣れている、故に無理な体勢からでもそれを発射できるようになっていた。しかし、黒龍は身体を自在に曲げるように丸めるとその中心を通すようにして空気弾を回避してしまう。
「また、避けられたっ!!」
『ゴアアアアアアアア!!!』
「やばいっ!!」
一度回避されれば即座にその場から位置を変える、空中戦をし続けて理解した事の一つ。高機動が出来るならばそれを活かさなければいけない、黒龍との戦いで叩きこまれた基礎でもあった。如何に相手の予想外から撃ち込むかも焦点だがそれ以上に問題なのが―――
「まずいホーミングだ!!」
無数に分裂するようにしながらも何処までも自分を追いかけてくる黒炎弾、回避し続けても追い続けてくる狩人は仕留めない限りその脅威に脅える事になる。故に緑谷が切れる手札は必然的に限られる上にホーミングを放たれたら選択肢は一気に狭まる上に後々の自分の首を絞める事にもなる。
「スマァァアアアシュ!!!」
シュートスタイルによる大きな一撃による相殺、広範囲に放つ衝撃波によって黒炎は掻き消えていくのだがその奥から赤い瞳を輝かせた獰猛な龍が一気にそれを食い破るかのように突撃すると一瞬で自らに絡みついてきた。腕や足の可動域を無くすように拘束しながらその爪を顔へと突き立てようとした瞬間に
「そこまで!!」
と主たる龍牙の声が響いて拘束が緩まりながらゆっくりと地面と降ろされると思わず、足を地面に投げ出すようにしながら空を仰いだ。そんな地面を上から見下ろすようにしながら雫が付いているラムネを差し出してくる龍牙にお礼を言いながらそれを受け取り、栓を押し開けながらよく冷えていてのど越しが最高なそれを流し込む。
「なんとなくだけど空中戦の明確なイメージ出来てきたか」
「うん、身体が空中にあるってイメージは何とか……」
「俺から見てだが、お前ちょいちょい空中静止してたの気付いてたか?」
「えっ本当に!?」
「やっぱり無意識だったんだな」
如何やらまだまだ制御には至らないどころか無自覚だったらしい事は予想内だった、そもそも個性の中にある眠れる力をいきなり自覚しろというのが無理がある。ならば徹底して自分の中で明確なイメージを只管に築き上げるように経験を積んでいくしかないというのが龍牙の指導方法、習うより慣れよ、悩むなら動けである。
「その時のお前は録画してある、というか戦闘全般撮影してあるから寮に戻ったら確認してみるといい」
「えっ本当!?でもどうやって!?」
口笛を鳴らすと何処からともなくカメラのような蝙蝠と携帯のようなクワガタが飛来してきた、クワガタは刺さっているボトルを吐き出すと膝の上でスマホの形になった。緑谷は初めてみるそれに酷く興味津々そうな様子だが、蝙蝠はメモリを吐き出しながらデジタルカメラの形になると動かなくなってしまった。
「こいつらは戦兎兄さんの新作、ボトルガシャットのバットショットとスタッグフォン。これにフルボトルを入れると自立行動可能な小型ロボとして動く、これで今回の戦いを撮影したんだよ」
「凄いこんな小さなロボを作っちゃうなんて……流石戦兎さんだ。しかもこれも個性の力で動いてるって事はつまり個性にはそれだけのエネルギーになるって事じゃないか……」
「待て待て待て考察モードに入るな入るな面倒臭い。それで許可は貰ってるからこいつらは緑谷に上げる事にする」
「えっ!?」
突然の言葉に驚くのだが、勢いのまま膝と肩の上にあるスマホとカメラを押し付けられた。そして同時にフルボトルも同時に渡されてしまう。
「で、でもいいの貰っちゃって!?」
「なんでもそいつらは随分前に作ったブラックドラゴン前の発明を今の技術でアップグレードしようと思った時の試作品らしい。だから別に問題はないし存分に扱き使ってくれだってさ、カメラにはバットのボトルとスマホにはスタッグのボトルな」
「有難う龍牙君!!僕、感動だよぉ!!」
「大袈裟だな、礼なら戦兎兄さんに言ってあげてくれ。後俺のドラゴンみたいにAI搭載されてるから良くしてくれたら応えてくれるかもってさ」
大切にすると宣言しながら早速ボトルを振ってみてから装填して起動させてみると感動している緑谷、それを見てまるで首を傾げているかのように顔を見合わせるガシェットに本当に生きているのではないかという疑いを持つ。それに関してはもう自分の相棒で慣れたつもりだったのだが……やっぱり戦兎の技術力は半端ない。
「さてと今日は此処までにするか……定期的に此処で訓練する許可は貰ってるから明日は雄英でそれを見て自分でやってみたらいい、パソコン接続で見られるから」
「うん本当に有難う龍牙君!!ってあれ、龍牙君は帰らないの?」
「片付けやらしてから帰るさ、後途中で師匠に顔出せって言われてるから」
「うん分かった、それじゃあね!!」
そのまま先に去っていく緑谷を見送った後に周囲の片付けとオルカに向けて今日の許可有難う云々の電話をする―――のだが、それが全然繋がらないのである。此処は確かに山の中だが圏外ではない筈なのだが……と首を傾げていると周囲から何かが接近してくるに気付いてドライバーを付けながらドラゴンにボトルを装填する。が直後にそれを見たからか周囲のそれらが姿を見せた。
「―――落ち着いていただきたい黒鏡 龍牙さん。私達に敵対の意思はありません」
「……如何だろうね、だとしたら何で此処にいるのかな……此処は一応私有地だ」
姿を見せた彼らはプロヒーローが数名と初めて会う人物がそこにいた。何かあると本能が叫びを上げる中で初見の男が礼儀正しそうに頭を下げながら言った。
「どうもお初にお目にかかります黒鏡 龍牙さん、突然の来訪申し訳御座いません。私は悪士 善魔と申します、是非ともお話を聞いていただきたい―――ご両親に非道な行いを受けた貴方にこそ聞いていただきたい」