僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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EP EXTRA Unknown:最高最善のゴール

RYUGA!!

 

本来存在しない筈のリュウガライドウォッチ、龍牙という存在と個性の力で一時的に龍騎ライドウォッチが力を貸してくれているような存在。それを龍牙は知らない、だが感謝はしている。嘗てオール・フォー・ワンが言っていた。黒龍は嘗て赤い龍だったと、ならば自分は本来龍騎という存在であったかもしれない。それもこのライドウォッチが力を貸してくれている理由の一つなのかもしれない。そしてウォッチを起動させるとウォッチは龍牙へと力を与える、手には何かケースのような物と自分にはバックルのような物が装着された。

 

「―――分かる、分かるぞ……ライドウォッチが教えてくれてる。これがリュウガの―――」

 

右腕を水平にするように伸ばしながら構えを取る、そして宣言する。自分が今までしてきたようにしてきたそれを、そしてそれはライダーにとって特別な意味を持つ言葉であるという事もウォッチが教えてくれている。脈々と受け継がれてきた歴史、原初のライダーから繋げられたバトン。悪と戦う自分へと決意する言葉、それが―――

 

「変身!!」

 

腰にあるバックル、Vバックルへと手にあったそれ、デッキを装填する。デッキは輝きを放ちながら複数の鏡の虚像が龍牙へと重なり合って行くとそれを超えて一人の戦士の姿へと龍牙を昇華させる。それがリュウガ、それがある意味龍牙の本当の姿であるかもしれないそれへと姿を変えた。

 

 

ZI-O!!

GRAND ZI-O!!

 

ソウゴはジオウライドウォッチと共にそれを起動させた、ウォッチというには巨大なそれを。それは黄金のように輝く歴史がそこに集約されている偉大な力、それをジクウドライバーへとセットすると荘厳な音を立てながら嘗てのライダー達が共に歩んできた言葉が、音が、叫びが、魂が溢れ出してくる。それらは巨大な黄金に輝く宮殿のような時計台が出現する、そしてそれらを守護するかのように並び立つライダー達。それがジオウ、時空を超え、ライダーの歴史を受け継いできた物だけが纏う力―――最善最高の魔王の力。

 

「変身!!」

 

GRAND TIME!!

 

その掛け声と共にソウゴはジオウの姿へとなる、そして同時に―――背後のライダー達が黄金のレリーフとなりソウゴの身体と一体化していく。一体化したライダーたちはそれぞれが象徴とも言える姿を取りながらジオウと一体化していきながら全身を黄金へと包み込んでいく。魔王へと相応しい姿へと。

 

KUUGA(2000)! AGITO(2001)! RYUKI(2002)! FAIZ(2003)! BLADE(2004)!

HIBIKI!(2005) KABUTO(2006)! DEN-O(2007)! KIVA(2008)! DECADE(2009)!

W(2009)! OOO(2010)! FOURZE(2011)!

WIZARD(2012)! GAIM(2013)! DRIVE(2014)!

GHOST(2015)! EX-AID(2016)! BUILD(2017)!

―――祝え!!―――

 

KAMEN RIDER GRAND ZI-O!!

 

受け継いだライダーらによって作り出された黄金の鎧、その頂点たる王冠には己のレリーフが刻み込まれた。グランドジオウ、魔王には自らの力も含まれそれらを全てを含めて最高最善の魔王。その神々しい美しさと王者に相応しい圧倒的な存在感、その場にいる龍牙ですらそれに飲み込まれそうなほどの膨大なオーラと力を感じる。これが魔王と呼ばれる男の本当の力、今までの物などその一端にしか過ぎなかった。これからが本当のジオウなのだと理解させられる。

 

「行こう、龍牙」

「―――ああ、供をするよ魔王様」

「ソウゴって呼んでよ、ウォズみたいに言わないで」

「分かったよ、んじゃソウゴ―――行くぞ!!」

 

駆けだす黒龍の戦士と最高最善の魔王、それを迎え撃つリュウガサバイブ。右腕を肥大化させ、ドラゴン・スマッシャーを黒炎と共にそれを放つ。腕から龍頭が離脱し黒炎が身体を形どって黒龍がそのまま咆哮しながら駆けてくる。それでも二人は止まるつもりなどはない、二人に負けるかもしれないという考えは欠片もない。

 

龍牙は前へと飛び出しながらバックルへと手を掛ける。バックルへと嵌めたデッキからカードを抜き取りそれを左腕に装備されている龍頭のようなガントレットへと装填する。無意識に分かる、ウォッチが今の姿の力の使い方を全て教えてくれている。

 

<STRIKE VENT>

 

その右腕に黒龍の頭部、ドラグクローが装着される。見た目こそ違うが勝手は龍頭と同じだと察する。龍牙はクローから炎を溢れ出させながら向かってくる黒龍を迎え撃った。

 

「ドラゴンクロー・ストライク!!」

 

渾身の力を込めた一撃が黒龍と激突する、リュウガサバイブのそれとは明らかに力の差は大きい。大きい筈なのに龍牙はそれに対して対抗出来ている。それに持ち堪えている、押し込まれそうになるが必死に対抗する。

 

「俺の力、その凄さは俺が一番知ってる……だからこそ負けられないっ……!!」

 

押し込まれそうになるのを強引に身体全体を押し込むようにしながら自ら黒龍へと体当たりするかのように進む。すると黒龍は僅かに微笑んだように顔を緩ませると自らそれを受け入れるように崩壊していく。

 

「ドラグブラッカー……おおおおおおおっっ!!!」

「馬鹿な、何故リュウガの力でサバイブを!?」

「それが龍牙の思いと力だからだ!!」

 

龍牙が引きつけている間に接近したジオウ、懐に飛び込んで戻りかかっている右腕の龍頭を肘と膝で挟み込むように叩き潰して破壊する。その激痛に悶え苦しみながらもドラグセイバーを振るって来るが、素早くグランドレッグアーマーにあるライダーの一つへと触れる。

 

BLADE!!

