僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「女子会やろ!!」
芦戸の突然すぎる発言によって行われる事になった女子会、という名の女子だけの集まりによる駄弁り会。日頃ヒーローを目指して頑張っているのだから偶には羽を伸ばそうという趣旨の話であった。それに女子たちは全員賛成でそれを行う事になり、それに参加したそうな峰田などがいたが完全拒絶されて凹んでいる最中で龍牙と砂藤はキッチンで腕を振るっていた。
「分量はこの程度で良いのか?」
「ああそうだ、あっやっべもう生地が焼き上がっちまう!手貸してくれ龍牙!!」
「おう、アップルパイには余裕があるな」
女子会で女子らが食べるお菓子などを作って欲しいとお願いされた、本当は適当な市販のお菓子などでも良かったのだが折角クリスマスパーティや鍋パーティで十全に腕を振るってくれた一流のシェフが居るのだからそちらにお願いしてみたら……
『ああいいよ、砂藤折角だからこの前師匠の知り合いから沢山リンゴを頂いたんだ。それを使えないか?』
『それならアップルパイとかがいいな、それにスコーンなんかも良いなぁ……それって明日だよな、それだったらあんまり時間が無いな……よし今から仕込むぜ龍牙!!』
と、こんな感じで想像していたよりも10倍以上の快諾を見せた。そして翌日にはランチラッシュから借りてきたと思われるワゴン一杯にケーキや焼き菓子が用意されていて思わず女子から歓声が沸き上がった。それに合わせるように八百万が高級茶葉を用意してそれをお供にした最高の女子会が始まった。
「いい仕事したな」
「おうよ」
「あ~このロールケーキ最高ぅ~……」
「ホント身体まで蕩けそうなぐらいに甘いぃ~……」
と女子会の会場となっている一室にて話も弾んでいる事……と思いきや皆、砂藤と龍牙お手製のお菓子の美味しさに骨抜きにされていた。翌日というタイムアップがあるのにも拘らず、二人とも徹夜慣れしているのと調理が趣味であり生活の一つとなっている為かレベルが凄まじく高い。
「このアップルパイ凄いですわ、芳醇なリンゴの味わいを最大限に引き出しつつもそれを阻害する事も無く相乗させるようなパイ、何方が何方も一切邪魔をしない……最高級店でもこのような味わい出せませんわ……!!」
とヤオモモこと、八百万 百も絶賛するレベルに仕上がっているのである。
「はふぅっ~……美味しすぎて脳みそ蕩けりゅ~……」
「おなじゅくっ~……」
「ケロロロォ~……」
A組が誇る調理人二人がガチになって頑張った結果がこれである。そして暫くそれらを楽しみ続けた後に漸く女子会らしいことが始まったのであった。ズバリ……恋バナという奴である。年頃の女子学生たちが集まっているのだから定番中の大定番、それをしようと芦戸が声を上げた。それを聞いて一番まずいと思ったのが葉隠であった。
「(マズいマズい……龍牙君はきっと隠すつもりなかったしとか言いそうだけど、色々と面倒な事になりそうだから絶対に隠し通さないと……!!)」
此処でも自分が透明である事を感謝しつつも百面相をしている、が、ここでヤオモモの想わぬファインプレーに救われた。
「恋バナは非常に楽しそうですね!楽しみなのですが……雄英のスケジュールで交際出来た方はいるのでしょうか?」
そう、雄英のスケジュールは通常高校よりもずっと忙しいのである。そしてそれに受かる為に中学生の時も受験勉強や個性を鍛える為の訓練などのハードスケジュール続き、そんな中で相手を作るというのは難しいどころの話ではない。故に全員が無理という結論に至り、なのでクラスの中で誰を彼氏にしたいのかという話にシフトしていった。
「(ヤオモモありがと~!!!)」
「んじゃまず除外するのは上鳴と峰田で良いと思う人」
『はい』
「という訳で全員挙手という事で除外する事に決定しました」
哀れだが普段の行いがおこないが故か、誰もその二人の除外については誰も反対意見を述べなかった事が物語っている。そして上がったのはクラスの中で良いかという話、それで選ばれたのは―――緑谷、飯田、轟、常闇、龍牙の5人であった。他の皆が悪いという訳ではないが選ぶのであればという話である。
―――緑谷の場合。
「悪くはないと思うよウチは、努力家だしなんだかんだで誠実そうだし」
「あっそれ分かる、絶対浮気しないタイプだよね」
「それにデク君って凄い優しいから細かい所まで気遣ってくれそうだよね」
『分かる分かる』
