僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「お爺ちゃん、あいつは」
「我らが神使の家にて責任をもって隔離しておく故安心するが良い。既に奴は死にたいだが、個性使用に発生する脳波を感知するシステムにて監視をしている。逃げる事など出来ぬ」
「おおっタルタロス並みのセキュリティなら安心だな」
戦兎の個性によって著しく個性を疲弊させられてしまった善魔は今までの戦いが嘘のように拘束される事を受け入れていた。今まで蓄えていた力全てを個性と共に抽出されてしまったが故に抵抗する意思も皆無に等しい、自ら進んで拘束器具に歩み寄り、全身を拘束されていた。
『―――龍牙様、最後に貴方と戦えた事は非常に嬉しく思います。一人の……
その言葉を最後に善魔は神使の地下深くにあるという隔離施設に移送されていった。その表情は敗れた者としては晴れやかで後悔が微塵も無い物だった事が酷く印象的だった。
「これからの尋問とかも任せていいんですかね」
「請け負う」
屋敷へと戻った戦兎と龍牙、残るのは―――翁によって完全に無力化されたビーストマンとミラー・レイディのみ。それらを見つめる白鳥の瞳も酷く冷めていた、既に職場体験の時点にてかなり冷え切っていたのに今回の事が決定打になったとも言えるのかもしれない。これから二人も一時的な拘留の後に他の家も呼びだした後に審議に掛ける事になる、だがその前に一つだけ問っておく。
「問おう、汝らは何故あれらの思想を求めた」
拘束を受けたまま問いを投げかけられる連れ出されようとする二人、足を止めながらも苦々しい表情を作りながらも言葉を口にする。それは龍牙を見つめながら。
「もう、信じてくれないだろうけど……完全に自由になれば……もう何にも縛られる事が無いと思ったんだ……」
「龍牙の個性を否定する人は未だに多い事を貴方に絶縁されてから知った、でももう私達は貴方に関われない。だったらせめて……」
その言葉が真実なのか、そうでなかろうとももう真偽を確かめる事ももう意味を成さないだろう。それを向けられる龍牙はそれを聞いても何の感傷も起きないし何も思わない。そこにあったのが本当に親の愛だったとしても―――もう二人はもう彼の親ではないのだから。
「俺はもう何も縛られてない、それを勝手に解釈違いを起こして自分を貶めただけの話だ。そこに俺は関係ない」
「「―――っ……」」
既に龍牙の興味は何も向けられていなかった、あるのは虚無的な言葉と侮蔑的な態度のみ。同時に向けられている愛する娘からのそれに対して二人は苦虫を噛み潰したような顔を作りながらも、向かってくる娘を見つめながらも―――向けられた一撃を甘んじて受けるしか出来なかった。
「……紛いなりにも尊敬してたのに……私はどれだけお父さんとお母さんから裏切られればいいのよ……大っ嫌い」
「連れて行くが良い」
厳かな声によって二人はそのまま連れて行かれてしまう、視線は最後まで龍牙、そして白鳥を見つめていたがそれらは何も捉える事もなく、二人に引っかかる事も無く過ぎ去っていく。あの時から間違っていたのだ、それが今正されただけの話。
「お爺ちゃん、これから白鳥はどうなるんですか」
「白鳥は神使の家の門を潜る事となった。その事を承諾した」
「おいおい……白鳥ちゃん、ハッキリ言っておくが神使の家がやる事はアングラヒーローどころの話じゃないぞ。俺も詳しくは知らないけど……ヒーローとは全く別の仕事だぞ」
「うん分かってる、きっと私はこれから何度も何度も挫折したり苦しくて苦しくて辛い事が待ってる事も……」
純白の翼、白い鳥である白鳥は自ら影に身を染める事を覚悟した。これから彼女が行うのは決して称賛される事も無く表沙汰にされる事も無く、淡々と平和を影から守り抜くという
「俺は今まで兄貴らしいことは全くしなかったから何かを言う資格なんてないが……俺の所に来る選択肢も無くはないぞ」
「アハハッ冗談キツいよ。お兄ちゃんの所ってギャングオルカさんの所でしょ、お爺ちゃんですら物申したいっていう訓練はちょっとなぁ」
「え"っ」
「汝が歩んだ修練の数々は既に把握している、しているが……龍牙、辛くはないのか」
何処か憐みのある瞳と声色で語りかけてくる祖父、それだけやばいのだろうか。もう慣れてしまっているからか何とも思わなくなってきている、いや思う所はあるにはあるが既に耐えられるので問題ないと割り切っている。
「龍牙よ、汝の妹は其方の隣に立ちたいのだ。故に我の下で切磋琢磨する事を望んでいる、妹として兄に恥じぬ身でありたいと意地らしくも愛らしい思いでな」
「ホントは今すぐにでも始めたいけど……お爺ちゃんが卒業はしろって言うから……」
兄に迫りたいという焦りもあるからか直ぐにでも神使の元での修練を望もうとする白鳥を翁は止めて雄英で確りと学んでから来るようにと説得してくれた。雄英が教える事は一流である上に施設も充実しているので大きな成長も見込めるのも事実だからである。
「龍牙よ、汝に一つ任せたい事がある」
「俺に?」
「龍牙、我らが新たな家系の当主となる気はないか」
「―――はいっ!?」