僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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天使のような悪魔と対する黒龍

悪士 善魔と名乗る眼鏡をかけた男が礼儀正しく頭を下げながら言葉を紡ぐがそれを聞いて龍牙の中での警戒心が一気に高まっていく。ご両親という言い方も決定的な事でもあるので最高峰の警戒を行う、影の中の黒龍もいつでも飛び出せるようにしながらもバレない様に慎重に身を隠しながら力をため始めた。

 

「何の話をだ」

「はい、是非ともお話をしたいと前々から思っていた次第でして。今回、失礼ながら急に参上しました」

「全くもって失礼だよ、此処私有地だぞ。俺の師匠の」

「それについては後程然りべき手段を取りましてギャングオルカ様に謝罪をさせていただきます予定です」

 

不気味な男、それが第一印象だった。透き通るような白い肌に瞳を隠すような丸眼鏡、ストライプが入った黒色のスーツを着用し、ビジネスマンか弁護士の姿を彷彿とさせる三つ揃え。酷く丁寧な言葉遣いもあって見た目通りの紳士といった印象もある筈なのに底知れない不気味さが隠しきれていない。背後に従えているプロヒーローについても謎が深まるばかり、ハリケーンヒーロー・ループとスラッシュヒーロー・スラッガーの揃い踏み。

 

「単刀直入にお話しさせていただきます―――貴方を歓迎したい」

「……あ"っ?」

「我々と共に歩んでいただきたい」

 

音を理解したが意味が分からない、何が言いたい。その奥に何を隠しているのか、いや意図的だと理解した。これから順序立てて隠している全てを話すだろう、そしてそれを開示する事で自らへと迫ろうとしているのだろう。ヴィラン連合の死柄木も似たような手で自分を率いれようとしていた、それに近しい。

 

「何と歩めと」

「我々は貴方の全てを把握しております、貴方を貴方を認めない愚かな者たちが近くにいる場よりも貴方の全てを認めて共に歩み、共に夢を見て、共に理想を共有出来る場へとお連れしたい」

「何を言っているのか分からないな」

「ご冗談を、鏡 龍牙様」

 

矢張り自分の旧姓を知っている、という事はこいつらはヴィラン連合なのかと思う。だがあれらが此処まで回りくどい手を使うのか、しかもプロヒーローまで引き連れて。いや実態はヴィランという事も否定出来ないが違和感が付き纏っているのも事実。

 

「異能は人間が持つべき本来の自分、それを抑圧し否定するなど愚行以外何物でもないのに……あの愚かな夫婦はそれを理解しない、いえビーストマンとミラー・レイディとハッキリ明言します」

「―――っ!!」

「我々は人間はあるべくしてあるべきだと思っております、即ち―――あなたの真の姿を誰も恐れず受け入れる世界を提供出来る事だと思います」

 

頭を下げつつ自らの意志と尊敬を向けてくる姿に理解した、こいつらは以前校長が話してくれた個性について過激な思想を思っているという連中だと。自分を象徴として祀り上げる云々という事も言っていた気がする、詰まる所―――自分そのものを自らの力として取り込むのが目的。

 

「興味ないな」

「そのお心をお聞きしても」

「あるべくしてあるべき、成程そいつは素晴らしい。真の姿を受け入れられる、成程それは心地良い。だがそれはもうされている、俺にとっては今の世界で十二分に満足している。俺は俺自身の手でそれを変えた、来るのが遅かったな」

 

これに尽きる、余りにも来るのが遅すぎるのだ。様々な情報を持っている事だろうが持っているだけで何も理解していない、既に満足し心地良い在り方を得た自分にとって甘言ではなくその世界を壊す害悪でしかないそれには相応の報いを与えるのもやぶさかでもないとすら考える程。

 

「本当にそうですかね、私にはそうは思えません。貴方はもっと別の物を望んでいる」

「―――何?」

 

思わず聞き返した、反射的に。望んでいる、何を、自分が。満たされている自分がこれ以上、何を望んでいるのかと。思う程にまるで天使のような笑みを浮かべる悪魔を睨みつけた。

 

「尊敬する師、暖かな父、自らを肯定する理解者、大きな味方、ご学友。確かに貴方が多くの者を持っている、だがよく考えてみると貴方は心から欲している物を得ていないのですよ」

「何を言ってる……」

「虚無の中で生きたからこそ無意識なうちに封じ込めてしまった願い、無自覚な末に膨れ上がったそれを貴方を得られていない」

 

思わず一歩、引いた。何故、今―――心が一瞬安らいでしまった、愛しい人が心を優しく愛撫するかのような感覚に鳥肌が立った。貴方の欲しい物は目の前から手に入るのだと甘くて暖かくて、安らぐ誘惑、魂すら惹かれるような感覚があってしまった。

 

「ふざけた事を抜かすな……!!!」

「黒い黒い闇の中で揺蕩った貴方に最も相応しいのは、分かるはずです。今心に直接向き合い問いかけてみれば簡単に分かる事でしょう、今沸き上がる衝動がこの世界に相応しくない証明であり、世界を変える力」

 

―――聞くな龍牙!!

 

『分かってる、分かってるさブラッカー……この程度で惑わされる俺じゃない!!』

 

 

瞳に光が入った、瞬間に善魔はループとスラッガーと共に背後に飛んだ。拒絶されたと理解しつつもこれでよい、という笑みを湛えながらの後退そしてプロヒーローらが構えを取る中で善魔も手袋を投げ捨てながら腕を組みながら言った。

 

「ご理解されたはずですが尚、拒絶されるとは……いやはやなんとも強情なお方だ」

「生憎鈍感な方なんでね……!」

「それではアプローチの仕方を変えさせて頂き―――直接、お連れ致します」

「上等だ―――くそヴィランが」

「その呼び方は些か心外ですが今はそれで構いません、ならばヴィランはヴィランらしく行かせて頂きます」

 

直後、善魔の背中から純白の3対の翼が突き出しながら銀のプレートで包んだような長い尻尾と黒い二本の角が頭部を突き破るように飛び出した。

 

「変身!!!」

 

WAKE UP BURNING ! GET BLACK DRAGON !! YEAH!!〉

 

「さあ仕合ましょう―――黒龍の英雄殿」

「来い、悪魔面の天使!!」

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