 

そこから一本の大剣が出現する。黄金の刃に青の装飾が施された見事な一振り、"重醒剣キングラウザー"。それを握りしめドラグセイバーを受け止めながら逆に弾き飛ばしながらサバイブの身体に重々しい斬撃を叩きこんでいく。王者の剣が次々と決まっていく中でそこへ黒炎の斬撃が飛来し、ドラグセイバーを弾き飛ばした。ジオウが振り返るとそこには剣に黒炎を纏わせて振るった龍牙の姿があった。そして走り込んでくる彼に合わせて大剣を振るってリュウガサバイブに斬撃を浴びせる。

 

「ぐあああああっっ!!」

「俺達の力を、ライダーの力を思い知れぇ!!」

 

KIVA!! GAIM!!

 

キングラウザーに変わって新たな剣が出現する。皇帝の剣"魔皇剣ザンバットソード"、大将軍が手にする無双剣"無双セイバー"。真紅に染まる剣で食い千切ったような深い傷跡を残し、そこを的確に無駄のない剣の一閃が切り裂き、黒龍の炎と刃がそこを焼き切る。その連撃を受けるリュウガサバイブは遂に膝を付き、苦しみに悶えながらジオウとリュウガを見つめる。

 

「「はぁぁぁぁっっ!!!!」」

 

共に放たれた飛翔する斬撃が身体中を抉っていく、奪った力を上回る力がそこにある。同時にリュウガサバイブは口角を上げながら理解する、これが本当のライダーの力かと。理解していた筈だったが如何やら浅はかな理解だったと自嘲する。そしてリュウガサバイブの身体が崩れ始めていく、グランドジオウの攻撃一つ一つは正しく必殺、それと龍牙の攻撃でもう身体が維持出来なくなってきている。

 

「これで終わらせる!!」

「最後だ!!」

 

FINAL VENT

ALL TWENTY TIME BREAK!!

 

龍牙はバックルからカードを引き抜いた、そこにはリュウガの紋章が刻まれている。それを装填するとドラグブラッカーが自らの影から出現しとぐろを巻きながら咆哮を高らかに上げている。分かっている、これは自分の知っているドラグブラッカーではない。龍騎のドラグレッダーが一時的に黒く染まっているだけの姿だが、その黒龍は自分に向けて頷き、自分もそれに頷きで返し共に天へと昇っていく。そして―――黒龍の吐き出すブレスと共にリュウガサバイブへと向かって行く。

 

ジオウも黄金に輝く光を纏いながら天へと昇っていく、その途中にて身体に宿っているライダー全ての影がジオウと重なっていき、それと共に光も増していく。そしてそれらが頂点となった時―――龍牙と共に一気にリュウガサバイブへと向かって行く。

 

「「だあああああああぁぁぁぁぁっっっ!!!!」」

 

黒炎を纏った龍牙の一撃、黄金の輝きに満ちた魔王の一撃。それらがリュウガサバイブへと突き刺さる、衝撃は全身に拡散しエネルギーが駆け巡る。既に崩壊しかけていた身体にその一撃は余りにも強すぎる、耐えられる訳が無い。そして崩壊は一気に進行し二人のライダーはリュウガサバイブを蹴り破った。

 

「―――完敗だ」

 

そんな小さな言葉と共にリュウガサバイブは塵と消えていった。光と伴った塵へと変換されて時間の中へと同化するかのように消えていく、身体が崩壊していきその中からアナザーウォッチが放り出され粉々に砕け散った。そしてそこからドラグブラッカーが飛び出し、龍牙の中へと戻っていく。それを確認するとソウゴと龍牙は変身を解除する。

 

「―――お帰り」

 

感じていた虚無感がなくなった、心から安心出来る。奪われた物はすべて取り戻せたと確信できる、そんな満足気な笑みを浮かべながら龍牙はソウゴへと元に戻った龍騎ライドウォッチを返す。

 

「有難うソウゴ、君がいたから俺は戦えた」

「いや龍牙自身の力で最後まで戦ってたよ、俺の力なんて関係ない」

 

ウォッチを受け取りながらソウゴは遠くを見つめる、そこには此方に向かって来ているゲイツ達の姿が見えている。戦兎も一緒なのに気付きソウゴは改めて龍牙に向き直る。

 

「龍牙、君は絶対にヒーローになれるよ。君なら行ける気がするよ―――最高最善のヒーローに」

「最高最善の魔王様に言われると光栄だね、有難う。なるよ必ず―――」

 

二人は固い握手を結ぶと笑顔を浮かべた後に共にこちらに向かって来ている仲間達の下へと歩いていく。本来あり得ない筈の邂逅と事件は終わりを告げる、互いはそれぞれの存在を確かに胸に刻む。

 

記憶こそが時間、誰が覚えている限り確かにそこに存在はする。その記憶を二人は絶対に忘れない、時間に感謝を込めながら。

 

 

ANOTHER FUTURE WORLD 完。




―――すげぇ疲れた……。グランドジオウの変身だけで265て……。

でもまあこれで終わりですかね、番外編、ANOTHER FUTURE WORLDは終了です。

少しでも楽しんでいただけたなら私も満足です。

では次は本編でお会いしましょう!

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