僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「しっかし龍牙もよくもまあこんな見合いに応じる気になったわね、ハッキリ言ってアンタからすれば雄英とかインターンで現場出る方がずっと為になるでしょ」
「否定はしないでおくさ、でもまあ今日はこうして話が合うオルタと会えたことを最大の報酬にしておくさ」
「分かってるじゃない」
と胸を張りつつドヤ顔を浮かべているオルタ、その表情は何処か恐ろし気で意地の悪そうなものであるようにも見えるのに心からの笑みにも見える。不思議な魅力のある笑顔だと思いつつもお茶を啜る。
「まあ私としても失礼がないようで素直に助かってます……さっきまでの緊張やら不安を返して欲しくもありますが……」
「オルタの態度は全く全然ですよ、知ってるかもしれませんが爆豪って分かりますか。あいつに比べたらオルタなんて可愛らしいご令嬢のようなもんですよ」
「な、なによいきなり褒めても何も出ないわよ!?」
色白な肌に赤い照れの色は良く映える、髪を弄りつつもそれを隠すような仕草の彼女はとても可愛らしく映る。そんな妹を見つつ先程の反撃と言いたいのか姉は反撃に出る事にした。
「せっかくここまで仲良くなったわけですし前々から欲しがってたあれを頂いたらどうです?」
「ちょっ!?アンタそれ言ったら絶対にゆ―――」
「ほら、貴方のドライバーは此処にありますから。ずっとサインが欲しいって言ってたじゃない」
「ギャ~!!?」
悲鳴を上げながら羞恥に染まった表情で絶望した!!!と言いたげな程に天を見上げる、その先でいるであろう神を今の感情を糧にして燃え上がる憎悪の炎で焼き尽くせるような確信がある。今すぐにでもこの姉に飛び掛かってやろうかと思いで渦巻く。
「実はオルタってば貴方が体育祭で活躍してからずっと大ファンなんです、常闇君との対決なんて今でも見返してその素晴らしさをパソコンの3Dソフトで再現するぐらいで……私も感心するぐらいの出来前なんです」
「―――っそ、そうよ!!驚いたかしら、そんな相手が見合いに来たなんて気まずくて死にたくなるでしょう!?今馬鹿姉が言った奴だって動画サイトに上げて多くの人に見て貰ってるんだからもう取り返しなんてつかないわよ!!」
もう吹っ切れた、それかやけくそになっているのか紅潮し切った表情とぐるぐるになっている瞳のままに高らかと何故か事実を語るオルタ。もう混乱しきってしまっている模様、それは最早自分がどれだけ龍牙のファンになっているのかをひけらかしているに等しい。
「あ~……オルタ、それじゃあサインしとく……?」
「ええ是非お願いするわ、これも後でネットに上げて私の事を煽ってきた奴らの鼻を明かしてやるわ!!」
「あのオルタ……ホントすいませんでした……」
この後、確りとサインとツーショットをして貰ったオルタは満足そうにした後に生暖かい笑みを向けてくる二人に忘れろ!!と叫ぶのであった。勿論忘れて上げて、暫しの間は何も喋っていない事にするのであった。
「それで黒鏡さん」
「龍牙で良いですよ聖さん、俺としてはそっちの方が呼ばれる身としては良いんです。名字にはいい思い出が無いので」
「あらっ私達と同じじゃない、ったく何がジャンヌ・ダルクの子孫よ。くっだらない……」
毒づく妹を尻目にジャンヌは聞いて見たかった事を尋ねてみる。
「―――貴方は個性をどのように捉えておりますか?」
「個性、をですか」
「あ~ヤダヤダまた始まった、うちの御姉様だったら嫌味ったらしく学者様みたいなことをしているのよ。その研究が人間は個性とどのように向き合うべきなのか、ですって」
そんな風にオルタは言うのだが、龍牙としてはそれなりに興味が引かれる内容ではある。それは彼自身が個性によって人生を大きく揺るがさせてしまった事に起因する。自分の活躍を見て異形型個性の人々が前に進もうとしたという話は聞いた事もあるのも理由だろう。それほど個性は既に今の人類と密接な関係になってしまっている。
「個性は今では当然の物として認知されていますが以前は異物として恐怖、迫害の対象でした。まるで魔女狩りでもしてたかのようだったとお爺様らの日記には綴られておりました。故に私はどのように向き合うべきなのかを考えていく必要があるのではと思っています」
「随分なご高説です事、どうせ無駄な事よ。人間が長い物に巻かれていくのは歴史が証明しているような物、どうせ何も変わらないわよ人間の本質なんて」
何方も意見も理解出来る、龍牙は超常黎明期に裏の世界を完全に掌握しその頂点に座していた男に運命を狂わされている、その結果が両親からの迫害に近い扱いと過去。だが同時に自分を救ったのも個性を扱うヒーローである根津とギャングオルカ。本質的には何も違わない。
「私は別に個性を自由に使うべきなんて思っていない、世界にはルールやモラルだって必要よ。この前にウチに来た人達みたいに言うのはやめて頂戴オルタ」
「ふん、元々紛らわしい事を命題にしてるのが悪いのよ。あの時だってあの胡散臭い眼鏡の男の言葉に多少の理想になった人が良く言うわね」
「―――ウチに来た……もしかして悪士 善魔って言いませんか」
「あらっ知ってるの龍牙」
それを聞いて何かが頭の中で過る、不安を掻き立ててくる。言いようのない恐怖のような物が迫ってくるのを感じる。否定と肯定がぶつかり合ってくる。
「……ええ、知ってます」
「そう、ならアンタも気を付けた方が良いわよ。あいつの本質は絶対に悪よ悪」
「オルタが言っても説得力がないような……」
―――困りましたね、あのお二人への干渉が完全に意味を成していないとは……まあいいでしょう、その為に別の策も準備してあるんですから。では天使の慈悲か、悪魔の無慈悲、何方を選ぶのか楽しみにさせていただきます。