僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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祖父の偉大さを知る黒龍

挨拶を済ませた龍牙は祖父の隣に座るように促されたので其方へと座る、威厳もあり表情も変えずに沈黙を保ち続けながら白鳥の頭を撫でている姿に祖父とはこういった物なのかという感想を抱きつつも眼前に酷く汗をかきながら顔面蒼白になっている元両親がいるが龍牙は余り気にも留めずに同じく隣に座り込んだ戦兎と共に陣から緑茶と茶菓子を嗜む。

 

「あっ美味しいっ……」

「お喜びになれたようで何よりでございます」

 

陣も嬉しそうな表情を作りながらも龍牙の姿を見て涙をこぼしてしまっている、それを年のせいと誤魔化しているようだが……もしかしたら自分は割かしとんでもない立場の人間だったのではないだろうかと思い始めた龍牙。本家である神使の家の事はまだよく分からないがそれでも名家と言われている鏡家の本家、そしてその本家の当主の孫……冷静に考えたら凄い身分なのではと思い始める。

 

「あ、あの……お爺ちゃん」

「如何した龍牙よ」

「本家は具体的にはどんなところなんでしょうか……?」

「戦兎よ説明をしなかったのか?」

「ええ、お爺ちゃんが直接説明した方が孫は喜ぶし説得力あるでしょ。俺は関りがあるってだけで別にこの家の人間って訳じゃないですから」

「そうか、無用な気を遣わせてしまったな。では説明をするとしよう……まず我の名を言っておこう、我が名は神使 翁という。好きなように呼ぶが良い」

 

祖父、翁が語る神使という家はそもそもが神の子孫であると言われる天皇に仕えていた家の一つ。それが現在では政府直轄の家系として変化しつつも現代まで生き続けている。今では政府直轄のヒーロー公安委員会の実働部隊の一つとして動く家となっている。

 

「そ、それってどんな仕事を……」

「口に出す事も憚れる汚れ仕事、それが我らが家の生業、我らが誇り、忌むべき者を狩り静寂を見守る事」

 

具体的な明言こそ避けているがそれが褒められるような事ではない事は察する事が出来た。龍牙の脳裏を過ったその仕事の可能性は―――自分が憧れているヒーロー達の仕事を表と例えるならば裏、表では対応出来ない事件や殺すしかないヴィランの始末……それらなどではないかと想像出来た―――言うなればヒーロー社会の……暗部。

 

「我ら神使以外の家はいわば表を担う家系、この家に生まれた者はある時をもってそれを選択する。光となりて世界を照らす役目を担う、自ら影に墜ちる事を受け入れ、世界を蝕む闇を影から討つ」

「あ、ああそういう事か……お爺ちゃんが神使なのに白鳥が鏡なのはどういう事なのかって疑問だったんだ」

「其方らの両親は光となる事を望んだまでの事、それを咎める気などない」

 

故に神使を本家とする分家が多数存在する、鏡もその家の一つであり獣助は光を選び鏡となってそこで乱と結婚して龍牙と白鳥を授かっただけの話。それだけの話ならばよかったのだが……。ギロリッ!!と音が立ちそうな程に鋭い視線が投げかけられた。それを受けた獣助と乱は身体中から冷や汗を出してしまう程に脅えた。

 

「光となるべき家の者が……何をした。愛すべき我が子を、高々個性程度の問題で……親の責務を放棄した……貴様らに問おう―――汝らは何者だ」

 

地獄の悪鬼、いや裁きを下す閻魔のような威圧感を出しながらも翁は問を投げかけた。お前たちは何を選択した、光である身でありながら何を選択したのか。

 

「私、達は……鏡です……」

「鏡とは全てを見通す光を扱う家の名、その鏡は己の愚かしさに逃げぬ為の者であると当主となる時に伝えた筈だが、我の記憶違いか」

「違いません……しかし……!!」

「情けない事この上なし、同時に腹立たしい。汝らの行いがどれ程までの事であるか理解しているのか」

 

声所か魂が震えるような感覚を覚えながら二人は頭を上げる事が出来なかった。恐ろしくて上げる事が出来なかった、唯々言葉を必死に作ってそれを出す事しか出来ない。

 

