僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「手筈通りに頼みますよお二人とも」
「任せてください」
「あいよ」
龍牙が黒龍の姿へと変じると善魔はすかさずに後退した、それと入れ替わるかのようにループとスラッガーが前へと出ながらその手に長槍と異常なまでに長く湾曲しているように唸っている剣を構える。予想程度はしていたが、矢張り荒事の担当はそちらだった。
「あんまり荒事にはしたくなかったんだが……こういう事になったのならばこれも運命だ、大人しくするのが身のためだぜ」
「私達からすれば君ほど我々の理想を体現している者はいない、是非こちらに来て欲しいのだが」
直後、それへの返答の代わりだと言わんばかりに黒炎弾が飛来して二人の間を縫うようにしながら背後の地面を吹き飛ばした。熔解する程の威力を見つつもその先にある残光が残るような妖しい光を放ちながら唸る黒龍の戦士に危機感が強まっていく。
「一番手、頂くぞ!!」
駆け出すスラッガー、その手に持つ巨大な得物のスラッシュスラッガーを振りまわしながら全力で振り下ろす。空気を裂くような冷たい音と共に硬質の乾いた音がそれを受け止めた。
「やるなぁ!!」
だが其処で終わらない、大剣とは思えない程に素早く振りまわしながら連続した剣戟を加えていく。それに龍牙が黒炎を纏った剣で対抗しながら迫りくる斬撃全てを打ち消し続けている、それに笑みを浮かべるようにするとスラッガーの身体が淡く血のように赤く輝く。すると―――一気に威力が上がったように腕に伝わってくる振動が跳ね上がって来た。
「っ……!!」
「はっはぁっ!」
押し始めたという現実が更にスラッガーの勢いを加速させていく、大剣の速度も増して行くと共に威力も加速していく。冗談のような話だと思いつつも対応する龍牙は咄嗟にある物を宙に投げた。それはほんの僅かな隙を、意識の空白をスラッガーに作り出した。それはフルボトル、だがそれを如何するのかと思わせつつも行動は変わらない。吹き飛ばすかのように一閃に対して黒炎を纏った一閃で対抗する―――が、その時だった。
『SPECIAL TUNE!!
金色のフルボトルが龍牙の剣の鍔の中央に吸い込まれるように剣を振るって装填し、グリップエンドを掴んで数回引いた。黒い炎が燃え上がり更に刀身に強いエネルギーが収束する、超高温の黒炎が纏った剣はさながらヒートサーベルと遜色がない。スラッシュスラッガーの刀身を砕きながら押し込み、遂には粉々に粉砕しながらスラッガーの胸を一閃、黒炎とボトルのエネルギーが同時に襲いかかって吹き飛ばす。
「矢張り流石ですねぇ……流石は現№3の弟子にして次代を担うとまで言われる方だ……危うくスラッガーが駄目になる所でしたよ」
眼鏡を直しつつも不敵な笑みを浮かべながら龍牙の力を見て満足気に頷いた、吹き飛ばされたスラッガーへと手を伸ばしたループ。その手を握り返す手が伸びてスラッガーはそれを借りながら立ち上がりながら自らの愛刀が粉砕されている事に驚愕しながら困ったように首を鳴らした。
「マジかよふざけんなよいてぇなぁ……」
「まだやれますか」
「おう、だけど今度はこっちだな」
そう言って残った愛刀をそっと地面に置くと腰に差していた剣を引き抜いてまだまだ戦えることをアピールするとループも安心したように前を向き直すと槍の矛先を龍牙へと向け直した。そして今度はもう油断せんと言いたげに二人揃って迫ってくる。
「シュエァァ!!!」
「デッェイヤ!!!」
気迫の籠った叫びと共に今度は一撃ではなく速度に重きを置いた攻撃が迫ってくる、それをビートクローザーと龍頭で対応していく。互いの長所を知り尽くしているかのような死角とそれを活かすような連携攻撃をし続けてくる。
「さっきの勢いは如何したぁ!!」
「貰ったっ!!」
死角の一撃を防いだことで真正面ががら空きになった、腰を入れた鋭い一突きが龍牙の鳩尾に炸裂する。思わず鈍い声が漏れる中、鎧の中からもう一対の手が槍の矛先を受け止めていた。
「なっこれは!?」
「生憎―――残念賞だ!!」
一人にして一人に在らず、龍牙の身体からゆっくりと姿を現したら黒龍、ドラグブラッカーは自らの爪で捕獲した矛先から腕を伸ばしてループの腕をガッチリと保持していた。そして同時に長い尾を龍牙の腰から伸ばして同時にスラッガーすら捕縛していた。
「離せっこいつ!!」
「なんて力……!!!」
とうめき声を上げる双方の声の期待に応えるかのようにドラグブラッカーは自らの身体から黒炎を放ってループとスラッガーを燃やし始めた。逃げ場のない二人は黒炎に包まれるのだが、奇妙な事に悲鳴も苦痛に悶える声もあげる事も無くそのまま足掻いている、それを見て龍牙はある仮説を立てながらそのまま一気に跳躍した。
「オールマイト、技借ります―――DRAGON OKLAHOMA SMASH!!!!」
かつての試験において受けたオールマイトの必殺技、それの記憶は鮮明に残っている。それを思い出しながら高速回転しながら炎の竜巻となったまま岩壁へと突撃していき拘束されているままのループとスラッガーを全力で叩きつけてやった。
「「ガァッ、はぁっ……!!!ぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」」
異常な速度と遠心力、龍牙とブラッカーの馬鹿力が加わった末の一撃を受けて思わず血を吐き出した。それと同時に二人からまるでガラスが砕け散ったかのような音が響き渡る、直後に二人が炎に焼かれる苦悶の声を上げ始めた事を確認すると龍牙は二人の喉元に一撃を加えて意識を刈り取ると黒炎を消し去ってやってから、善魔へと瞳を向けた。
「お前の個性だな、攻撃と防御を施すのか」
「御明察の通りに御座います。私の異能は集団の長としての適性が御座いますので」
悪士 善魔
「私の慈悲を受けた者は致命傷をある程度避けられます、貴方の攻撃全てが致命傷になりかねないとは……驚きです。そして―――それは私の力となる」
言葉と人にも全身が膨れ上がっていく、透明のような白い肌が浅黒い物へと染まり醜いとすら思える肉体へと変貌していく。更に鋭さと数を増す角と尾と輝きを増す天使の翼と光輪、まるで矛盾だ。
「さあ―――本番と参りましょう」