と緑谷は女子たちから見てもかなりの高評価、普段の行いも良いからだろうか。といっても女子目線でも彼について悪い所はある。
「緑谷さんはいざお付き合いすると、ご自分の趣味を優先してしまいそうですわ」
「あ~……成程、デートでヒーロー関連ショップは勘弁してほしいなぁ」
「うんうん、おしゃれなお店とか洋服とか見たいのにヒーローショップはなぁ……」
「あとあのブツブツ癖、クラスメイトとしては許容できるけど彼氏としてなぁ……自分の目の前で女性ヒーローの分析とか絶対嫌だ」
『それは確かに』
そんな風に話は進んでいく、これを本人が聞いたら何と思う事だろうか。ショックを受けるのは当然ながら自分を分析する材料とするのだろうか、それはそれで気になる所だが内容が次の人物、飯田へと移っていた。
「飯田君かぁ……う~ん……」
「おっ麗日凄い微妙な顔してる」
「いや良い所は知ってるよ、でも……付き合えるのかな、手を繋ぐのも凄い時間かかりそうだし……」
『あぁっ~……』
友人としての付き合いが最も強いと言えば麗日、その言葉は皆が思わず納得してしまう者だった。何故ならば普段からあのくそ真面目と面倒臭いレベルの正当性を求める性格なのだから、不純異性交遊云々で不純で手を繋ぐのは非常時を含めないならば交際してからが当然だ!!と言っても別に驚かない自信があった。そこで完全に飯田関連はストップしてしまったのか、次は轟になるのだが……それも長くが続かなかった。理由は当然―――
『エンデヴァーがお義父さんなのは怖い……』
満場一致の理由であった。最近ではそれ程でもないのだろうが、以前より受けていた印象が余りにも強いのか轟本人はイケメンなのにそこまで盛り上がらない欠陥が巻き起こってしまう。
「んじゃ次は常闇か、安定して厨二病だけど悪くはないよね」
「ケロケロ、私もそう思うわ。ダークシャドウちゃんも可愛い物」
「ノリも良いもんね~」
「常闇さんはお手伝いをお願いしても簡単に引き受けてくださるほどにお優しいですものね」
と此処まで一番高い高評価を叩き出したのが常闇だった。此処までは良かった、そして次が葉隠にとって一番の鬼門である龍牙の事だった。此処でもしも龍牙を狙っているという話が出たら自分は如何するべきなのだろうか、もう自分が彼女だというべきなのか……迷いながらも龍牙の話題に入ると……思わずそれを忘れてしまう。
「なんだかんだで一番優良物件なのって真面目に龍牙じゃない?普通に優しい頼りになるし」
「アタシも龍牙には色々お世話になりっぱなし~勉強とかお金忘れた時のお昼とか」
「実はウチも……返そうと思ってるんだけど龍牙君にいつも遠慮されて渡せないんよ」
「謙虚な所も素敵な所ですわね、そして紳士的な所も」
「うんうん分かる分かる!!」
自分が好きな所は皆もそう思っているんだと思うと、何故か嬉しくなって、気分が昂ってしまってついつい嬉しそうに話してしまう。
「お師匠さん云々の事はあるけど、あれは関係ないもんね」
「うん。ウチもインターンでギャングオルカの事務所行った時に話したけど公私は分けてるって言ってた。単純に師であり保護者なだけだって言ってた」
「そして何より一番なのは……」
「ピンチに時に駆けつけて絶対に守ってくれそうな所……」
『うんうん!!』
俺が此処にいる、という龍牙のフレーズの影響もあるのか、それともヒーローとはいえ自分も守られたいという欲求がある。その点を考えると実力ともに完璧な龍牙はある意味女子らが求める理想の姿とともいえる。唯一ネックだった個性発動時の外見も―――
「いやもう気になんないし何より最近の龍牙の最強形態超カッコいいじゃん!!」
「うんあれはウチも最高にクールだと思う」
とかなり好評なのである、故か葉隠はノリに乗ってしまう。
「本当に龍牙君って凄くてカッコいいんだよね、この前に一緒に出掛けたんだけどその時も咄嗟にヴィランの所に向かって子どもを守ったり凄くて……」
『……』
「え、えっと、あの何皆……?」
「ねぇ、やっぱりアンタ……龍牙の事、好きなんじゃないの?」
「!?」
そう、此処で葉隠は漸く気付いたのである。この女子会自体が個の事を聞き出す為だけに仕組まれていた事に。汗を欠きながらも視線を彷徨わせるのだが……既に輝いている瞳からは逃げられそうにない……。
「林間合宿のプールの時も思った、絶対に何かあるでしょ!?」
「ゲロっちまいなぁ……何悪い事はしないよ、寧ろ応援させて貰うよ……!」
「え、えっと……」
『さあ真実は如何に!!?』
「龍牙君助けてぇっ……」