「申し訳ありません……神使の家に泥を塗ってしまい……!!」

「全ては私達の責任です……!!」

「戯け、汝らだけではない。あの場にいた分家全てに人間の責任だ」

「「!?」」

 

あの時、初めて龍牙の個性が発動した時にいたのは単純に鏡家だけではない。多くの親戚がその場にいた、その場にて龍牙は恐れられ、攻撃を受け、捨てられたのだ。単純に鏡家だけという問題ではない。故に鏡家だけに責任を押し付けるのは奇妙な話。

 

「故に、その場に居合わせた分家全てに処分を言い渡す。到底軽い物ではない事を覚悟せよ」

「そ、そんな……!!」

「お待ちくださいお父さん、あれは我々だけのせいなんです!!他の皆さまは何も……」

「―――口を閉ざせ、さもなければ今此処で首を差し出せぃ

 

瞬間、翁から溢れ出た気迫が一気に濃厚になった。それだけで相手を死へと誘う事も容易と言わんばかりの死を予感させてしまう死の気配。それを纏う当主とはどれ程までの存在なのか龍牙には測りかねない。そして直後にそれは綺麗に消え去る、出現したかと思えばまるで嵐が過ぎ去った後の晴天のようにその気配を感じさせないそれに一種の尊敬さえ向けるのが相応しいだろう。

 

「龍牙よ」

「えっあっはい!!」

 

突然話を振られた事に驚く龍牙、それでも祖父は眉一つ動かさず静かに自身を見据える。

 

「其方の意思を無視するようだが、汝らの父と母に対する裁きの手を緩める事は出来ぬ。光になる役目を持つ者共が行ったのは純然たる悪意、愚かな行い故の結果、それを変える事など許されぬ。だが―――その裁きの剣を選ぶ権利は汝にある事だろう。故に選ぶが良い、其方が選ぶ裁きの剣は如何なる物にするか」

 

翁は行き先を変える事は出来ないと言いつつも、その終着点へと向かうまでの道を決める権利はあると言いながらその道筋を決めて良いと言う。その権利があるのは龍牙にしかないと言いながら、黙って剣を手渡す。無数に存在する裁きの剣の内好きな物を取れと言う。眼前にいる両親への裁きを選べというのだ。

 

「……俺としてはもう裁きは下しているつもりだったよ、鏡家との完全な絶縁。それが俺の望みだったから、それはもう果たされてる、だから選びと言われてももう手に取っちゃってるんだよ」

「フム……では裁きは下さぬというのか」

「いや―――だからお爺ちゃんが相応しいと思う物を与えてやればいいと思うよ」

 

そう言いながら剣の握りを祖父へと差し出す、自分の望んだ物は既に手に入れている。厳密に居れば自分は既に鏡家とも本家である神使の家とも関わり合い自体無かったのだから部外者。だからこそ選ぶ権利すら既に無い、そんな風に語る孫に祖父は少し虚を突かれたような顔をする。

 

「汝が受けた所業、それらに対する思いは無いと言うのだな」

「まあないかな……感じる事も無かった、何で捨てたんだよとは思ったけどもうどうでもいいから」

「―――そうか龍牙、汝がそれを望むのであればこの場にて首を断つ事も請け負うがそれさえも望まぬか……我が孫は随分と無欲に見える」

「もう、欲しい物は貰ってるんだよ」

「そうか……」

 

そこまで言われて、翁は少しだけ微笑んで龍牙の頭を撫でた。そう望むならばそうしよう、復讐を望んでいないのであればそうしよう。行うのは唯の……恥を晒した者達への制裁のみに留める事にすると思いながら翁は言葉を作る。

 

「ではもう一つ問う―――汝らよ、何故あれらと繋がりを持った」

「あ、あれらとは……?」

「そのような逃れは意味を持たぬと知れ―――異能解放軍、何も知らぬとは言わせぬぞ」




まあうん、モデルはキングハサン。感想でキングハサンじゃね?って言われた時凄いドキッとした……なんでまで全然出してないのに、ギャングオルカより怖いってだけでわかるの!?って。
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